「沈下橋」 - 清流の上のスリル! 【AJ旅 in 高知】
「沈下橋」って何!?
「沈下橋(ちんかばし)」という橋の種類を、ご存知だろうか?私は最近初めて知り、初めて見た。
洪水が起きた際に、なんと、水の中に沈むことを前提に作られた橋のことだそうだ。流木や土砂などが引っかからないように、欄干が最初からつけられていない。「潜り橋」「流れ橋」はたまた「地獄橋」などと呼ばれて日本全国に存在しているという。シンプルな構造だから、流されてもまた架け替え易いということか。
中でも有名なのが、四国の清流、四万十川や仁淀川にかかる数々の「沈下橋」だという。
有名な沈下橋を断念
このほど、「人生初高知」を経験したのだが、その時に行くべき観光地を検索していたら遭遇したのが「沈下橋」という言葉と、その写真。特に300メートル近くもある「佐田の沈下橋」が圧巻で、行く計画を立てた。 300メートルも欄干がない橋って、怖いもの見たさで見てみたい!
しかし、地図で見るのと実際の距離感覚は違うもので、思いのほか高知市から遠く、旅程があわなかったため、計画を断念。その代わりに違う観光地に向かうことにした。そして、沈下橋のことはすっかり諦め、四万十川と同じく全国有数の清流、仁淀川沿いの道を走っていたところ・・・
おっ?あれ、もしかして沈下橋? 道間違ったかな・・と一瞬思うほど、写真で見た佐田の沈下橋に似た光景が。通り過ぎてしまったので、方向転換して川縁に向かうと、そこには看板が。
「名越屋(なごや)沈下橋」
仁淀川にもいくつか沈下橋があり、最下流にあるのがこの「名越屋沈下橋」だという。
説明によると、佐田沈下橋の300メートルには及ばないが、こちらも191メートルと、結構な長さ。
「仁淀ブルー」という清流の上を、まったく欄干がない、200メートルの細い橋が架かっているのは、実に不思議な光景だった。
ドキドキの橋上
そして、数分に一度、地元の方だろうか、車が通過していく。恐る恐るではなく、結構なスピードで。そして両方向から。
写真をご覧いただくとわかるが、車一台通るのがやっとの道幅。対向車が来たらもう終わりだ。バックしながら戻るなんて恐怖すぎる!
幸い見通しはよいので、対岸に対向車が来ていないことを確認してから、さっと通るのか。それにしても200メートルは結構ある。人もいるかもしれないし・・と橋をよく見ると、ところどころに待避スペースのようなものが、つけられている。
それにしても、だ。橋を歩いている時に車が来たら、さっとここによければ、なんてもんじゃない。人2人入るのもやっとの小ささ、そしてちょっとバランスを崩したら・・
・・と言いながらも、私も来たからには経験しないと。周りに車と人がいないことを確認したうえで、ビビりながら通ってみた。
実録! 車で橋を渡ってみた
↓↓ インスタグラムに載せた30秒動画を、ぜひご覧ください😅
観光のあり方の難しさ
そうこうしているうちに、同じように「わ」ナンバーの観光客が何組かやってきた。橋のへりに座って写真を撮るなどして、思い思いの時を楽しんでいる。
自分も観光客なので、言う資格は全くないのだが、あまりに観光地として賑わうと、この橋の存続に関わってくるかもしれないと思った。
人里離れた静かな環境を求めて都会の人はこういう所にやってくるが、私も含め皆が同じことを考えているわけで、あまりに人が増えると事故も起きかねない。
私もそうなのだが、実際は周辺に他の観光客がいっぱいいるのに、写真では秘境感を出したいので、他の人が写り込まないように、かなり無理した体勢で撮影したりする。それぞれは、純粋に、日々の都会の喧騒を離れてのんびりしたいだけなのに、結果的に、都会にいる時と同じように、人混みの中で無理して行動していたりして、何か矛盾しているような。
四万十市観光協会もHPで注意を呼びかけていた。
沈下橋は住民の「生活道路」だと。沈下橋を観光資源として利用する反面、こういう問題もあり、そのバランスを取るのが難しそうだと思った。
美しき青き仁淀
今回、この名越屋沈下橋は、幸い観光客もそんなにいなかったので、スリル満点ながらも、しばしのんびりとした時間を過ごせて、とても満足だった。なんといっても、橋の上から、欄干なしに直接覗き込む仁淀川の澄んだ流れには、心洗われる。
そして、目を凝らすと、無数の魚たちが!何の魚だろう。
こうした、非日常の自然を楽しむ場所、そして、安全面だけで言うとちょっと危ないかもしれないけど、地元の人たちが大事にしてきた素晴らしいものを存続させるためにも、バランスの取れた、節度ある観光が必要なんだろうと思った。
自分の旅の仕方、写真の撮り方も、見直したほうがよいかもしれないな。
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今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
AJ 😀