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今も大切にしている、石屋になって初めに思った”温度”のこと。

ボクは今、香川県高松市でお墓さんを作る仕事をしています。地元の霊峰である五剣山の麓で採掘される「庵治石(あじいし)」という石を使って、地元の職人さんと共に「庵治石」でお墓さんを作っています。ボクが石屋になったのは6年前。小学校教諭をしていたボクは、「どうしても石屋をやりたい…。」という気持ちを止めることができず、約20年続けた教師を辞めて石屋の世界に飛び込みました。

そのキッカケとなったのは、妻と結婚してから、毎晩のように一緒に飲んでいた親方(義父)である”ひとっさん”から、「庵治石」の魅力について、そして「庵治産地」の魅力について、話を聞かせてもらっていたことでした。「『庵治石』がどれだけ魅力的な石なのか?」ってことだったり、「これからのお墓さんについて」のことだったり…。とにかくたくさんの話を聞かせてもらって、心が惹きつけられるというか、魂が震えるというか、そんな感覚になり、ただただ”ひとっさん”の思いを継ぎたい…と思いました。

庵治産地で作るお墓さんには”温度”がある。

石屋になって、一番初めに”ひとっさん”の仕事を見せてもらいました。”ひとっさん”の仕事は、大丁場で採石をしておられる「大進石材」さんから原石を仕入れ、それぞれの工程の職人さんにお願いして、お墓さんに仕上げる仕事です。それぞれの職人さん、めっちゃ素敵な方ばかりです。

ここ庵治産地は、昔から「庵治石」が採掘される地域で、山の麓に200軒を超えある石屋が軒を連ねています。大きな工場もありますが、ほとんどがそれぞれの工程の専門家で分業制でお墓さんを作っています。採石、石割、切削、研磨、役物、丸物、手磨き、字彫…など、それぞれの工程の専門の職人がいます。

石屋になってすぐに思ったことは、「この庵治産地はステキだ!」ということ。

石屋になる前は、出来上がったお墓さんについては見てきたけれど、そのお墓さんがどんな風に作られているかってことは、想像もしていませんでした。でも、実際に庵治産地でお墓さんを作っている職人さんの姿を見たら、無機質なものではなく、温かな”温度”さえ感じるような気持ちになりました。

まず、石が採掘されているのは瀬戸内海が見渡せる山の上の大自然の中…。そこにめっちゃステキな職人さんがいて、こだわって仕事をされている…。職人のおっちゃん達はみんなやさしくて、めっちゃステキな方々…。それまでは感じたことがなかった、不思議なこの”温度”に似た雰囲気と一緒に、お墓さんをお届けできたら、どんなにステキなことだろう…って、本気で思いました。

お墓さんを作ることにど素人だったボクが心から感動したこの時に感じた「庵治産地の”温度”とともに『庵治石』のお墓さんを届けたい…」という思いは、これからもずっと大切にしたいと思っています。

庵治産地と自分自身の”温度”を乗せた、心が込もった「お墓さん」を作る!

仕事を続けてきて、庵治産地の風景やこれまでの歴史のこと、職人さんの言葉…など、始めた時に感じた以上にたくさんの”温度”を感じることがありました。庵治産地は、本当に魅力的です。これからも、しっかりとその”温度”のもとになるものを見つけて、「お墓さん」にしっかりと込めていきたいと思います。そして、何より自分自身がしっかりと修行を続けて、「お墓さん」の意味、「お参り」の意味をもっともっと学んでいきたいと思っています。そして、自分自身の”温度”も込めて、しっかりと「お墓さん」を作っていきたいと思います。

そして、庵治産地、そして自分自身の”温度”とともにボクが作った「お墓さん」をお届けして、その「お墓さん」に手を合わせてくださった方の心が、少しでも助けられるように…と心から願っています。そして、いつか「お墓さん」を必要とされている方から「君が作った『お墓さん』が建てたい…」とおっしゃっていただけるようになることが今の夢です。日々しっかり精進したいと思います。

庵治石細目「松原等石材店」3代目・森重裕二






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