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グッバイ、セプテンバーさん

9/3。

5:00起床。

天気は曇り。





――いや、まだ始まったばかりだよ。


しょっぱなから、セプテンバーさんに叱られる。


――そうだっけ。


ぼくは、とぼける。


――でも、始まらないまま終わりそうだよ。


そういうと、セプテンバーさんはとても悲しそうな顔をした。


――そりゃ、まだまだ暑いけどさ。でも、ボクが『セプテンバー』なのは、暑いも寒いも関係ないよ。

――そうなの? でも『セプテンバー』って、夏と秋の境目じゃないの?

――……。

――いつ始まっていつ終わったのか、きっと誰も気付かないよ。


セプテンバーさんが涙ぐんできたところで、ぼくはいじわるするのを止めた。


――ごめんね。だって、寂しいじゃないか。「暑い、暑い」といっている内に、セプテンバーさんはどこかへ行ってしまうんだろう?

――「暑い、暑い」といっていられるのも、今の内だよ。きっと、もうすぐ涼しくなって、みんなボクのことを思い出して、

――そもそもさ、


ぼくは、なんとなく口をはさんでみる。


――忘れている人なんか、いないよ。


セプテンバーさんは、ハッとしてこちらを見た。


――今までなら、夏が終わってほしくないときに、目の前にいるセプテンバーさんに初めて気付いたんだろうけど。今年は、セプテンバーさんが訪れるのをずっと待っていたんだよ。……青春が芽生えたのかもわからない、大変な今年の夏はね。


伝えたいことを伝えつくしたぼくは黙り込み、セプテンバーさんはほんの少しだけおろおろしていた。


――今年の夏、大変だったんだ。

――うん。暑いだけじゃなくてね。

――じゃあ、


セプテンバーさんは立ち上がり、両手を広げて空を仰いだ。


――もう、会いに行ってもいいんだよね。

――誰に?

――ボクを待っている人に。

――そっか。……ぼくもその一人だよ。


ぼくがそういったのが意外だったのか、セプテンバーさんは口を尖らせた。


――さっきは、「グッバイ、セプテンバーさん」って、いったくせに。

――だから、ごめんって。さっきいった通り、寂しかったんよ。……今年は、会いに来てくれないんじゃないかと思って。

――……どんな夏が過ぎたとしても、ボクはちゃんと会いに行くよ。


そして、ぼくとセプテンバーさんは、握手をして仲直り。


――じゃあ、道中気を付けて。

――ありがとう。

――あ、そうだ。一つ、いい忘れてた。

――?


ハロー、セプテンバーさん。

セプテンバーさん(『RADWIMPS 3〜無人島に持っていき忘れた一枚〜』)/RADWINPS(2006年)





「僕だけが、鳴いている」


これは、
僕と、ドッペルゲンガーのドッペルさんの話。


連載中。


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相地
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