父の葬儀6 告別式

眠れないまま朝を迎えました。宿泊した部屋はホテル並みのもので、大きな風呂もあるし、部屋も広い。流石にたっぷり時間があったのですが、何しろ外は何もないし、することもないのでぼんやりと大画面テレビでワイドショーなんかを見て過ごしました。

やがて、まだ1時間以上前なのに母と妹が到着しました。二人(と妹の旦那さん)は実家に泊まっていたし、気が気ではなかったのかもしれません。それから、続々と親戚たちが集まってきました。そう、まずこれがすごかった。何しろほとんど顔を合わせてない人たちばかりなので、挨拶するにも戸惑う始末。「ご無沙汰してます」って無難に言ったら「初めましてでしょ!」って言われたりね。こうやって誰かが死んだりしない限り会うこともない人たちですが、親戚ってだけで一気に距離感も縮まって仲良く話せるようにもなったりしたので、やっぱり親類ってそういうものかなと感心したりして。

やがて告別式の打合せが始まりました。流れは大したことないのですが、ここで葬儀の時に流れる故人を偲ぶナレーション原稿のチェックがありました。昨日、どんな父だったか、みたいなことをスタッフにお伝えしたのですが、一晩でまあ見事な原稿を書き上げてきてくれました。テンプレはあるだろうけど、ここまでそれっぽいの作れるのってやっぱプロですね。こんなところにも、ライターとしてちゃんと働いている人がいるって、ちょっと嬉しかったです。

住職がまたやってきて、いよいよ告別式がスタートしました。これも、ほぼ通夜と同じ流れ。お経〜ご焼香の流れは同じです。お経の文言は違ったみたいですが、よくわかりません。歌は、なかったです。そして、祭壇の花を抜いたり、準備をしているときに、例のナレーションが流れたのですが、母は耳が遠いのでよくわからなかったとのことでした。ちゃんちゃん。で、準備が終わって、弔問客全員でお花を棺の中のご遺体に入れてあげるというセレモニーです。ここが、最後のお別れです。流石に母も涙を流しているようでしたが、私は皆さんの献花のために少し後ろに下がっていたので、みんなを見渡しているような感じでした。いよいよ、告別式も終盤です。

そして、また告別式最後の私のスピーチの時間です。マイクを通してのコメントなのですが、母が、私が読む直前に「もっと大きな声で!」って大声を上げました。私は第一声を上げるところだったので、びっくりして動揺してしまったのですが、まあどうにかこうにか原稿を読み上げました。母は耳が遠いから、もっと大音量で聴きたかったのだろうか?でも、大勢に弔問客の前でマイクを入れてのスピーチだし、仕方ないよ。ちなみに、他の方はちゃんとしっかり聞こえてたそうです。

そしてラスト、役職に合わせて火葬場に向かうというセレモニーがありました。役職というか、役割ね。葬儀場から火葬場に行く時に誰が何を持つかというもの。先頭は母が「位牌」、次に妹が「お盆」、次に姪(妹の長女)が遺影写真、次に私が「骨壷」最後に下の姪(妹の次女)が花束、となりました。これは母のたっての希望でしたので、その通りにしました。棺はSさんたちが運び、それから役職者がそのままその順番で一列に並んでマイクロバス(柩も乗るやつ)に乗り込み、最後に弔問客が乗ります。そして、火葬場に向かいました。まだ午前中のことです。

続く。

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