ドッペルさんと、墓標
僕(以下、I):……。
ドッペルさん(以下、D):あんまり、じろじろ見るもんじゃないよ。
I:ごめん。……最近、よく見るな、と思って。喪服の人。
D:春だからね。
I:それ、関係あるのかな。
D:さあ。
I:……。
D:……。
I:僕が死んだら、海に散骨してほしいな。……海洋葬、だっけ。
D:キミと海、縁もゆかりもないじゃん。
I:……いいだろ、別に。
D:でも、そしたら、キミの墓参りができなくなっちゃうね。
I:うん。……でも、そこに僕はいないからね。
D:「私のお墓の前で泣かないでください」……って?
I:懐かしいね、それ。……まあ、参ってくれたら、うれしいと思うけどね。でも、子どもの頃は、墓参りのときって、何も考えてなかったな。ただ、盆だからとか、法事だからとか、義務感でやってた。それでも、墓参りってしなきゃいけないのかな。
D:墓参りっていうのは……というより、墓っていうのは、故人を偲ぶためだけのもんじゃないと思うよ。
I:じゃあ、何?
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