邦画をけなすためのテンプレ:創作のための戦訓講義83
事例概要
発端
今さらだけどゴジマイの違和感がやっと解けた。
— しばらくこっち (@chotto_dake05) May 3, 2024
戦後すぐの話なのに、着ている服がみんなさっきクリーニングのビニールから出したみたいな感じで新しくて、清潔でヨレヨレしてなくて汚れてなくてビシッとしてることに引っかかったんだ。
? バリバリに汚れてるけど。しかも仕事着と部屋着の汚れ具合の違いや、生活が改善していくと徐々に身綺麗になっていく様子まで丁寧に描かれてるが… https://t.co/Rwv8fvklSZ pic.twitter.com/RYSzWlom11
— まぐれもの (@maGuremono) May 23, 2024
※『ゴジラ-1.0』に対する指摘。私は見ていないので作品への言及は今回の本題ではなく……。
テンプレート
映画やドラマに詳しくないが邦画を貶めることで自身を「分かっている」創作物消費者に置きたいと思う人間には一定のテンプレートがあって、そのひとつが「邦画の衣装は新品のように綺麗」。実態はさておき、実写版金カムでも似たようなことは指摘されていた記憶がある。 https://t.co/AJk12UX2wZ
— 紅藍@カクヨムで新作『偽王子事件』連載中 (@akaai5555) May 23, 2024
まあ実際あんま汚したくはないのかも。『平清盛』の話とかちょろちょろ聞くにつれ。この手のテンプレいちゃもんは時折ある程度合致こそするが、その合致自体にさしたる意味はない。「何も考えず邦画の欠点とされることをただ発声している」ことが本質なので。
— 紅藍@カクヨムで新作『偽王子事件』連載中 (@akaai5555) May 23, 2024
※邦画をけなす際に用いられる鳴き声のひとつ。実写版ゴールデンカムイでも似たような指摘があったと記憶している。
※重要なのは作品個々の状況を鑑みず、一般的に邦画の欠点とされることを指摘することで「分かっている」フリをすること。
※テンプレート化するのはそれが一定の傾向として認識されるから。つまり実際に衣装が不自然なくらい汚れていない作品もあり得る。そういう作品がある、ということ自体は重要ではない。
真逆の指摘
俺はゴジマイ未見だし衣装云々は詳しくないので見ても分からんと思うが、むしろここでの指摘では「汚し方が記号的」という指摘の方が興味深いかも。ただ指摘の中には実際に地面を転がったりして汚している(=アトランダムな汚し方をしている)話も伝わっているので実際はどうなんだろうね。
— 紅藍@カクヨムで新作『偽王子事件』連載中 (@akaai5555) May 23, 2024
山崎監督が音声解説で、安藤さんが転げ回って澄子さんの衣装を汚した話とかしてたし、「登場時の典子の歯がきれいすぎるって批判されたけど、ちゃんと汚してたのにね」って言ってたのに。
— しらゆっきぃ (@shirayukiyuki) May 23, 2024
さすが興収75億越えともなれば、もうイチャモンレベルの批判まであるある😅 https://t.co/AsFdOwMnHQ
※むしろ汚していたという指摘もある。
これは非常に面白い感覚差だと思う。私は「汚れが記号としてしか表現されてない」と思うし、つまり「綺麗な衣装だな」と感じなくもない。が、それは本当に汚い昭和の映画を見すぎなだけな気もする笑 https://t.co/McKe87HaaW
— Amin -open mode- (@drchickengeorge) May 23, 2024
※ただその汚し方に物足りなさがある、と考える層もいるようだ。
むしろこういう汚しほど山崎監督はこだわってそう 三丁目の時に「本来あの時代の高い建物は新しいものが多いはずだけどその時代を生きてない世代にもノスタルジーを感じてもらえるようにウェザリングした」って言ってたし https://t.co/cnksB12101
— ヨシダサカト(ハナサク) (@yoshidanasaku) May 23, 2024
これを言っちゃおしまいやけど、美術にフェチがない。
— 諾威 (@6orijinal19) May 23, 2024
「これとこれをこうしてこうやっとけばいいんでしょ?」っていう、頭ごなしの仕事してやった感が、結局いつもの山崎貴。
実際、俺も実写周りのルックは、かなり雑やと思ってる(VFX周りと比較してってのはあるけど)。 https://t.co/EsDvnaVoXy
※監督の手つき的に「ちゃんと汚している」「適当にやっている」指摘も。どっちやねん。
その他テンプレについて
台詞で説明
この手の邦画テンプレ文句集はいくつかあり、代表的なところは「邦画は全部台詞で説明する」というもの。そもそも全部台詞で説明するってどういう状態なのか言語化できる人間はおそらくそういないのでは。加えて全部説明する必要のあるタイプの作品や状況があることは無視されている。
— 紅藍@カクヨムで新作『偽王子事件』連載中 (@akaai5555) May 23, 2024
このテンプレ指摘を俺が唯一ある程度感じえたのは『西部警察SPECIAL』だったが、他の作品でそこまでは感じなかったんだよなあ。https://t.co/qH3uxW5GUp
— 紅藍@カクヨムで新作『偽王子事件』連載中 (@akaai5555) May 23, 2024
※そもそも「台詞で全部説明」ってどういう状況?
西部警察SPECIAL
よく日本の映像作品は台詞ですべてを説明してしまうと聞くのだが、この作品を見てなんとなくそのことを理解した。すべてというか……「そこはもう分かってんだよな」みたいなものを台詞でずっと説明する。ほしいのはそこから一歩踏み込んだ描写であって。
— 紅藍@カクヨムで新作『偽王子事件』連載中 (@akaai5555) March 8, 2024
「我々はブラックホーク。黒い鷹」そう、こういうところ! 黒い鷹なのは聞きゃ分かるんだ。「黒い鷹」って一言添える尺に別の気の利いた台詞挟めただろってなるんだな。ああこういうことかあ。
— 紅藍@カクヨムで新作『偽王子事件』連載中 (@akaai5555) March 8, 2024
「さっきから団長の様子がおかしい。何か考えて……?」(暗闇のホールで腰に手を当てて突っ立ってるだけ)なの、説明台詞の極地だろ。意図的に当時の演出に近づけていると考えるなら、年代的に俺が「日本の映像作品は説明セリフが多すぎる」にピンとこないのも納得。
— 紅藍@カクヨムで新作『偽王子事件』連載中 (@akaai5555) March 8, 2024
※今のところ全部台詞で説明する、の明確なパターンと思っている唯一の例。
個人見解補足
この手の邦画貶しはある種のテンプレートと化している。何を言っても「フェミ」「共産党」でそこから話が進まないようなものだ。ネットでは邦画はそれが何であれ貶す材料というのが基本で、一部作品が例外、くらいのものか。
他のテンプレとしては「俳優がキンキン叫んでいるだけ」というものもあるっぽい。私のゴミ兄貴が『カメラを止めるな』を見て言っていたのでたぶんテンプレだ。ゴミ兄貴に自分で作品を評する能力はないので、どこかで鳴き声を覚えてきたのだろう。ちなみにちゃんと映画を見ていたわけではなく、ふとテレビのチャンネルを変えたら映ったくらいのもので、作品の性質などを加味してもその評価の妥当性はかなり怪しいだろう。そもそもあのゴミ兄貴に演技を云々する知識もセンスもないし。