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2024年下半期、見た映画の話

さあ年の瀬滑り込みだよ!いくよ!
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1.化け猫あんずちゃん(7月21日 TOHOシネマズ渋谷 スクリーン4)

アニメではあるんだけど役者の動きを取り込んでるので半分実写みたいな印象。あんずちゃんが実質全裸中年男性なのだが、よく舌打ちする育ちの悪い女の子が全裸中年男性との心の交流を経て、自分の居場所を見つけていくという夏休み映画としてはほどよい落としどころの、子供と一緒に見られる映画。森山未來、こうやって肩の力の抜けた役やらせてもうまいよな。あとで原作見てみたらなんと主役?のかりんちゃんが映画オリジナルキャラだった。うせやろ?無から生まれてきたのに違和感ゼロだった。

2.赤羽骨子のボディガード(8月15日 TOHOシネマズ渋谷 スクリーン1)


座席上は満席なのになんかやたらと空席が目立つ映画があると聞いて、それがどうやら赤羽骨子だとわかり、確認のため見に行ってみた。意外と満席でびっくりした。赤羽骨子が悪の組織に命を狙われていて、クラスメイト全員がボディガードという中学生男子みたいなリアリティラインを受け入れられればおもしろい。ラウールはデカいけどバカで、骨子は守ってあげたくなるタイプで、委員長は勇者ヒンメルで、高橋ひかるはポケどこと違って強かった。いい意味で見た後に何も残らない、デート向けの作品。

3.ブルーピリオド(8月15日 TOHOシネマズ渋谷 スクリーン1)

1日に2本も映画を見るな!なお中田さんが絶賛していたのは原作漫画らしい。なんだそれ。「中田さんが言ってた」ならぬ「中田さんが言ってない」
夜な夜な渋谷で遊ぶ男子高校生が魔性の先輩の作品に感銘を受け、美術部に入り、薬師丸ひろ子先生の指導を受けたり、トランス女性の高橋文哉(これがドキッとするほどエロイ)と(自主規制)しながら藝大を目指していくという話。藝大入試をバトル漫画みたいに描くのはおもしろい。でも家にあんまり余裕もないのに藝大行くのは何か心配になってしまう。子供が藝大行きたいと聞い始めたらどうこたえようとか考えてしまった。


4.新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!(8月16日 グランドシネマサンシャイン シアター7)

可もなく不可もなく、主役の藤吉夏鈴はアイドルなのに地味すぎるな、むしろ新聞部部長の髙石あかりがオーラを放ちすぎていて完全に主役を食っていた。私立高の新聞部が理事長のスキャンダルを追及したらそら退学になるよ。裏切ったと思わせて実は…の流れが赤羽骨子と同じでどっちもベタベタなんだなと。

5.ラストマイル(8月23日 TOHOシネマズ渋谷 スクリーン2)


エンターテイメントの枠組みで社会問題に一石を投じる、このバランス感覚が見事。説教くさくもなく、でも茶化すのでもなく、劇中で渡された鍵は観客に手渡されたのだと理解した。Amazonの労働環境とか再配達させないようにしようとかいろいろ考えてしまう。犠牲者は最小限だったとエクスキューズが出るけど、ショッピングモールでベビーカーが吹っ飛んでるシーンを見ると死んではないにしても…とかいろいろ考えてしまっていけない。

6.きみの色(8月30日 チネチッタLIVE ZOUND/9月4日 グランドシネマサンシャイン シアター12IMAX2D)




邦画アニメの現状として、テレビシリーズの総集編や続編を除いたオリジナルの企画で観客を集められるのは、宮崎駿、新海誠、細田守の3人だけなのでどうしても4人目を作りたい、山田尚子をその座に押し上げるために川村元気Pが使った奥の手がミスチル主題歌だったわけ。(覇権アニメの雰囲気を出すことには成功したけれど、作品とのズレも引き起こして、結果としては数字も伸びず目論見は失敗に終わった)
作品としてはおもしろいところも結構あって、言葉に頼らず音楽やダンスで表現していく、アニメでやる岩井俊二作品的な趣。二ーバーの祈りとかガッツリ宗教的な話も出てきて興味深い。トツ子とかあの不思議チャンが不思議ちゃんのままで尊重されるのも宗教系女子校ってそうよねというイメージある。でも岡田磨里みたいに成長のために人が死んだりしないので山とかがなくて退屈と言えば退屈かもしれない。個人的にはトロッ子で退学してた髙石あかりがまた退学してたり、トロッ子では髙石あかりがあこがれた伝説のジャーナリストを演じてた戸田恵子と孫と祖母の関係になっていたのに笑ってしまった。
この作品、トツ子の憧れだったきみちゃんが急に学校を辞めてしまい、きみちゃんと再会したときに居合わせた島の男の子・ルイ君と成り行きでバンドを組んで、母校の学園祭で演奏する、というのが大筋なのだが、これってもしかして山田監督の希望・願望を無意識に描いているのでは?とも思ってしまった。その意味を解説する前にまず前提として、山田監督は京都アニメーション出身であり、監督作品は9作品(TV、映画)であるが7作品は京アニ時代のもので、キャリアのほとんどを京アニで過ごしてきたと言ってよい。しかしながら、先日放映された情熱大陸でもそうだったが、不自然なほどに京アニ時代には触れていない。取材でもNG項目になっているように感じる。なぜそうなったのかは諸説あるが、独立の時期が京アニ事件と前後していることから、一部で報じられた容疑者が山田監督と掲示板でやりとりしていると勘違いしたことが事件の一因とされたことで、(完全にとばっちりではあるが)責任を感じたり、あるいは負傷した同僚や遺族から責められることがあったのかもしれない。もちろん話はもっとシンプルで独立時に京アニ時代の実績については語らないという協定を結んだだけかもしれない。いずれにせよ京アニ退社の経緯はあまり円満ではなかったと推測される。
それを前提に考えると、学校(=京アニ)を辞めたきみちゃんは山田監督で、きみちゃんを追いかけてきたトツ子は京アニ時代から一緒に仕事をしていた脚本の吉田玲子と音楽の牛尾憲輔で、学校と関係ないルイ君は独立後に一緒に仕事をするようになったキャラデザの小島崇史や東宝の川村P、退学したことを長らく伝えられなかったけど最後に学園祭に来てノリノリで踊ってくれたきみちゃんのお祖母ちゃんは京アニ時代のファン。そして学祭で演奏した3曲はこの映画「きみの色」の比喩。と思うんですがどうすか。京アニ時代のファンのみんなに今の自分の作品を伝えたいけど、協定のせいか経緯のせいか大っぴらに言うことはできないけど、みんなには伝えたい、そういうメッセージを勝手に読み取った。

7.ベイビーわるきゅーれ(過去作上映 9月10日 グランドシネマサンシャイン シアター6BESTIA)

月末にベイビーわるきゅーれナイスデイズ(3作目)が始まるので、過去作上映してくれるグランドシネマサンシャインさんのご厚意に甘えて連日で追いつこうとする試み。
瑛人の香水とか時事ネタ使うとめちゃくちゃ古く感じてよくないね。野原ひろしの嘘名言もだいぶ古く感じた。でも伊澤彩織のアクションと髙石あかりの変顔は見る価値ある。髙石あかりはこうやって鍛えられてたのね。出てる俳優のせいか、続編よりやくざ映画とかVシネマみもある。画面も暗いし。

8.ベイビーわるきゅーれ2ベイビー(過去作上映 9月11日 グランドシネマサンシャイン シアター6BESTIA)


連日で続編。正社員の殺し屋と非正規の殺し屋の格差を描く。人は座る椅子によって待遇が違うという椅子理論。あれ、もしかして社会派?賭け将棋ですっからかんになる髙石あかりは見所。花束みたいな恋をしたいじりは監督の名前が似てるからめっちゃ誤認されてた恨みとかありそう。「サカモト監督?あ、花束の人ですよね?」とか言われてて。アホみたいな日常と暴力がシームレスになっているのが相変わらず魅力。非正規兄弟と分かり合えたみたいになってもそれはそれとして仕事なので殺すという割り切りがすごい。ちさととまひろもマネージャーがポンコツだったらあんな最期を迎えてたのだろうか。地上波ドラマのエブリデイで非正規兄弟のことが触れられてちさとが「クリリンのことか―ッ!」みたいにキレてたのがファンサだった。

9.スオミの話をしよう(9月13日 TOHOシネマズ渋谷 スクリーン6)


三谷幸喜は長澤まさみが好きすぎるな、という感想しかない。百万円と苦虫女がタナダユキによる蒼井優の魅力をこれでもかと見せつける映画だったが、それと似てる。まあでも三谷さんは連ドラで毎週積み上げてく時間の使い方のが向いてるんだなと思った。映画はなかなか…。

10.あの人が消えた(9月20日 イオンシネマむさし村山 スクリーン9)

高橋文哉、ブルーピリオドの時と違って粗が目立つな…。オチがどんでん返しなんだけど有名作品のリスペクトなので年配の人からのウケが悪かったみたい。北香那はかわいい。坂井真紀はおばあちゃんになってた。

11.ベイビーわるきゅーれナイスデイズ(9月27日 グランドシネマサンシャイン シアター5BESTIA)

これはシン・仮面ライダーで無駄にいろいろやらされた挙句本編で使われなかった池松壮亮を供養する映画です。シン・仮面ライダーの密着ドキュメントの感想はこれ。

NHKのメイキング見たけど、庵野がめちゃくちゃこだわって俳優やスタッフを振り回した割にはそれに見合うような出来になっていない。

2023年、見た映画の話

池松壮亮が自由に!生き生きと!暴れまわっている!シン・仮面ライダーで鍛えた体と覚えた体術を存分に披露している!「お前たちに俺を殺すことはできない!」が予告と印象が違うけどいいセリフだ!弁当に箸をつけてもらえなくて手で食べて店員を殺した冬月、でもまひろもちさとがいなければそうなってたかもしれないというリアリティ。2でもそうだったけど不運な社不と幸運な社不の対比なんだよな。

髙石あかりの変顔と表情はさらに進化を遂げているし、海での躍動感はすごい。宮崎県庁でのバトルも圧巻だし、池松壮亮のこいつ倒せるのか?感は異常。ドキドキしながら楽しめた。あ、前田敦子も立派に女優してたね。

12.傲慢と善良(9月28日 TOHOシネマズ渋谷 スクリーン2、スクリーン1)

舞台挨拶見てたら奈緒が蒼井優っぽかった。見てる途中で携帯が鳴りやまなので中座して電話とったら内覧だった。(しかし決まらなかった。なんなの?)途中までしか見られなかったので同日の夜に再チャレンジ。
婚活とは何か?から浮かび上がる現代人の病理。数分しか出てこないお見合い婆の存在感。お見合いとかマッチングアプリだと条件で見るけど、壮大なドラマを乗り越えた二人はお互い唯一無二の存在になったという条件から恋愛になったという話。正直、稚拙な策略がバレて出奔した真実も自分勝手で幼稚な架も似た者同士で割れ鍋に綴じ蓋だと思う。

13.ふれる。(10月4日 グランドシネマサンシャイン シアター4 4DX)

「きみの色」でも触れた邦画オリジナルアニメの4人目の席に名乗りを上げた超平和バスターズ(長井龍雪、岡田磨里、田中将賀)。しかし今回は成長のためにキャラが死んだりしないし、ジェネリック新海誠風味で持ち味が生きていなかった印象。せめてコミュ障の主人公が一番苦労するバーテンダーとしてバイトしてる理由くらい作中で書いてほしかったな。

14.チャチャ(10月16日 ホワイトシネクイント)

やべえ女とイケメンが出会う話だと思ったら、実はヤバいのは…。という少女漫画を読んでたつもりがホラーになってるみたいな話。しかしパニエ履いてくる女はやばいしそれを雇う社長もヤバい。結構おもしろくはあった。一条帝がひどい目に合うしw

15.まる(10月24日 TOHOシネマズ渋谷 スクリーン5)

堂本剛のファン向け作品(エンディングで歌聞かされるとは思わなかった)ではあるけどもぶっ飛んだ吉岡里帆やクズの綾野剛も魅力を放っている。急に権威に持ち上げられて、最後はその権威を小馬鹿にしたのをかえって評価されるところが小気味よい。

16.侍タイムスリッパ―(11月13日 シネクイント)

笑いあり、涙ありのいい映画体験だった。予算がなくても、大物役者を呼べなくても、おもしろいと思ったものをみんなが力を合わせてやればおもしろいものが作れるんだという希望を見せてもらって元気出た。絶賛の声が多いのもわかる。

17.六人の嘘つきな大学生(11月27日 TOHOシネマズ渋谷 スクリーン5)

犯人の動機がしょうもなさすぎる。止めない会社も頭おかしい。でも浜辺美波の肌は接写に耐えられるほど綺麗。東宝芸能所属だからこういう映画にも出させられるのね。

18.八犬伝(12月4日 TOHOシネマズ渋谷 スクリーン4)

現実パートと物語パートの行き来が忙しい。物語パートはスーパー戦隊とかミュージカルっぽいけど、その源流だから似るのは仕方ない。ジョジョを初めて読んでネットスラングばかりだと辟易するようなものだ。内野聖陽の葛飾北斎感は異常。邦画は役所広司が支えていると言われるけどあながち過言ではないかも。
浜路役の河合優実、地味な顔だなと思ってたけどルックバックの藤野先生役で来年期待される女優の一人と。マジか。和風顔だからこういう作品は合うかもだが期待されるほどかなと思ってしまった。

19.来年の展望

まず「はたらく細胞」と「私にふさわしいホテル」は見たいかな。あとは劇場版ちいかわ、さすがに来年はやるでしょ。

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