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成熟した「観光大国」って、どんなだろう?

東京にいると、インバウンドが確実に戻ってきているのを感じる。
渋谷のスクランブル交差点は、ここの何がそんなに良いのかと個人的には思うけれど、どこを向いても、自撮り棒を持ってはしゃぐ外国人観光客だらけだ。

英語に韓国語に、インドっぽい言葉。そして中国語も、これまでは、聞こえてきたと思ったら大体が台湾風だったが、最近は大陸っぽい響きのものがまた増えてきたように感じる。大陸の観光客も戻ってきているのか。

この前、浅草に行ったら、和服を着た人の大半はベトナム人などの外国人だった。それにしても、身動きが取れないほど、不快なほどの人混み。もうキャパを超えた、まさに「オーバーツーリズム」に近い状態になっていると感じるが、当の外国人観光客の人たちは満面の笑み。心から楽しそうだ。お金を払ってまで来てみたいと思ってもらえる国ではあるようで、それはありがたいことだと思う。

ただ、受け入れる側はどうだろう。気持ちよく、自然に外国人を受け入れられているだろうか。

最近また、外国人がピカチュウなどの着ぐるみを来て、マリオカートのような車両に乗り込み、10台あまりの車列を組んで東京都心を駆け抜ける公道カートがまた復活しているようだ。皆一様に相当嬉しそうな顔で、信号待ちの時にお互いに写真を撮ったりして満喫している。しかし、このカート、これまでもやたら色々批判されてきた。事故などの安全上での問題がその理由だ。

しかし、私はその批判に、どこか嫌な感じのものが底辺にあるような気がずっとしてならないのだ。

あのカートの車列は安全面では確かに危険で、自分が車を運転をしている時にカートの集団に出くわしたら迷惑だと感じるし、怖い。しかし、よく考えると、今流行りの、街中を、車道、歩道を問わず我が物顔で走り回り、逆行も信号無視も当たり前の電動キックボードの方がはるかに迷惑だし、怖い。自転車だってそうだ。外国人観光客のカートをやたら声高に批判する人は、日本人の乗る電動キックボードも自転車も、同じように声高に批判しているだろうか。私も外国に行ってあのようなサービスがあったら、単純に喜んで乗ってしまいそうな気がする。

どうも、「マナーが悪くて困った外国人たち」という括り方を、必要以上にしたい人たちがいる気がするのだ。

外国人観光客を批判する記事や、SNS上での声を見ていると、どこか、内向きで、保守的で、とかく排外的になりがちで、なんか萎縮した、そしてそのストレスを外に向けることで溜飲を下げるような、そんな社会の雰囲気を反映しているような気がしてならないのだ。

ただ、このカートのことは知らないが、逆に外国人を受け入れるようとする方にも問題がありそうだ。インバウンドに乗じて安易な金儲けに走ろうとする、少し胡散臭い経済活動が多すぎる気がする。

やたら外国人に冷たい目を向けたがる人、逆にビジネスチャンスだけを求めてインバウンドに飛びつく人。そのどちらでもなく、自然な形で外国人を受け入れ、ホスピタリティーで外国人をもてなすだけでなく、こちらも交流を通して色々学びたいと思うような人が多くいる、そういう社会的な素地が日本にもできてほしい。

そしてそれができるためには、その前段階として、インバウンドの外国人ではなく、まずは隣にいる外国人とうまく共存していく知恵やマインドセットを身につけないといけないと思う。それが出来なくては、今や懐かしい「お・も・て・な・し」の言葉も空虚に響く。

初来日は回転寿司と着物撮影だけの「なんちゃって日本」で満足した外国人が、それ以降もリピーターとして来てくれるか。何度も訪れたくなる真の「観光大国」を目指すには、安っぽく着飾ったおもてなしではなく、自然に受け入れ、こちらも草の根で楽しむ人がたくさんいる、そんな社会の雰囲気を作ることが必須条件だと思う。

ところで先日、台湾から来た、日本語はネイティブレベル、日本大ファンの友人からショッキングな言葉を言われた。「日本好きなんだけど、なんか最近サービスが悪くなってきたね。なんか冷たいというか。”世界の普通”に戻っただけかな(笑)」と。彼は笑っていたけど、私は笑えなかった。

日本人が日本人の凄さを再確認してほっとしたいだけの、「世界で日本はこんなに尊敬されている」的な言説は、私は苦手なのだが、確かに尊敬されていたものの一つは、きめ細やかなサービスだろう。しかし、その一番のウリも、社会の萎縮によって、劣化してきたのだろうか。実はこの台湾の友人と同じようなことをいう外国人に、最近何人か出会ったのだった。

日本ははたして成熟した「観光大国」になれるだろうか。

いや、そんな大それたことより、私は、明日、一緒に仕事をしている外国人ともっと交流して、色々話を聞いてみよう。私は彼らのことをよく知らないことに気がついたから。

きょうも最後までお読みいただき、ありがとうございました。
AU 😀

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AJ 「英語×中国語=∞!」英中両語で、世界を広げる。
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