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アメリカ大統領選とドジャーズパレードに見るマチズモ

 昨日の大統領選。CNNで開票を見ながら、茫然自失に陥りました。テキサス州に住む友人は「おおよそ予測はしていた」と言いますが、いわゆるブルーステイトであるカリフォルニアに住んでいるとその感覚は皆無で、カマラ大統領の誕生をリアルに期待していました。


 次から次へとトランプ優勢になっていく開票経過を見ることに耐えられず、外へ出て犬の散歩をしながら、ぼんやり「ああそうか。そういうことか」と思ったことがありました。


 結局、アメリカという国はboys' clubなのだ、と。


 「男性社会」というよりも、「boys' club」。要するに、休み時間に男子がドッヂボールしようぜと盛り上がっているノリ。男子が飲み会で武勇伝を披露し合っているノリ。男子だけでヒソヒソ猥談しているノリ。


 ところで、先週はドジャーズがワールドシリーズで優勝し、ロサンゼルスは大いに沸きました。ダウンタウンに3万人が押しかけたというパレードの中継を見ていて、ふと思ってしまいました。腕をブンブン振り上げながらウーとかキャーとか叫んでいる群衆は、まるでゴリラの群れみたいだな……と(もしあそこにいらした人がいたら、ごめんなさい)。折しもトランプの終盤のキャンペーンを見ていて、大統領に不必要な資質であるマチズモを振りかざし、時には下品で卑猥なジョークを飛ばすトランプに沸き立つ観衆が、パレードの群衆と重なって見えてしまったのです。



 ドジャーズに悪いところは一つもないし、こんなに楽しませてもらって感動をもらい、賞賛の対象でしかないのですが、あのパレードにどうも違和感を覚えたのです。闘ってきた男たちと、控えめに寄り添う美しい妻と可愛い子供たち(と、犬)。この構図がマチズムそのもので、アメリカ人はそれが大好きなのです。



 かねてから私は、スポーツ信仰とでも呼べるようなアメリカ文化の側面に、気味の悪さを覚えていました。特に、アメリカンフットボール。フットボールシーズンに合わせて決められる様々な行事日程。学校内でのフットボール選手の優位性。フットボール選手の大学での優遇。そして、フットボールを好きでなきゃアメリカ人ではないとでも言わんばかりの押し付けがましい空気。スポーツ自体に罪はないけれども、私にはどうも馴染めない水だなと思っていました。



 アメリカが熱狂するものが、結局、マチズムなんだ。そう思うと、資質ゼロのあんな人が大統領として持ち上げられるのも、説明がつくな……と無力感を覚えます。でも、この国の半分近くが、今私と同じように絶望のうちにあると思うと、元気を出して、人権を守るため、我々にできることは何かを考えていかなければと思います。



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