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嘘八百。真っ赤な嘘。優しい嘘。ウソつきは泥棒の始まり。私が最初についた大きめの嘘の記憶。小2か。母に内緒で化粧台の化粧品を黙って使い、あれこれ塗りたくって、お姫様ごっこだったのか、大人の階段昇りたかったのか、友達と互いに化粧をして遊んだことがあった。

バレないようにと石鹸で顔を洗って化粧は落としたと思うのだが、洗顔が不十分だったのか、余程厚化粧だったのか、子どもで肌が敏感だったのか、その幾つかの理由で、暫くして顔がブツブツ発疹だらけになってしまった。

ーあら!チコ、どうしたの?顔。

ーエ~ワカンナイ。(汗)

ー顔だけなの?

ーウン。顔ダケ。

-痒いの?いつから?
皮膚科行かなくちゃね?

ーエ~イイヨ。大丈夫ダヨー。病院イカナイ。

有無を言わさず皮膚科に連れて行かれ、優しい女医さんに、どうしたのと聞かれる。問診。こっちにしたら拷問。勿論、しらばっくれる。


-エ~、ワカリマセン。ナゼカワカラナイケド、キュウニ、ブツブツガデキタンデス。
(心臓がバクバクする。化粧品使い込んだことは、銀行預金を男に三億貢いだ窓口業務のオールドミスと同じくらい言っちゃいけない。)

ーそうなの。何かにカブレタみたいね。洗顔のやり方を教えてあげます。こちらにいらっしゃい。

別室の小さな清潔な洗面台の前に先生とふたりたつ。

ー石鹸を泡立てるの。泡を一杯たてるのよ。そして泡でお顔を優しく洗うの。やってごらんなさい。そう、上手よ。そうしたら、よく石鹸をお水で洗い流すのよ。それだけよ。お家でひとりでも出来るわね。

ーハイ。先生。

多分絶対化粧品被れとバレてたと思うけど、先生は一言も口にはせず、洗顔の仕方を教えてくれて、薬も出さずに私と母は帰された笑。

ーチコちゃん、お化粧にはちょっと早いわね。

先生の声が聞こえたような、聞こえなかったような笑。行きは足を引きずるような思いで歩いた道も、帰りは身勝手な小学生はスキップして帰ったような記憶が、最近また手首周りに自称原因不明、診断光過敏症の発疹が出来て、ふと蘇る。

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