2023年紅葉まみれキャンプ旅 5泊目 高野崎キャンプ場
緊張して落ち着かないオートキャンプ場を8時には離れた。近くに温泉施設があったので寄ってみると既にオープンしてる。ならば朝風呂、ウェルネスセンターしゃりき温泉350円。
今夜の宿泊地は竜飛の予定だが、キャンプ地はいっぱいある。現地で数か所見て回って決めても遅くはない。と言っても金木からそう遠くもない距離で、直接向かったんでは早く着きすぎる。観光しながらゆっくり進むつもりだ。
高山稲荷神社?こんな果ての寒村に稲荷神社?なんで?それも相当でかい。興味津々で行ってみた。広い駐車場に車は数台しか停まっていないし行き交う人もいない。頭の中に相当数のはてなマークを浮かべながら歩いた。
なぜこんな巨大な稲荷神社が出来たんだろう?調べる気もなかったけれど、予想以上に面白い空間だった。体力ポイントも予想以上に消費したけど、来て見て良かったと思わされる空間だった。
次は十三湖。昨日の十二湖が良かったので、それより一つ湖が増える十三湖にはかなり期待して向かったのだが、雨が降り出しガスが出てきてなーんも見えん状態。どこが十三湖なんだろうとガスの合間を探しているうちに通り過ぎてしまった。
ここが小泊か。三上寛の唄でも流れてこないかなと思ったけど太宰治先生の名声は三上寛を遥かに上回っているようで、記念碑なんかは皆先生のものばかりだった。
小さな漁村の食堂っぽい「小泊おさかな海岸」で昼食。地ものの海産物を買ってキャンプ地で調理のアイデアも浮かんできたけど、いくら新鮮な食材を手にしたところで素人の調理じゃたかが知れてる。地元のものはプロに任せて地元の味に仕上げてもらうのがいちばん。の信念に基づいて入店。
「うーん、ちょっとお高いなー」と一瞬躊躇したけど、当店イチオシの「中泊メバル御膳 1800円」を注文。
店内も空いていたので2Fのオーシャンビュー席で食事。昨日のメバル唐揚げも頭からバリバリいけて美味かったけど、メバルの歯ごたえを感じられる刺身はさらに美味かった。この旅行中の最高額を費やしたかいがあった。今日はもう散財はしないぞと誓ったはずなのに、イカ塩辛の手招きにあっさり屈して今夜のアテに塩辛購入。サカナは炙ったイカじゃないけど、津軽海峡を目の前に塩辛で酔うのもイカニモぽくて夜が楽しみだ。
遊仙公園キャンプ場なんてのも近くにあったけどダム下のキャンプ場らしく、津軽海峡の誘惑に瞬殺されてスルー。折腰内オートキャンプ場なんてのはハナから興味なし、先へ進んだ。
道の駅こどまりでトイレと暖か~い缶コーヒーを買って海沿いの道を進み、いよいよお楽しみの竜泊ラインで山越え。下調べではつづら折りの連続だけど景色は抜群とのことだったが、雨は止まないしガスは深くなるばかり。展望台に車を停めて眺めるもガスの隙間にチラチラ海が見えるくらいなもの。日本海と津軽海峡を遠く見晴らし、山肌も紅葉に燃えているはずと懸命にイメージ補正をするのだが現実世界は追い越せなかった。残念。
峠を越して下りに入るとガスが薄まり津軽の海が見えてきた。
でもね、不思議な感覚なんだけど、下で見た日本海と津軽海峡が同じ海抜0mの感じがしないのだ。津軽は山頂湖の感覚でずっと標高が高く思えるのはなぜなんだろう。急激に登ってだらだら下る地形マジックなのかも知れない。
やがて左竜飛崎・右三厩の分岐点。この天候で竜飛に行ってもしょうがない、明日の天気に期待して出直そうと決めて三厩方面へハンドルを切った。
海沿いに出るとガスは消えていたが雨は相変わらずショボショボ降り続けている。竜飛崎を背中に感じながら南下する。
義経海浜公園キャンプ場、ピンとこないなー。みんまややすらぎ公園キャンプ場、海からずいぶん離れるなー。海峡あすなろ公園、いい感じだけど宿泊キャンプは出来なさそう。鋳釜崎キャンプ場、ロケーションはいいけど駐車場との距離が近すぎるのが気になるなー。
いくつかの候補地を通りながら高野崎キャンプ場。ここだ。イメージぴったり。しかも無料だし。
敷地は広いから思い通りの場所にテントを建てられるし景色も最高。駐車場から離れた場所に居を構えれば観光客が来たとしても十分距離が取れて自分のスペースは確保できる。最悪の天候になったとしても、案内所らしき建物と入口にある食堂に避難できそう。
心配なのはいかにも強風が吹きそうな地形だけど、津軽で風は想定済み。どーんと来なさいよくらいの覚悟はある。
何よりの決め手はやっぱりこの景色。この景色の中で夜が更けていき、この景色の中で目覚める誘惑には勝てない。風が吹くなら吹いてみやがれな気分だった。
まずは駐車場に車を停めて場内を歩いてテントを建てる場所を決めなきゃならない。誰もいないから場所は選び放題だ。
なるべく平坦でなるべく風の影響が少なそうな場所。今は微風だけど風が動き出すのは日暮れと日の出前だし、いつも風は意識していなきゃならない。
いちばんの最適地は正面左端に位置する文学碑前だけど、観光客が記念写真を撮りそうな文学碑前、灯台も近いから光も気になりそうなのがマイナスポイント。車から遠く離れすぎるのも不便かも。
次の候補地は、駐車場から50mくらい離れた閉められた案内所の裏側。三方の見晴らしはいいし、西からの風は案内所が遮ってくれる。すぐ近くに補助的な炊事場的な蛇口も一つある。整備された遊歩道からも離れているので観光客も近寄らないだろう。すぐ近くに海岸に降りる石段もあるから流木も拾えそうだ。
よし決めた。ここをキャンプ地とする。
さっとテントを建てて車から荷物搬入。
石油ストーブと灯油タンク。いちばんの大物でホント邪魔だけど、この時期快適に過ごすのには欠かせない。寒さに震えるのはまっぴらだ。
寝具は下が芝なのでコットはいらない。銀マットと寝袋で十分だろう。
焚き火台。薪は海岸で調達できそうだから持っていかない。
テーブルと椅子。これも快適に過ごすツールなんだけどこれを持っていかなきゃ楽なのにといつも思う。
食料が入っているレジ袋。クーラーバッグとリュック。
これだけ運ぶのに3往復。荷物はもっと減らさなくては。
荷物を全部テント前に放り投げてトイレに走る。歳とともに弱まる尿道筋肉の鍛え方ってあるんだろうか?
スッキリしてトイレから出るとテントの前でカラスが三羽踊っている。ヤバい!一目散に走ってヤツラを追い散らしたけど、レジ袋はボロボロ。カット野菜は散らばり卵も嘴で刺されて黄身が流れ出しているのもある。レジ袋だけでもテントに入れておくべきだったと後悔しても後の祭りだ。
ヤケクソで被害を受けた卵6個の卵焼きを作って食う。それにしても買ったばかりの10個の卵をパックの上から啄むとは、まったく侮れないヤツらだ。
暗くなる前に薪は準備しなければ。この場所を選んだのは下の海岸に流木をきれいに積んであるのを見つけたからだ。
ノコギリとパラコードを持って石段を降りる。石段は予想以上の急勾配で長い。
これは薪を担いで登るのは重労働だぞと思いながら流木を30cmくらいの長さに揃え、パラコードで括って上まで担ぎ上げた。ハアハアゼイゼイと息を切らし、途中で休みながらも2往復。死ぬかと思った。
岬先端の石段を降りて海に突き出した赤い太鼓橋にも行ってみたかったけど、既に体力ゲージはゼロ、時間もないし気力もない。明日の最優先課題にした。
これで夜の準備はすべて完了。だんだん暗くなっていく海峡を眺めながら焚き火に火を入れる。
対岸に白く薄っすらと見えるのは仏ヶ浦かな?北に伸びる集落の光の先が竜飛岬だろう。
入口の食堂も閉まったし観光客も皆帰った。
遠くの駐車場沿いの芝生にタープを張って焚き火を初めている人がいる。直ぐ側にバンが停めてあるところをみると車中泊だろう。あの場所じゃ道路を走る車は気にならないんだろうか?
たまに釣り竿を担いだ人が岬先端の海に降りていく。「何が釣れるんですか?」「今はイカのシーズンなんですよ。なかなか釣れませんけどね。」とのこと。
風は微風だし他にテントも無い。この時間でこの状態ならば完ソロは確定だろう。
いい夜になりそうだ。