”史上最低の遊園地”から、世界最新の魔法の街へ -- ハリポタのテーマ施設まもなく開園
真っ赤になった豊島園駅
今東京は、練馬が熱い。街が大きく変わろうとしている。
西武池袋線の練馬駅から、ひょろっと分岐している路線を行くと、一駅で終着駅に着く。豊島園駅だ。元々は、遊園地「としまえん」への入り口だった。そして来月からは、こちらの施設へのエントランスとなる。
世界中を席巻した、あの魔法の世界の物語「ハリーポッター」をテーマとしたエンターテインメント施設、その名も「ワーナーブラザース・スタジオツアー東京・メイキング・オブ・ハリー・ポッター」だ。
(それにしてもこのネーミング、長すぎ・・・省略するにもどう略して良いものかわからない。多分結局みんな単純に「ハリポタ行ってきたよ」とか言うことになるんだろうな。笑)
豊島園のホームに降り立つと、その変わり様に驚く。
ハリーたちが魔法学校に入る時に降り立ったホグズミード駅の世界をイメージしているのだろうか。真っ黄色の電車は、真っ赤なプラットフォームに滑り込む。
とにかく、赤、赤、赤の世界だ。
ハリーたちがロンドンと魔法学校を行き来する時に乗る「ホグワーツ特急」をイメージしているのか、こんなオブジェも。
駅名の表示板もこの通り。
おまけにトイレまで。
”史上最低の遊園地(!?)”としまえん
「ハリポタ施設」ができる前にあった「としまえん」はなんと1926年(大正15年)開業の由緒ある遊園地だった。
実は、大学生になってから上京したため、子供の頃にここで遊んだ記憶がない私にとってとしまえんは、「史上最低の遊園地」(笑)。
悪口ではない。90年に出されて話題を呼んだ、自虐的なCMキャッチコピーだ。遊びに来た親子が困り果てて「来るんじゃなかった!」「ダッサー!」など叫ぶという斬新なものだった。
としまえんと言えば、関西の、ちょっとダサいと言われることを逆手に取って健闘している「ひらかたパーク」を思い出す。二枚目の岡田准一さんに真顔でギャグをやらせるCMシリーズが話題だと聞くが、としまえんも、ディズニーなどと勝負しても仕方ないわけで、こういう路線で、東京の幅広い年齢層に愛された。
日本初、世界初のオンパレードだった「としまえん」
しかし、としまえんは、実は時代の最先端を行き、日本初、世界初がたくさんあったという。
50年代に世界初の屋内スキー場、60年代には世界初の流れるプールを作ったというのだから驚きだ。
そして有名なのは、回転木馬「カルーセル・エルドラド」。
最初に乗った時は、雰囲気は良いけど、上下の動きもないしなんだかなと思ったのだが、実は侮るなかれ。これは1907年にドイツの名工によって手作りされた世界最古の木製の回転木馬の一つだという。
愛され、惜しまれて閉園
地味なのに、実はすごい。
そして夏と言えばここのプール。子供達にもカップル達にも最高の場所だったに違いない。
そんな遊園地だからこそ、2020年8月末に閉園した時には、驚くほど多くの市民が押しかけた。「ありがとー!」と叫ぶ人たちを見た時は、私もじんと来た。
閉鎖後何ヶ月か経っていただろうか、再び訪れた時にも、門前に花束が置かれていたり、「ありがとう」と書かれた手作りの飾りがかけられたりしているのを見て、驚いた。ここまで文字通り愛されていたのかと。
「ハリポタ施設」を外から見ると・・・
その「としまえん」が消えて3年近くが経った。
建設がほぼ終わった「ハリポタ施設(他にどう呼べばよいだろう?)」を外から見ることができた。
おお、これか。なんかパッと見、建物は区民体育館みたいと言ったらとても失礼だろう。中では、映画ハリーポッターのファンならば唸るような、舞台を忠実に再現した展示があるのだという。
外観がプレハブのようで、それこそ体育館か倉庫みたいなのがちょっと残念だけれど、内容に期待したい。
目を横に向けると・・・
ああ、ここはとしまえんプールのあった場所のようだ。
ここで子供時代を、青春を過ごした人の目にはどう映っているんだろう。
最後だけ頑張ってもう一度正式名称で・・・「「ワーナーブラザース・スタジオツアー東京・メイキング・オブ・ハリー・ポッター」の開業は、6月16日だ。
ちなみに、恥ずかしながら今まで一度もハリーポッターを、小説はもとより映画も観たことがなかった私。子供向けのファンタジーだろう、程度にしか思っていなかったのだ。しかし、この施設をもし訪ねるならば、何も知らなかったら面白いはずがない、と第一話「賢者の石」を観てみたら・・・
甘くみていた。結構面白かった、いや、正直すごく引き込まれた。ファンタジーな物語の中にも、色々なメッセージを感じ取った気もしたのだった。
また、自分に置き換えて、力のある偉そうな者から理不尽な扱いを受けて辛い思いをした時、ちょいと杖を振って魔法を起こして、意地悪を笑い飛ばせると痛快だなと、楽しい妄想をしてしまったのだった。闘いに疲れた中年男を「脳内現実逃避」させてくれるような。
開園までに第二作以降も観ておこう。
ただ、あの一棟のプレハブの建物に、ディズニーランドを少し安くしただけの入場料、大人6,300円は、ちょっと・・・躊躇してしまう額ではあるが。
この施設が、どれだけ世界の注目を集める内容で、ファン以外の人をも惹きつけ、さらにリピーターを作れるのか。まだまだ未知数だが、今、練馬に要注目だ。
おっと、最後に、いつものように中国語を一つだけ。
ハリーポッター。中国語では・・・
哈利波特
(hālì bōtè =ハーリーボートォー)
ちなみに、クラスメートの可愛い女の子「ハーマイオニー」は、
中国では、赫敏 (hè mǐn ホォーミン)
台湾などでは、妙麗 (miào lì ミィアオリー)
ええ!? なんでですかね?
いつも思うけれど、こういうの誰がどうやって決めるのだろう、と。