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泣いてちゃごはんに遅れるよ 寿木けい
エッセイストで料理家、寿木けいさんのエッセイ。
一気に読んでしまうのがもったいなくて、一編一編ゆっくり読んだ。
この本は、編集者から「やりくり」というキーワードを提示され、「暮らしの工夫や段取りについて書くうちに、ままならない人生に都合をつけるための心の持ちようへと、筆がつながっていった」とある。そう。ここに書かれているのは、暮らしの工夫や段取りなんかではなくて、堂々と生きていくための心の持ちようだ。
書名は、女優の沢村貞子が母に言われた「女の子はなんでもじっと我慢しなけりゃ… 泣いているとごはんの支度が遅くなるから」という言葉からきているとのこと。「泣きたいときは泣けばいい」と言うことが正解なのか、「泣くな」と言うことが正解なのかと自問している。でも、涙に舵をとらせてはいけないと言っている。かっこいい。
カバーの絵は丹羽阿樹子さんの『遠矢』。この絵について、著者は「おおらかで、泰然としていて、挑戦的」と書いている。矢を放ったあと、きっと目を細め、右膝についた草をはたいて草むらを歩き出す。カフェにコーヒーを飲みにいったり、夕飯のおかず用にスーパーに寄ったりして、暮らしに戻っていくのだと。
これから何度も何度も読み返すだろうな。
早く文庫本にならないかな。いつもカバンに忍ばせておきたい。
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