まだ名付けえぬものに
それが既存の価値や概念に当てはまらない時には
後藤さんも言っている
no name
海底二万里のネモ船長
吾輩猫みたいに
名前はまだないでいいと思う
それを無理くり
例えば恋愛の二文字に当てはめるから
普通じゃないとか
友達以上恋人未満とか
当てはまらない居心地の悪さに不安に耐えられなくなって
私のことどう思っているのって詰問して
なんとか既製服にふたりの関係をフィットさせようと
空回りし始める
ぴったり合う名前があるなら借りればいいけど
それをうまく形容する言葉が見つからない方が普通だし
思うことを言葉に寄せて行って
サイズの合わない仮の言葉を引っ張ってきていること気づく
言葉じゃ足りないんだ
思いの方がずっと多様だし複雑だし
抱えきれないくらいデカい
この間利用者さんと馬術について話していて
馬が斜めにギャロップするその動きの不自然さと
騎手との意思疎通のぴったりさを思うと
馬術で競っているのは馬と人のコミニケーション能力で
身体能力を競うという意味の他の競技とは一線を画するかもしれませんねと
おっしゃるので
そうですね
だから若さよりも
長年の経験が競技に反映されて
日本人の最高齢オリンピアンもたしか馬術競技の方でしたね
そうそう
斜めギャロップって、
馬が欽ちゃん走りしてるみたいですよねと
赤毛が笑うと
それを言いたかったんです
馬が斜めに走るって言ったけど
何と言っていいかわからなくて
そう言ったんだけど
本当はそう言いたかったんです
思いつかなくて
でもまさに欽ちゃん走りそのものなんですよねと
膝は打たなかったけど笑
痒いところに手が届いたといった表情をされた
それがなにかわからないけれど
それが大切なものだと自分が思っているのなら
できるだけ既成の価値観で色を塗ってしまわずに
そのままの形と色であり続ける勇気を持って
自分と相手を信頼して
大切な友達だったらコマメに連絡を取り合うものだとか
付き合うんなら3回目までにエッチするとか
男女の間にあるのは友情か恋愛かだとか
それが何なのかその中身を決めていく
そのグラデーションや筆致を描いていくのが
生きていく間の私たちの仕事じゃないかと思うし
その判断をまとめ記事なんかに売るかよ任せるかよ
そんな二択しかないのかよって
簡単お手軽フリック人差し指で分かるわけないやろ
分かった気になってクローズボックス閉じんなよ
それに多様性多様性って言うてるけど
ようわからん時に免罪符みたいに多様性カテゴリーに押し込んで名前つけてそれ以上の思考を放棄してるような気がする
一個一個
一人一人
丁寧に見ていく紡いでいく
言葉を選んで積み重ねていくことで
それが何なのか
フォルムを帯びて質量を持ち始めるのだから
まだ中身スッカスカの3日目の2人に
恋人とか名付けちゃうのは
中折れじゃなかった名折れというものやで
と
この曲を貼り付けたくて
後づけで文章を