ドッペルさんと、花売
僕(以下、I):思い出したんだけど、
ドッペルさん(以下、D):何?
I:僕、花売りに憧れてたことがあったな。
D:花屋じゃなくて?
I:うん。花屋は、店を構えないといけないし、ずっとそこにいないといけないし……。でも、花売りはさ、行く先々で花を配ってるイメージがあるから、憧れるな。たくさんの花を抱えてさ、会う人会う人に、花を渡すんだ……。
D:キミ、あんまり人と関わりたがらないくせに、そういう夢を持ちたがるよね。
I:まあ……。でも、どちらにせよ、永遠に叶わない夢だな。
D:何で?
I:だって僕、花粉症だから。……花売りなんてしたら、最悪死んじゃうよ
D:……。
I:それに……。
D:それに?
I:花が枯れると、悲しいから。
D:……それ、「生きものが死ぬと、悲しいから」って、いってるのと同じだよ。特別なことみたいに、いってるけどさ。
I:……今のご時世、花って喜ばれるのかな。
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