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地味PM、はじめました
こちらは地味PMアドベントカレンダーの投稿です。
地味PMとは何?と思ったら、まずは永嶋さんによるこちらをご覧ください。
今日は地味PMについて私が最近感じたことを書きます。
地味PMになるのは簡単か
今まで地味PMムーブをひたすら繰り返していた私は、「地味PMは大切だけど簡単な仕事だ」と思っていました。そもそもPMというのは地味な仕事であり、皆生まれながらに地味PMなのだと思っていました。
今なら言える。全くそんなことはないです。
転機は9月に転職をしたことでした。それまでの約10年、転職は経験したもののずっと似たような業界にいました。しかし今回の転職は全く未経験の領域へのチャレンジです。そして、私は転職してからずっと、「地味PMとしての動きって難しい!」と思っています。PMとしての動きができていないと地味PMムーブはできないのだと悟りました。そして、未経験領域のPMって難しい。
では私は今キラキラしているのか?
答えはNoです。地味PMではなく、キラキラPMでもなく…何なんでしょう。やっていること自体は地味なんだと思います。ですが、地味PMではなく、これは…きっと、ただの地味です。
先月はpmconfに出てキラキラしてみたりしたのですが、あれはもう、1年分のキラキラをかき集めて凝縮してぶつけるイベントです。翌日からはひと欠片のキラキラも残らない、ただの地味です。
地味PMとしての動きをするには
地味PMとしての動きは、しようと思えばいつでもできるというものではなかったのです。一体どうしてだろう、と考えていたときにふと全然関係ない話を思い出しました。
視覚のはなし
ここで突然話題を変えて、視覚の話をします。学生時代に眼球運動の研究をしていたのでこのへんは適当にそれらしく話します。
(ここから読み飛ばし可)
ものを見るというのは、視細胞というものが働いた結果脳が像を認識してできることです。視細胞は大きく分けて2種類あり、人間の場合、網膜の中心部に錐体、周辺部に桿体と呼ばれる細胞が多く分布しています。
錐体、桿体はそれぞれ得意不得意があります。よって、視野の中心でものを見る中心視と、周辺部でものを見る周辺視ではものの見え方が違うのです。
具体的には、中心視はものをはっきりと見ることができますが、実は動きを追うのは不得意です。逆に、周辺視は、動きを察知するのに長けていますが(あとは暗いところで見るのも得意です)、ものはぼんやり見えますし、色の認識も苦手です。スポーツの時などに視野の隅のほうが他のプレイヤーの動きが察知しやすかったというような経験はないでしょうか。これは中心視よりも周辺視のほうが動きを追うのに適しているからです。実際に、スポーツの世界のトッププレイヤーはこの周辺視の使い方が非常にうまいのだと言われており、例えば剣道では竹刀の動きについ目が行きがちですが、熟練者になると中心視は常に対戦相手の目を捉え、竹刀の動きは周辺視で見ているのだそうです。
(ここまで読み飛ばし可)
まとめると、
・くっきりはっきり見ることが得意だけど動きを捉えるのが苦手な中心視
・動きを捉えるのが得意だけどぼんやり見えて色の認識が苦手な周辺視
ということになります。
さて、地味PMにも中心視と周辺視の双方が必要なのではないかというのが私が考えていることです。何のこっちゃと思いますよね。私もよくわかりませんが、何となくこんな感じかなと思っていることを書いてみます。
地味PM的中心視と周辺視
PMとして中心視で捉えるべきは当然自プロダクトです。解像度高く鮮やかにその姿かたちを捉える必要があります。動きを捉えるのに不安があるとか、そんなことは極論どうでもいいのです。プロダクトの動きは自分で形づくるものだから。(若干無理やり)
そして周辺視で捉えるべきものは周囲の動きです。これは他のメンバーや他のプロダクトの動きだったり、プロダクト開発以外のチームの動きであったり、社外の動き、社会情勢なども含みます。これらの動きを素早く察知し、プロダクトに反映させていく…というのももちろん必要なのですが、地味PMの文脈では落ちそうなボールを拾うとき、危険な動きを察知するときに必要とされるのがまさにこの周辺視です。
私に必要だったこと
転職してからの私は、
・自分の担当領域の解像度が十分に高まっておらず、自分のことで精一杯
・周囲のことなんて見ている余裕はないし、見たところでそれが何だかよくわからない
という状況で、言い換えればつまり、
・自プロダクトを中心視で見ようとしているが視力が悪くぼやけて見える
・周囲のことを周辺視で見なければならないが、中心視で捉えたこともないのでそれが何だかわからない
・そもそも熟練度が上がっておらず周囲のことも中心視で見るしかなく結果的に自プロダクトからフォーカスが外れがちで解像度が上がらない悪循環
みたいなことが起こっていたんじゃないかと思います。
では、地味PMとしての振る舞いに必要なのは何か。それはきっと、中心視と周辺視を本来の用途に合わせてフルに働かせ、
・自分の担当領域の解像度が高い
・周囲の動きが見えている
という状態になることなんだと思います。自分の担当領域の解像度が高いからこそ、周囲に気を配ることができる。周囲の動きが見えているからこそ、誰もがやらない、またはやりたがらない仕事に気づくことができる。だから地味な仕事ができるのだと思います。
地味PM、はじめました
このままではただの給料泥棒になってしまうので、地味PM業をぼちぼち始めました。前述のとおり、私の無理やりこじつけ視覚理論によると高い解像度と周囲の動きが重要だということです。であれば、それを改善することで地味PMとなってやろうではないか、というアプローチです。
ありがたいことに、視覚と異なってPMの仕事は工夫と努力で改善できるのです。
まず解像度について。プロダクトが関連する業務領域そのものについては解像度を上げるしかないのですが、実は既にある程度解像度が高まっている状態の領域をとりに行くという手もあるのだなと気づきました。
具体的には、金属加工のことはよくわからないけど、倉庫オペレーションでどんなIDが必要になるかとか、リピート品のデータはどう持てばいいのかというようなことは2社目で散々考えましたので、そういった領域に少しばかり関わりつつそれを足がかりに自分の領域について深めていくということをしています。
同時に周囲の動きを掴むこともやりに行っているのですが、これは私自身が動くというより、周囲の協力を仰ぎながら動きが見えるようにするという感じで、これは本当に周囲の皆のおかげで成り立っております。
社内のプロダクトマネージャー全員集合してみたり、無理やりロードマップをマージしてみたり、ヘルプデスクを統合してみたりと、そんな活動を通じて周囲の動きがようやく少しずつ見えるようになってきたかなと思います。(そしてその活動のひとつひとつがよく考えたら結構地味だった!)
少し出遅れましたが、地味PM、はじめました。
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