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子どもの目を通して見る世界人口

 小学生のわが子2人と世界人口について話す機会がありました。この対話を通じて、子どもたちの思考過程についておもしろい発見がありました。

一人目の子どもは、現在世界の人口が毎日23万人増えていると伝えたにもかかわらず、1950年頃の方が人口が多かったと予想しました。理由を聞くと、日本の少子化ニュースをよく聞くからだと答えました。この子は単語で意味をとりがちで、頭の中に浮かんだ情報にとらわれやすい性質があります。

 ただ、日本と世界の視点を分けて考えるよう促すとすぐに理解しました。さらに話を進めると、この子どもは人口増加の理由について「戦争で人口が減っていて、そこから人口が増えた」と答えました。歴史的な観点で、子どもの思考の広がりを示しています。けれど、水や食料の改善といった他の要因についてはいくつかヒントを伝えても、思いつかないようでした。

 二人目の子ども(小学3年生で学習障害がある)は、現在の世界人口を96億人、1950年頃を71億人と予想しました。実際の1950年頃の人口が約25億人だと知ると驚いていました。人口増加の背景として医療の進歩を挙げ、「だから沢山結婚して子供が沢山生まれた」という独自の解釈を述べました。それ以外の要因は一人目の子どもと同様に思いつけない様子でしたが、少し話を進めると「水や食料がよくなったからだ!」と気づき、新たな視点を思いつきました。

この対話から、子どもたちがそれぞれ異なる視点や推論方法を持っていることがわかりました。一人目の子どもは身近な情報から世界の状況を推測し、歴史的な視点も持ち合わせていましたが、生活環境の改善という側面には気づきませんでした。二人目の子どもは医療の進歩という大きな要因に着目し、さらに対話を通じて水や食料の改善という新たな視点を得ることができました。

実際のデータを見ると、世界と日本の状況の違いが明確になりました:

世界:

  • 出生:約39万人/日

  • 死亡:約16万人/日

  • 増加:約23万人/日

日本:

  • 出生:約2,370人/日

  • 死亡:約3,830人/日

  • 減少:約1,460人/日

また、長期的な人口変動を見ると:

  • 1951年:約25億4000万人

  • 2024年:約81億6000万人

この73年間で世界人口は3倍以上に増加しました。

 子どもたちが質問を重ね、自分なりの考えを述べてくれたことは、とても嬉しい経験でした。それぞれの子どもが独自の視点や推論方法を持ち、さらに対話を進めた時に、新たな視点を獲得していく過程も違うことを知ることができたのはとてもよい経験でした。
 この対話を通じて、私自身も思わぬ気づきがありました。子どもたちと話しているうちに、私が子どもの頃、父とこんな風に日常的な会話をしていたことを思い出したのです。そういった何気ない会話の積み重ねが、少しずつ自分の世界の見方を変えていったのだと感じました。

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