今日も どこかで
25のときに
転職して
その時は教員を目指そうと思っていたから
採用試験の勉強時間の捻出と
教育実習に行くために
腰掛け程度にとアルバイトで一年勤めた
福祉作業所の理事長さんと再会した
赤毛の勤務する事業所の業務監査に
外部監査役として
書類のチェックに来訪された
互いの立場としての役割を終えて
心身が開放されて
よそ行きの顔から普段着に着替えると
赤毛ちゃーん元気だったー!
一瞬にして二十年前に時が戻る
福祉デビューを果たした赤毛にとっては
衝撃的な一年で
ズブの素人がよかれと思って
やることなすことが
自閉の方のパニックを誘発して
嵐を呼ぶ女ではなく
パニックを呼ぶ女として
頼むから何もしてくれるな
と
言われはしなかったけど苦笑
常勤職員さんには思われていたかもしれない
入ってすぐ遠足が予定されていて
赤毛の常識だと
遠足≒楽しみにするもの
で
工程表や現地の写真なんかを
夕方シコシコ居残って
壁新聞みたいの手書きで作って
ドヤ顔でバアアンと張り出したら
聞いてないよおおおおおおおっと
行事や予定に弱い自閉の方が
ヘッドバンキングして不安定になり
バンバン机を叩き始めた
赤毛ちゃん
みんなが未知の行事を
楽しみにできるわけじゃないからね
赤毛ちゃんだって遠足の前の日
楽しみにし過ぎて眠れないとか
あったでしょう?
いつもと変わること自体が不安でしかないという人もいるんだよ
と言われて
ベリベリっつとポスター剥がされて
頭ではわかっても
なんだよ一生懸命作ったのに💢
みたいに口とんがらかしてたと思う
そうかと思えば
行き先を十分伝えていなかった
伝わっていないことを
確認する丁寧さがなくて
こっちは言ったんだから口にしたんだから
伝わってるはずでしょと
生半可なコミュニケーションを確かめもせず
公園に行きますと説明して
着いたところ
この公園とはいってなかったやんけー
公園言うてもあの公園と
この公園は違うやんけ
お前ここ言うてなかったでーーと
着きましたよって
ニッコリ微笑んでいったら
髪の毛鷲掴みされて
キャーッといったのは赤毛ではなく
周りの職員さんだった
赤毛は女子プロじゃあるまいし
人に髪の毛掴まれて引き摺られるなんて
思ったことすらなかったから
言葉も出ない
髪の毛というか
絡まった指を解いてもらい
ズキズキする毛根抱えて
自分の何がその人のパニックを
誘発したのか
全く分からなかった
まあいろいろやらかしたバイトの女の子だったなあと
今だったら思う笑
でもそれを暖かく見守って
一つ一つ丁寧に説明してくれた
集団があったから
今赤毛はここにいる
赤毛ちゃんよく覚えてるねと
理事長さんが驚くほど
その当時の利用者さんのお名前も
フルネームで出てくるし
ご家族のご出身や
川の字になって両手を繋いで夜間の発作にきづけるように眠っていらっしゃるというエピソードも
全く畑違いからの転職だった赤毛には
衝撃の連続だったから
このツルンとした脳みそのシワにも
深く深く刻まれて
一生忘れることはできない
あの事業所でスタートしたから
今もこうして働き続けていると思うし
一番大切なことを教えてもらったと思っている
実は昨日の朝訃報を聞いたのだけど
今朝もまた
昨日の夕方入院中の利用者さんが実はお亡くなりになっていたことを聞いた
珊瑚に産卵の日があると言うけれど
パスアウェイお空にみまかる日があるのかと思ってしまう
いやチガウ
今のこの瞬間にも命は生まれ
そして炎が吹き消されていて
そこに気づくことなく赤毛はおなかが減ったなあと思ったりプウとオナラをしているんだ
亡くなった方は
言葉のない方で
転倒して脳出血で入院したけれど
検査の結果末期の癌だったことがわかったけれど
最早手の施しようがなく
お亡くなりになったという
痛かったのではないか
気づいてあげることはできなかったのか
何か見落としたんじゃないか
職員たちは悶々同じ思いを抱えて
バスに乗って到着した
利用者のお一人お一人を迎え
一日を過ごしてそして夕方見送った
冷たい雨の金曜日の夜に
手を合わせる
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