インサイドアウト
いつも朝は起きたくない。
何十年働いてんだよと思うけど
それでもやっぱり毎朝行きたくねえなあと思って起きる笑
四半世紀
朝起きて支度して仕事に行ってるのになあ
ルーティンにならないのか不思議だ
数ある朝の中でも
5本の指に入るくらい昨日の朝は起きたくなかった
でも起きて朝ごはんの支度して
洗濯もの干して
ゴミ集めて
着替えて出勤した
でも昼くらいかな
紺色のセーターを裏返しに着ているのに気が付いた
既製品だったら多分すぐに気付いたと思うんだけど
機械編みの友人のブランドのセーターだったから
左右の縫い目も薄くて確かに裏返しって感じがなかった
すぐに脱ごうかなと思ったんだけど
これも面白いかな
もし誰かに言われたら脱ごうかなと思って
そのままで過ごしていたら
結局誰にも指摘されないで1日の仕事が終わってしまった
なあんだ
仕事仲間の解像度なんてこんなもんなのかなあと
ちょっと拍子抜けして
いや、裏返しで出勤しておいて
気づいてくれないって文句言うのも
おかしな話なんだけど笑
帰宅して
夕飯を作って食卓に並べて
椅子に座ると
隣に座っていた次女が開口一番
ママ!セーター裏返しだよ!
今日1日裏返しで仕事してたの!?
やあだあ!マジ!信じられない!
と目をまん丸くする。
流石だなあ、子供というのは
親が子供を見るよりもずっとよく
親のことを見ているものだと
言われるけれど
高校三年生になってもはやり娘は
親のことを普段からよく見ていて
母のセーターの模様の違いに
今日1日誰も気づかなかった違いに
ちゃあんと気づいてくれるのだと思うと
ホクホクと嬉しい気持ちがした
いやああね、実はさ、昼には気づいてたんだけどさ
誰かに言って欲しかったわけ
裏返しだよって
そんでね、誰も言ってくれないもんだから
今言ってもらってやっと脱げるわ
は?何いってんのママ?
恥ずかしいよまったくもう
いい年した大人が裏返しで1日仕事するなんて!
着替えるってさ、もうお風呂入って服脱ぐんでしょ!
意味ないじゃん!!!
意味なんかなくてもいいの。
気が済めばいいの笑
また一つこのセーターにエピソードが宿って
かけがえのない1枚になっていく
大切にしようと思うためには
積み重なっていく愛着と思い出が必要