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人は、なぜ映画を見るのか?

これは、『人生はシネマティック!』という映画に出てくるセリフだ。

この問いは、別に映画でなくともよい。ドラマでも小説でも漫画でもよいだ。「創作されたモノ」すべてを指して問われている。

さて、あなたならなんと答えますか?

映画の紹介も先にしておこうか。

1940年のロンドンで、時代は第二次世界大戦が始まったばかり。映画会社は、政府に戦意高揚のためにプロパガンダ映画を撮るように命じられる。日夜空襲にさらされるロンドンで、主人公たちはプロパガンダの映画の脚本を書き、映画を作り上げる。
どんな時代や状況であれ、「価値のあるものを作りたい」という作り手の思いは変わらない。女性でも男性でもそれは同じ。そんな映画を作る人の熱い思いを描いた映画。それが今作です。

軽妙な部分やシリアスな部分。そして、時代背景の描写。どれも見ごたえがあって、キャラクターが生き生きとしていて素敵です。「女性の社会進出」という観点でも、さりげなく時代を感じることができる、というニクい作り。急展開にびっくりしたりはしましたけど、まあそこはご愛嬌。

古典ぽいというか、舞台っぽいというか。なんにしても私、「作り手の情熱」を描いた作品ってたいてい好きで、これも好きな映画でした。

さて冒頭に戻りましょうか。「何故、映画を見るのか?」

「単純に楽しいから」
「暇つぶしのため」
「自分でもそういうものを作りたいから、その勉強のため」

人によって様々な回答があると思います。そして、この映画で語られるその答えは、私自身とても納得のいくものでした。それが、

「そこには『意味』があるから」

というものです。

映画には、必ずストーリーがあって、悲しいことや辛いこと、無駄に思えること。そんな様々なシーンが描かれます。そして、どのシーンも必ずストーリーの中で何らかの『意味』があります。意味のないシーンなど存在しないのです。残念なことに、それは『現実の人生とは違う』ことです。

だからこそ人は映画を愛し、映画を見るんだと。

現実の人生では、「後から考えてみれば、あの行動には意味があった」ということはあります。でも多くの場合、それは過ぎ去ってみないとわからないもの。今、自分がやっていることに意味を見出せないまま行動していることも沢山あります。そして、そのまま何の意味もなく、徒労に終わってしまうことも、またあるのです。

自分の行動は……そして人生は、どれも意味のあるものであった、と思いたいからこそ、人は映画を見るのだと。

そんなセリフが私を切り裂いた今作。
令和最初の刺さり映画でした。


#映画 #コラム #エッセイ #人生はシネマティック #レビュー #コンテンツ会議 #戦争

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