UNKNOWN
赤毛さんの今回のくも膜下出血の原因は
unknown ということになります。
退院時の医師の説明
畢竟、不明。わからない。
原因と結果を結びつけるのが大好きな現代社会の中で
結果だけ引き受けるけど
原因はない。
そんなことってある?って苦笑いしてしまう。
先生の説明もなんだかお医者ぽくなくて
かえってお人柄のほうが前面に出てきて
世間話っぽいというか
親近感がわいてしまう。
だって、普段なら患者と医者は圧倒的な上下関係
でも今回の疾病の原因については
先生も分からないんだから!笑
当の本人の私に聞かれてもわからないのと同じように!
年間五パーセントくらい、僕の診る患者数だと20人位ですかね
そういう方がおられます。
くも膜下出血は確かに起こしておられて
出血箇所は確認できるんですけど
どうしてそうなったのかっていう、原因箇所、
動脈瘤がどこをどう検査してもMRIでもCT撮っても見つからないんですよ。
そういう時は静脈から出血したと考えられています。
でもどの静脈からかはわからないんです。
そして、自然に出血も消失しています。
キレイですよ脳も血管も。
はあ。
としか言いようがない。
因果律の世界に慣れて切っているから
でも考えてみれば万能に見える科学だって
説明できる世界はほんの一部分
世界は未知で満ちていて
だから私たちは旅をするんだ
絶対ということはありません
けれでも僕が医者人生でこのようなunknownの患者さんを見てきて
再発されて再び僕の患者さんになった方は一人もおられません
再発しないってことですか?
再発した患者さんにお会いしていないということです
ブ。もうお医者さんらしい言い方やな苦笑
私が欲しいのは約束で太鼓判、もう大丈夫だよと
それをくれるのはお医者さんじゃない。
神でもない。
そう邦楽ロックの宣教師たちだった。生き抜こうぜって。
生きているのが怖かったら
叫べばいいって。
赤毛さんは、そうですね。
退院したら温泉にでも浸かってうまい寿司でも食べてくださいよ。
紺屋の白袴って言いますけどね
脳外の医者は脳外の病気になりやすいって
癌を診る医者は癌になりやすいって
都市伝説みたいですけどね
医者の間ではまことしやかに語られているんですよ笑
赤毛さんも脳梗塞の方の利用する施設にお勤めだったんですよね
理由ですか?
僕はね、人間油断するんだと思っているんですよ。
一番詳しいじゃないですか、その病気のことは。
こうやって毎日その御病気の患者さんに接して
その病気を治療しているわけですから
その慢心というか、自信というかが、
自分を冷静に診れなくするんだと思うんです。
自分は大丈夫だって自分で自分にバイアスかけるんじゃないでしょうか。
ううう。深いです。先生。
私もまさかと思っていました。頭痛くらってるその瞬間でも。
僕も赤毛さんと同じ病気になると思いますよ。
だから、今日はうまい寿司でも食べましょうよ!
退院おめでとうございます。生還したんですよ。
理由はわからない。
原因もわからない。
でも自分の身に起きたこと。
そしてこれからも沢山の人に救われたことを
この自分の身体に刻んで体温は36.3℃
発熱して生きていく。