たけのこ@マンガライターが2024年7月に読んで面白かったマンガ!
暑い日が続いていますね。
この機会に書かないと書けないな~という決意をむねに、記事を書いている次第です。なんかこう小忙しいといいますか……、何事もほどほどにいきたいものなのですけどね。
さてさて。
2024年7月まず上げさせてもらいたいのは、電子書籍しか出なかったこちらの2作品。
『まつり見聞録』
『ガールクラッシュ』8巻
『ガールクラッシュ』、ほんと新刊出るたびに言っておりますが、こんなに面白いのに紙が出ていないことは文化的損失に他なりません。こんなに面白いのに!と毎回出るたびに悔しい思いでいっぱいです。いやでもホントなぜだ……。
電子書籍だけで、そこまで目立った動きをしているわけではないのは把握しておりますが、ここまで面白ければ紙を出せばハゼる可能性は十分あると思うんですけどね。アイドルものはレッドオーシャンだから印象が良くないとかあるのかもしれません。くやしいなぁ。
そしてもう一作。『まつり見聞録』もとっても面白かったです。
小学館系のWebサイト「フラコミlike!」での連載なのかな?なんか情報が少ない……フラワーコミックスはフラワーコミックスですよね。
地方の催事を研究する研究者が主人公。でも探っているのはただのお祭りじゃありません。出てくる催事には共通点があり、じつは宇宙からきたオーパーツを祭っていたり、それに関連するお祭りだったのでした。
要はSFなんですよ。
でもこれがまたジワっと見せてくるんですよ。1話とか、ちょっと変わった山車だなぁと思うくらいで、ほんとに普通のお祭りのお話として読めちゃうんですよね。でも、読み進めると実はそうじゃない、それだけじゃないと。
このゆったりとしたペースは紙で出すには、ゆったりすぎるというか……普通の連載作品としてはかなり異例だと思います。だから、こちらに関してはとりあえずまず電子書籍で出ていることには多少納得感はあります。だからといってそれが面白いことにはなんの疑いもありません。
是非、読んでみてください!
そして紙で出た作品で好きだった作品たちがこちらです!
ちょっと前に出た作品とかもあるんですけど、7月はわりとバラエディにとんだ感じでしたでしょうか。では個別行ってみましょう!
『働きマン』5巻
『働きマン』はズルいんですよ(笑
だって、わたしがちょうど大好きだった時代の作品のなかのひとつで、そのうえこの単行本は、その当時発表されなかったもの。
昔、好きだった作品を数年たってから続編描きましたとか、リメイクしましたとかじゃなくて、そのまま当時の熱量をもってかかれた、当時の作品。そんなの嫌いなわけがないじゃないですか。
中身はもう十数年たって、これはまあ今のコンプラだといろいろアウトだろうなと思う部分は多数ありますけど、そういう部分はそういう部分として十二分に楽しむことができたのでした。
願わくば、「令和の働きマン」をやってほしいです。
でも、それ先生的には『後ハッピーマニア』でやってるつもりなのかしら。
『その着せ替え人形は恋をする』13巻
これ出たの5月なんですけど、着せ恋は定期的に単行本を追っているわけではないので、このタイミングになりました。話題だったんですよね、この巻。――で、気になって読んでみたら度肝を抜かれてしまったという。
数巻前から準備していたコスプレを披露!という感なのですが、このコスプレがすごくて。
読む前は「所詮、絵だし」とみなさんも思うかもしれませんが読めばわかります。こちらの胸の奥底をえぐり取ってくるかのようなあの視線。描きこみがすごい!とか、そういう感じではないのですが、一枚絵としての強さ。
もちろんそこに至るまでに、読者の気持ちを引っ張ってるからこそ、ここで爆発させることができた、という求心力の産物ではあると思うのですが、とにかくこのコスプレを披露している姿だけで心を持っていかれる。天才の所業です。
こんな体験はなかなかできないので、全人類は読むべきです。
これで、ちゃんとラブコメとしても面白いんだからもうすごすぎぃ……ってなります。
『恋せよまやかし天使ども』3巻
そして進撃のエンジェルの3巻です。
2面制のあるもの同士が、その秘密を知ってしまい、互いにひかれて……という感じで、そういう構図自体は今までにもなかったわけじゃないと思うのですが、なんといっても、令和らしいガッサリとした紙面使いとキャラクターの強さでしょうか。
そして3巻はこのキャラをして、そういう方向に持っていくのか!?と思わされて、大変たのしゅうございました。
いわゆる少女マンガはわたしはそこまで数読めてないとは思いますが、キャッチ―さで言ったらかなりのものですし、わたしなら迷わずアニメにします。青田買いしたい人がいらっしゃったらぜひどうぞ。
あと余談みたいなものですが、『うるわしの宵の月』や『ゆびさきと恋々』と同じく、しーげるさん率いるスピカワークスがかかわっているので、あの辺の作品が好きなかたは高確率で刺さると思います。
『ラブ・バレット』
これねー面白かったんですよ。
一応、初連載とのことなんですけど、なんでしょうこの小慣れ感。玄人の所業みたいな強さがあるんですよ。
その銃で相手をうつと恋におちる、過去には弓を持っていたけれど、現代は「銃」をもった天使が恋の手助けを。
……というだけなら、いい話で終わるっぽいんですけど、誰が誰を好きになるのかとかの恋の方向性にかんして天使同士でもめにもめるんですよね。そして、話し合いで解決できないときは、対象者をそっちのけで銃撃戦となるわけです。
キャラも多いし、良くも悪くも雑多……というか、情報量の多さみたいなものはあるのですが、多分それを魅力的なキャラクターたちと、絵の力できれいに魅せる強さがあるのがすごいです。先行き楽しみな1冊です。
『蝉法師 訳アリ坊主三人衆、嫁探しの珍道中』
墨佳遼先生はほんといい人外作品ばっかり描きますね。
ちょっとクセがあるのも確かかとは思いますけど、一度ハマったら戻ってこれない強さがあるので、ぜひともみなさんにも好きなってもらいたいものです。
こちらはセミの一生を琵琶法師にみたてて、その恋のと人生の行方を描いた作品。セミって命の限り鳴いて、伴侶をさがして、繁殖するわけじゃないですか。そんなセミが「坊主」の姿をとり、鳴くのではなく読経をする。そして全力で伴侶を探す。この時点でかなり重めのドラマの空気が漂いますよね。
そういうのを選んでくるセンスというか。セミが薄命で、その短い命で全力でツガイを探す生き物なのはみんな知っていると思うのですが、擬人化し、そこにロマンを見出すのがすごいですよね。
『悪魔二世』
TLでも結構話題になってましたね。
まさに悪魔の二世の女の子が出てくる話なのですが、中庸な立ち位置が今っぽいんですよ。悪魔を親に持ちながら、悪魔に肩入れするわけじゃない。でもじゃあ人間に肩入れするか、といったらそうでもない。
人間に悪い印象はなく、主人公には好感を持っているけれど、だからといってなにかすごいイデオロギーを持っているわけじゃなくて、ただ火の粉が降りかかったら振りはらうし、彼が頑張ってたら手伝ってあげようかな、くらいのゆるい動機で動く。でも実は悪魔だし、力はすごく強い。
大きな力をもっていても、特段の主体性をもって動いていない。ただ居心地のいい環境を求めているだけ。そんな今っぽい悪魔。いや二世だから特にでしょうか。親世代の考えにへきえきした部分なんかもあるのかもしれません。そんな、どこかこだわりのない「いい子」のようにも見える、「悪魔」の二世がはなつ空気が素敵なのです。
『喫茶ニュー魔王城』
そして山本四角先生の新刊ですね。
アメコミ風の筋骨隆々なビーストを描かせたら右に出るものはいません。今作は主人公は店員の女の子だし、そういうかわいい系の女の子も描けるのもポイント高いです。
筋肉に関しては、前作の方がバチバチでしたけどね(笑
あとどういうわけなのか、先生の作品の感想をTwitter(現X)で書くと、海外の方とか?にやたらと反応されるんですよね。そういうファンコミュニティがあるのかなんなのか。
なんにしても筋骨隆々のライオンのような店長(元魔王)が、正体を隠して飲食店をやっているって時点でいいですよね。最高です。
『感受点』
『来世ではちゃんとします』などのいつまちゃん先生が原作をつとめ、『ミューズの真髄』などの文野紋先生が作画をつとめる今作。バリバリのホラーであります。このふたりが組んでいる段階で、もう勝ったようなもんですね。
実際中身も面白い。短編の形で、ちゃんとゾワッと怖い絵をはさみつつ、後半になると実は話同士がつながっていたことがわかるというニクイ作り。こういうことやれる余裕があるのってほんといいことです。なかなか、難しいからこそ楽しいわけですが。
ホラー好きなかたはぜひ!
ホラー好きなら読むべき1冊です!
『大人になれない僕らは』
7月7日をループすることになった男女高校生のお話。
とくに女の子はもうずいぶん前からループをくり返していて、解決しようとか脱出しようとか、そういう段階はすでに通りこして、ただひたすらに夏を満喫する。この抜けるような空気感がすばらしいです。
そして女の子側が、男の子に好意……というか、まあ迫るのですが、やんわりと「いやまだ違うんじゃない?」と、時限付きで拒絶する、煮え切らない感じがまたいじらしくて素敵です。草食系め。ラブコメかよ。ラブコメか。
最初、これ、1話読んだときに正直思ったんですよ。8月31日にループしてるやつとネタかぶってるじゃんと。
そんなわけで単行本を買おうか悩んでいたのですが、結局買って、読んだ結果とても面白かったです。設定や立場にかんしては結構近いものがあるので、姉妹のような作品と言っても過言ではないのですが、どちらも面白いです。どちらも捨てがたい。
向こうが先にはじまっているタイミングだけに向こうに分があるんですけど、ぜんぜんこっちも面白いので読まないのはもったいないです。
『なんくるなんない!』2巻
やっと最後だ!『水曜日のシネマ』の野原多央先生の最新作。超能力少女たちと、お父さんのドタバタアクションサイキックコメディーです。
なんでしょう、キャラクターがしっかりしてて、アクションがしっかりしてて、ひとしきり暴れると、そこに自衛隊のお父さんがちゃんと鎮圧というか、捕獲というか大人がちゃんと動くこの世界感がしっかりしてていいんですよ。細かいとことまで気を抜かないクオリティとリアリティの高さといいますか。
このままアニメにも出来そうです!
というわけでの10作品+2作品でした!なんか今回あんまりなんにも考えずにパチポチしたからながくなった気がしていたのですが、そうでもないのでこれは単にわたしがつかれているせいなのでしょう(笑
というわけでの以下、その他作品です。
その他
ま、このへんはもうリンクだけで。『ツユクサナツコの一生』だけは旧作かな。どれもとっても面白い作品でした。もう疲れたから、今月はこれでお終い!(笑
一晩寝かせたら出すことにいたしましょう。
今月ももう半ばなので、そろそろ来月の算段もしていかないとね……
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