そわそわする朝には、(今朝は、ホットカルピス)
11/25。
4:47起床。
天気は曇り。
*
今朝のぼくは、そわそわしている。その『そわそわ』は、アルネにも移っちゃったみたい。
ぼくにしか見えない、ぼくだけの女の子。
――どうして、そわそわしてるの?
――アルネも、そわそわしてるね。
――君が、そわそわしてるからよ。
――今朝は何がいい? お嬢さん。
――『そわそわ』……。ホットカルピス。
――それ、『そわそわ』したときの飲み物なの?
――ううん、飲みたいだけ。
ぼくは、沸かしたばかりの湯で、カップにほんの少しだけ注いだカルピスを薄めた。
アルネは濃いめがいいのかな、薄めがいいのかな……。甘ずっぱい湯気が、鼻の辺りをかすめる。
――いい匂い。
アルネはカップを受け取ると、ふわりと微笑んだ。
――たまにはいいね、あったかいカルピス。
――おいしい。
――よかった。……『そわそわ』にぴったりの飲み物なのかな。
――どうして、そわそわしているの?
――どうして……どうしてかあ……どうしてだろうね。
甘ずっぱいソレをすすりながら、そのことについて考えてみる。春の訪れを待つには、早すぎる季節だ。(『そわそわ』といえば、春のような気がして。)
そういえば、カルピスは夏の飲み物だっけ? でも、お湯で割っているから……。冬の飲み物といえなくもないかな。
そもそも、この『そわそわ』は季節に関係しているのか?
――わからない。
――ずいぶん、考え込んでいたわね。
アルネはもう、カップの中を空にしたようだ。ぼくのカップの中は、まだ半分以上残っている。
ぼくは、ソレがこれ以上冷めてしまわないように、急いですすった。
――ごめんね、ちょっと訊いてみただけだったの。
――ううん、ぼくもつい考え込んじゃって。
――『そわそわ』……。でも、悪い気分じゃないんでしょう?
アルネは口角を上げて、ちょっとだけ首を傾けた。とても可憐な仕草だ。
――そうだね、悪い気分じゃない。むしろ、幸せかもしれない。
――じゃあ、今日はそういう日なのよ。
――『そわそわ』の日。
――そう。
――アルネも、悪い気分じゃない?
――だって、私もそわそわしているもの。
ぼくとアルネ、二人同時にふふと笑う。たしかに、ぼくらは幸せだ。
そうだね。しばらく、そわそわしていよう。この『そわそわ』が、朝の空気に溶けてしまうまで。
*
「僕だけが、鳴いている」
これは、
ぼくと、ドッペルゲンガーのドッペルさんの話。
連載中。
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