母になる日
摘んできたたんぽぽの花が
私の部屋で
わたげになりました
綿雪のように柔らかく
本棚の上に舞い降りた種子…
私は
じっと見つめます
もし
この種を
真っ青な空に放つことができたら
私の手のぬくもりを
覚えていてくれるのでしょうか
かあさんと過ごした想い出と一緒に
私と過ごしたわずかな時間も
心の中に携えて
この種子は
はじめての空の旅に
出て行くことになるのでしょうか
そうなることを
ぼんやりと夢見ながら
私は窓枠から手を出し
ゆっくりと開いた手のひらに
息を吹きかけました
世界に1つしかないいのちを
間違っても
指の間から溢して
ダメにしてしまうことがないように