engage~黑装の宴~
プロローグ
西暦2522年
世界は良くも悪くも変わった。
300年前前触れもなく突如世界中の空に文字通りの穴が開きそこから異形の存在(モンスター)が降り注いできた。モンスターは建造物を破壊し、人々を蹂躙し、栄華を誇っていた各国の都市は壊滅した。
既存の兵器では歯が立たず人々は明日の太陽を望めるか分からないまま日々震えていた。
そんな時人々の中から力に目覚める者が現れる。
モンスターと一緒に魔力なるものも穴から降り注いでいたのだ。
そこから人類の逆襲が始まる。
魔法使いを中心とした部隊が組まれモンスターの討伐が開始したのだ。
人々は希望を見た。
その後科学と魔力の融合により一般兵もモンスターと渡り歩ける力を手にする。
それから300年、人々はモンスターの脅威がありながらもなんとか文明を立て直し暮らしていける生活を手に入れた。
日本旧首都東京
「報告にあった地点に間もなく到着する。」
「了解、改めて任務を確認する。第1優先は民間人の保護、次に対象の捕獲または討伐以上だ。」
「対象はゴブリン5、オーク3、飛翔体1で間違いないか?」
「あぁ、だがイレギュラーも考えうる、その場合各自の判断の元事にあたれ。」
「了解っと、各自の判断ね~。」
黒い衣に身を包み機械的なフォルムのアーマーを身にまとった男は通信を切ると付近の探知を開始した。
「熱源確認。ん?誰か戦ってる?民間人ならやばいな。急ぐか。『アクセルブースト』」
男は短くそう唱えると脚部が淡く光る。すると驚異的なスピードで熱源の場所へと駆けて行った。
「くっそ!なんなんだここは!?魔力は薄いしやけに体も重い!だあああもううぜぇな!小鬼風情が!」
瓦礫とかしたビルの間、そこでは男性がこの時代に似合わないスタイルで剣を振るいゴブリン8体と戦っていた。
ゴブリンとはモンスターの中では比較的数も多く群れで行動する小型の人型モンスターだ。しかしその小柄な体型の割に皮膚は固く口径の小さい拳銃などでは弾を跳ね返すほどだ。
「少し本気出すか!!炎舞双剣!」
男性はそう唱えるともう炎に包まれた一本の剣が出現。元々持っていた剣にも炎を纏わせ炎剣の二刀流となり燃え盛る旋風と化した。
「オラオラオラァ!!」
ゴブリンは三体ほど消し炭になり三体は首を跳ねられ二体は胸を貫かれた。その間数秒の出来事。
「はぁ・・・はぁ・・・やっぱりおかしいだろ。こんなに直ぐにバテるなんて今までないぞ。スピアーノ王国じゃないのかここは。」
男性は炎を解除するとダメージこそ無いが疲労が襲い片膝を着いていた。
「くそ、どうなってやがる。」
疲労回復を図っている男性の後方、ズシズシと音を立てながらオークが五体姿を現した。
オークとは身の丈2メートルを越す中型の人型モンスターだ。特徴としてイノシシの様な頭がに筋肉隆々の肉体、手にはなにかの骨で出来た棍棒を持っている。
また上空からガルーダも飛来。周囲のゴブリンの死体や瓦礫を風で巻き上げた。
ガルーダは中型の鳥のようなモンスターである。知能が高く獲物を弄ぶように狩りをする事から空の遊戯者の異名をもつ。
合計6体のモンスターに囲まれた男性は笑う膝を叩きながら闘志を滾らせた。
「は、こんな場所も分かんねーとこで死ぬ訳にはいかねーんだよ。まとめてかかってこいや!!」
「アクセルバースト発動!」
その声と同時にオークの頭が弾け飛んだ。一瞬の出来事に男性は混乱していると声の主はガルーダへと跳躍した。
「ぜあああああ!」
手に持つ片刃の大剣を振り抜くとガルーダの翼から胴体へかけて両断し、地面に肉片がぼとりと落ちてきた。
「助かった・・・のか?」
「目標討伐完了、やっぱりイレギュラーだったよ。ったく、ボーナスでもないとやってらんねーぞ?あと民間人を発見、格好から見るに【渡り】をしたガイア人と思われる。」
『了解、渡り人を丁重に保護をし、帰還せよ。ボーナスか。ふっ、まあ本部へ掛け合ってみるさ。』
「頼むぞ?さあて!言葉は通じるか?俺はGNAD所属のテリンジ。名前は言えるか?」
「お、俺はスピアーノ王国の【灰】級ハンターのカイルだ。なぁあんたは誰だ?ここはどこなんだ?」
「お、翻訳魔法使えるのは話が早い、まあ積もる話もあるだろうが安全な場所へあんたを連れていく。そこであんたのこれからを話そうぜ。」
そう言うとテリンジは手を差し出しカイルはそれを握った。
この出会いの後世界の命運をかけた戦いが訪れるのは今はまだ2人は知らない。
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