博士課程の1年目でライターズ・ブロックになって6年が過ぎた人間が決めたこと
すぐに決断しない
大学院に入学した2016年の春、指導教授の先生が博士課程は“考える”ことだと言っていたのを覚えています。(修士課程は何だったのか覚えてません。)
とにかく考える。考える。考える。
自分の頭で考えて結論を出せるようになることが、博士課程で身に着けるべき一つの目標なのかもしれません。
しかし私はある時期から思考の堂々巡りに陥ってしまい、研究がその先に進めなくなりました。
その結果として、ずるずると無限休学編に至ってしまったのです。
この状況を打破すべく、逆に無理に決断しないことにしました。
研究を辞めるとも決めません。
研究の方向性を無理やり決めることもしません。
思考力が研ぎ澄まされていないときに決めることなど、
いい決断にはならないと思うからです。
悩まずに決まっていることから手をつけていく。
そのうち自然と解決してくるものはあります。
ライターズ・ブロック
博士後期課程1年目の12月、頭がパンクしました。
これが堂々巡りが始まる発端です。
ゼミや授業、リサーチアシスタントの仕事、アルバイト、先生から出される課題等、せっせとこなしている中で、
いつの間にか考えるべきことが山ほど増えていて、一つずつきちんと消化できればよかったものの、自力では到底積み崩せなくなり、
そのまま脳がオーバーヒートしてしまったような感じがありました。
それまでの自分は知ること、調べること、考えることが楽しくて仕方がなかったのですが、その時期から研究は楽しいものではなくなりました。
書きたいテーマに関しては大まかに決まっていたのに、執筆作業にまともに着手できなくなりました。
メモ書き、構成のようなものは用意できても、正式な文章に起こすことが全くできません。
まず書き出しが書けません。
これは完全に自信を失っていたからだと思います。
当時は博士の学生として、周りの大人たちの要求に応えようと努力していましたが、
自分のやっていることが評価されている手ごたえは得られず、
やがて自分の思考そのものに自信がなくなり、何もアウトプットできなくなりました。
いわゆるライターズ・ブロックなのではないかと思っています。
アリス・W・フラハティ (著)『書きたがる脳 言語と創造性の科学』(2006年)を読んでみたりもしました。
ライターズ・ブロックがどういう現象なのか、諸説あることがわかりました。
原因については、複合的、あるいは積もりに積もっている場合があり、
また原因が判明すれば、解消するというわけではないともわかりました。
もしいつか博士論文が書けたら、このライターズ・ブロックについて詳しく掘り下げていきたいです。
とにかく書くという困難さ
とにかく論文を書こうとすると、脳にすごくストレスをかけるという感覚があります。
ずっと圧迫されているかのように頭が痛みます。
ストレスをかけた状態でいい文章が綴れるはずがありません。
まずは、自分が書けない状態になっているということを受け入れます。
できないものはどうやってもできないのです。
どんなに一生懸命考えたところで、自分の中から文章をひねり出すことはできないのです。
そこでいったんできないことを、できる形に変換することにしました。
不思議なもので、論文のための文章は書けないけど、論文と関係ない文なら書けます。
頭の中に思い浮かんだことを書きます。
自分がやったことを書きます。
これをコツコツ続けることは、書くことのリハビリになっていると思います。
しかし、未だにライターズ・ブロックを克服できたとは思っていません。
決められないことは決めないままで進める。
これも言ってしまえば一つの決断だし、見切り発車かもしれません。
そういう形でも取り組もうとするのは、
論文を書けなくなっても根本的に研究が好きだからなのだと思います。
楽しく感じられなくても嫌いにはならなかった。おそらくそれに尽きます。
なので、今後も何も諦めずに自分で自分に期待したいと思っています。
あかちゃん