インド1人旅 8

「チェンナイ行きは今日の15時発しかねぇぞこれ逃したら来週だね」
バングラディシュ人でごった返す、朝10時の外国人鉄道オフィスで残り1枠のチェンナイ行きのチケットを獲得し、その日のうちにチェンナイ行きが確定した。サイモンには顔を見てサヨナラができなかったことと、タゴールの博物館にいけなかったことが心残り。


コルカタにはにはおおきく2つ駅があり、
1つは市内、もう1つは町外れにある。
自分の行く方は町外れだ。

インドのローカルバスは行き先を叫ぶお金を回収するスタッフに自分の目的地を確認する。
15分くらい粘りに粘り、なんとかローカルバスを乗り込み、これで駅まで行くと思ったら
下ろされた場所はまさかの高速道路。バスの運転手曰く少し歩いたところに降りる扉があるからそこに行けと俺のバックパックを叩く。
まぁなんとかなる。
旅も中盤に来ると、信じていいもの、信じちゃダメなものを感覚でわかるようになる。どちらかというと、これはダメだってことの方がひしひし感じる。
直感は多分、生まれ持ったものではなくて、たくさんの経験則から捻り出される確かな一滴、みたいなものなんだろう。

駅に向かう途中、線路の上を歩くけど電車が止まって渡れないかと思ったら電車の中を通る。まじかよ。

駅に向かう途中、アメリカ人のマイケルがキャリーケースを運ぶのに苦労しているのを手伝った。どうやらおれらは同じ車両のベットの上下みたいだ。
教師をした後、法学校を出た彼は弁護士としてアメリカで活躍した後、クロアチアへと渡り、現在はアイルランドに根を下ろしている。
「きっとおれにはジプシーの血がおれには入ってるんだ」
そう言って笑っていた。

    列車にはシーツが備え付けられてる

コルカタからチェンナイは距離にして1600km、電車にすると28時間。
電車の中では自分とマイケルのベットと向かいには夫婦、通路挟んだ二段ベットを使うインド人2人となか良く話した。昼過ぎに出発して夕方になると、それなりの連帯感がでていた。
自分が乗っているクラスはこの旅で一番グレードが高かった2Aクラス。やっぱり、この位になると出会う人々の人となりも知識も素敵な人々がほとんどだ。

久しぶりに曲をゆっくり聞いて、フランスで買ったノートに自分の中での出来事を、忘れない様に書き留めておく。インドの列車は長いことが予想はついていたので、買っといて正解だ。

詩人オスカーワイルドの言葉が表紙


夜の列車で音楽を聴くと、時間が永遠に感じる。こんなことをしている間にも、昼の時間の世界があって、行ったあの国はそろそろ陽が落ちてきて、彼は昼の街を自転車で街を駆け抜け、あの子は寝ている。
当たり前のことなんだけど、同じ時間が別の場所で流れているんだよな。
自分がいない場所の流れている時間を心のどこかで感じていたいな。

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列車の停車する音で、
朝目覚めて、外の空気を吸いにいくと、
頬を撫でる風が、暖かいことに気づく。
あぁ、温暖な南インドに来たんだな。
すぐに発車したため慌てて電車に乗り込むと、すぐに、ヤシの木が窓からは見える。

穏やかな光景


同じ国にいるのにページをめくるように全てが変化していくのが、インド1周の醍醐味で、
たまらなくおもしろい。おれはちゃんと旅をしているんだな、へっへー。
道中マイケルはたくさんの話をしてくれた。
どれも知的で、「あれ知ってるか?これって知ってるか?」って流れる景色の中に見える木や、川を指差しては、沢山のことを教えてくれる。ほとんど知らなかった。
やっぱり、歳のとり方はこうだよなーー!

マイケルがくれたピーナッツバター
hit the spot
チェンナイセントラル駅

チェンナイ駅に到着。マイケルに夜ご飯を食ベルか?って誘ってくれたけど、なんとなく南インドの空気感を1人感じたいから、
連絡先を交換してバイバイ。


外に出ると、空はオレンジ色の景色が広がっていて、まるでこの旅を歓迎してくれているように迎えてくれた。ずっと流れる景色を窓から見ていたからか、この空に見惚れてしまう。
この綺麗な空をどうやったら伝えられるんだろうな、俺はその瞬間を上手にできるタイプかはわからないけど、きっとこれを見て変わっていくこと。感動したり、忘れられなくて変わっていく姿を魅せれれば、伝わってくれるのかな。好きな本の一節を思い出す。
離れてるから人と人とが近づく。
そんなことはないと思ってたけど、
そんなことあるのかもしれない。

そんなことを考えてると夕焼けは終わり、一気に真っ暗になる。ホテル探しに戸惑ったものの、しばらく歩きこの地区で一番安い、ホステルになんとかチェックイン。

フィリピンの刑務所みたい

市街地に戻りバナナリーフに乗ったフライドライスをかき込んだけど、今日は1人旅の醍醐味のセンチメンタルがやけに長い。少し甘いチャイをうるさい食堂で飲んでるのに、こういう時は聞こえてくる声や音はどっか遠く、意識が自分の中に落ちていく。

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翌日、昼ごはんに念願のミールスを食べられる食堂へ。主に南インドで食べられている、ベジ(菜食)料理を中心とした定食のこと。
バナナリールの上に盛られた色々なカレーや、炒め物、おかずをご飯と共にたべる。 
隣に座った人が「全部混ぜちゃえ!」
って言ってきたので、最後は全部混ぜて食べるとなんの味かわからなかったけど、美味しかった。カレーはブラックホールだ。

美味しかったーーー。

マリーナベイへ。

季節はサマー。

チェンナイもう少し滞在しようと思ったけど、バスとチケットがうまく噛み合わず、なんとなくの直感で夜行バスをゲットし、マドゥライへ。こういうときは時流に任せてったほうがいい。心の中で琴線に触れると、次から次へと街に行きたくなる。一つの街に沈没したりする旅は自分の性格には合わない。
俺はバックパッカーというよりかは、
ワンダーラストなのかもしれない。

出発前に買ったビーサンをくくりつける。


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