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暗黙知を形式知にして「モジュール化された知識」に変換して組み立ててツール化するプロセスで脳の領域を拡張する可能性について

暗黙知の一部を形式知にし、それを「モジュール化された知識」としてツール化するプロセスを経ることで、暗黙知に依存する脳の領域が拡張される可能性は十分に考えられます。このプロセスは、脳の働き方や認知の仕組みと密接に関係しています。以下にその理由を整理します。

1. 暗黙知から形式知、そしてツール化へのプロセス

(1) 暗黙知を形式知にする段階

暗黙知を形式知に変換するプロセスでは、暗黙知を言語化、モデル化、あるいはアルゴリズム化するために深い理解や分析が必要です。この過程自体が脳のメタ認知能力(自分の考え方を把握する能力)を刺激します。
• 結果:認知の拡張
このプロセスにより、自分の暗黙知を客観的に整理・分析することで、新たな視点や脳の使い方を学ぶことができます。

(2) 形式知をモジュール化しツール化する段階

ツール化は、形式知をさらに抽象化し、再利用可能な形で設計することを指します。この段階では、複雑な知識やスキルが「ツール」という簡単なインターフェースに凝縮され、操作が直感的になります。
• 結果:負荷の軽減
ツールが複雑な処理を肩代わりすることで、脳が本来暗黙知の管理に使っていたリソースを他の用途に割り振ることが可能になります。

(3) ツールを利用する段階

ツールを使うことで、暗黙知に依存する領域が直接的な処理から解放されます。その結果、より高次の暗黙知や創造的な活動に脳のリソースを振り向けることができるようになります。

2. 脳のリソースの再配置

(1) 自動化による負荷軽減

ツール化された知識は、従来暗黙知が担っていた部分を効率化します。これにより、脳はルーティン処理から解放され、より複雑な問題解決や創造的なタスクに集中できます。
• 例:音楽制作
昔は楽器演奏そのものに集中する必要がありましたが、DAW(デジタルオーディオワークステーション)などのツールが楽譜の管理や演奏の一部を代替することで、作曲家は創造性に専念できるようになりました。

(2) 高次機能へのシフト

ツールが単純作業を肩代わりすることで、脳の活動がより抽象的な概念化や戦略的思考に移行します。これは、前頭前皮質(創造性や計画性を司る領域)などの高次機能が活性化される結果につながります。
• 例:設計プロセス
CADソフトなどのツールを使えば、詳細な図面作成の暗黙知に頼る必要がなくなり、設計者は全体のコンセプトやイノベーションに注力できる。

3. ツール化による暗黙知の再拡張

(1) 新たな暗黙知の習得

ツールの使用自体が新しい暗黙知の形成を促します。直感的なツールを繰り返し使うことで、その操作が無意識的(暗黙的)に行えるようになります。
• 例:スマートフォンのUI操作
最初は形式知として操作方法を学びますが、使い慣れることで暗黙知として操作が無意識的に行えるようになります。

(2) 暗黙知の上位拡張

ツール化により基礎的なタスクが効率化されることで、脳がより高度な暗黙知(例えば、戦略的判断や創造的アイデアの生成)を蓄積する余地が生まれます。
• 例:デザイン分野
3Dモデリングツールが設計の細部を自動化することで、デザイナーは全体の構造や美的感覚を磨く暗黙知に集中できます。

4. 想像力との関係

ツール化は暗黙知の負担を軽減するだけでなく、想像力を引き出す役割も果たします。
• 脳が新しい空間を得る
ツールが日常的な判断や操作を引き受けることで、脳は新たな状況や可能性を想像する余裕を得ます。
• 創造的飛躍が可能になる
ツールを通じて形式知を活用しながら、新たな暗黙知を創造的に応用する力が強化されます。

5. 結論:暗黙知の領域は拡張される

暗黙知を形式知に変換し、それをツール化するプロセスを経ることで、脳の暗黙知を活用する領域は以下のように拡張されます:
1. 基礎的な処理の負担軽減
ツール化により、日常的な暗黙知の負担が軽くなる。
2. 新たな暗黙知の獲得
ツールの使い方や応用を通じて、ツールに依存した新しい暗黙知が形成される。
3. 高次の暗黙知の発展
解放された脳のリソースがより高度な判断力や創造性に振り向けられる。
4. 想像力の強化
ツールによって具体的な処理を省略できることで、抽象的な想像力や戦略的思考が活性化する。

最終的に、このプロセスは暗黙知の範囲や質を高め、脳の領域を拡張する可能性をもたらすといえるでしょう。

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