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Photo by
noriaki_wada
空っぽの部屋【旅する日本語】
1日ひとつ、物を捨てていくんだ。
あなたはそう言っていましたね。世間では断捨離が流行っていますし、私がここを出ていってからもうだいぶたちます。互いの領分を好き勝手にすることに、私が文句をつけられる立場でもないでしょう。
始めてから半年もすると、部屋はかなり殺風景になっていました。ここは宮崎。暖かい県ですからまだいいんでしょうけど、いろいろ入り用な物もあるのではないかと心配になったものです。あなたは生一本……思い込んだらこう、という人ですから。
そんな懸念が当たったというべきなのでしょうか。1年を待たずに部屋は空っぽになりました。見事に、何一つ残さずに。そう、――あなたも含めて。最後に捨てるのは自分自身。突き詰めたらそうならざる得ない。……とでもいうのでしょうか。どこまでも真面目なんですから。
がらんとした部屋に残ったのは、いくつもの思い出のかけら。
こればっかりは捨てられなかったみたいですね。
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