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聞く>話す

失敗のない人生はない
後悔のない人生もない

ああすればよかった
なんであのとき
そんなことを未だに夢でも見たりして

消化が遅くて
昇華なんて来世だな畏れ多い
引きずり続けている自分に
後光が射す訳はなくて笑
嫌気がさす

それでも失敗からしか学ぶことはできないし
やらかしてしまったことや
至らなかったこと
浅はかだったことを
恥ずかしいなあと思いながらも厚顔無恥
面の皮厚く生きていくしかない

私の後悔のひとつは
元夫の話の腰を折り続けたことだ

最初は勿論ちゃんと聞いていた
そりゃあそうさ、バンドのメジャーデビュー話に
人生の夏休みを不惑も近くなってから
一部屋分の荷物を小さくまとめて
ギター二本とバックパックで
沢木耕太郎さんの跡を辿って
ユーラシア大陸を
バスと電車と飛行機で旅した
オジサンの話なんだから
面白いに決まっておる笑

でも一緒に生活を営み始めたときに

鉄板のように
何かに付けては比較に持ち出される
インドや旅人の世界観が

まだ旅の空なのかこの人は
いい加減に帰ってきたって
地に足つけろよって

私との生活に向き合おうとしないかのように勝手に感じて
まあ実際そうだったんだろうけど笑
旅に嫉妬したし
音楽が敵だと思った

だから彼の話は段々と話半分
うんうん
はいはい
2回言うときは聞いてないやつ苦笑
またかと聞かなくなってきたし

話はじめたときから
話がどこに着地するのかも
もう分かってしまった気になって

ハイハイ、あのVHS見るって言い出すんでしょ!
特技披露してドヤるやつ
もうわかってる!!!

と話の腰を折ったり
次第に反論したり意見したり
論破したり私がするようになってしまった

大切な思い出の日々に
意見も評価も要らない
ただ一緒にキラキラした日々を振り返りたいだけ
戻れないなんて彼が一番分かっていたろうし
戻りたかったのも彼だ

だからいま

たとえ誰かが同じことを繰り返して話題にしたとして
まだ何者でもない自分の夢を語ったとしても

そこに
そんなことは出来はしないとしたり顔で説教たれたり
またかと思うことは絶対にしないと決めている

同じ話を繰り返しするのは
まだその人が語りきれていない
細部があるからだと最近は思う

何度か少しずつ異なるデメンションから
語られると次第にその話が立体を帯びてきて、全容を新たにすると
ああそういう話だったのねと
ちゃんと成仏してくれるのが分かる

赤毛がちゃんと聞ききらないから
語りきれなくて
残尿感残便感がそれをまた語らせてしまうのだと思った

その人がその人の言葉でその出来事を語り切るまで
ふううん
ふふふ

豆腐のように柔らかく
馬のようにピインと耳を立てて
イラッシャイと暖簾を架けて

話を聞くんだと
ちょっと天邪鬼な比喩だけど笑

それは別に傾聴とか
そういうテクニックの話じゃなくて
そうやってサラで聞いていると
何回聞いても全く同じということは実はあり得なくて
思いがけず話が展開しだして
どこに行くのかわからないくせに
あああと
話し終わったときには
しっくり腑に落ちることになるという

対話の醍醐味を味わうことになる

話したいとか言いたいって
自分マターをホンノスコシ引っ込めて初めて
物語に動き出す余地が生まれるのかもしれない

などと笑
取り返せない日々と引き換えに
思う赤毛です




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