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お題リレー⑧ りんによる後編

「……は?」

プリンターは盛大な紙詰まりを起こして……いなかった。
正確に言うと、紙は、詰まっていなかった。

『助けてくださーーい!!』

妙にエコーがかかった甲高い声が、プリンターの中から聞こえてくる。

ガコンッ!

『閉めないでくださーーい!! お助けーー!!』

錯覚じゃなかった。再びプリンターを開けるとそこには、紙を巻き込むはずのローラーに上着の裾を巻き込まれた小さいヒトがジタバタともがいていた。

『あ! 助けてくれるんですねー! ……ひゃーー! もっと優しくお願いしますよーー! 下ろしてーー!』

首根っこを摘んで服の裾をローラーから引っ張り出し、持ち上げて観察すると、プルプル震えながら懇願してきた。……変な夢だな。早く起きてプリンターなおさないといけないのに。とりあえず、小さいヒトをデスクに下ろす。

「えっと……どちら様?」

『プリンターの妖精です!』

「やっぱり残業のし過ぎかなぁ……」

『毎日遅くまでご苦労さまですよね!知ってますよー!』

「……プリンターの妖精って何ができるの?」

どうせ夢なら、覚めるまで堪能しよう。起きようと思っても起きらんないし。

『そーですねぇ……あ! 先程の書類、念力で送りますよ!いつもこの時間に郵便局行ってますよね? ワタシが先方のポストへ念力で送ります! ハイ!』

「……プリンターの妖精なんだよね?」

『ええ、何か?』

夢なんだからハチャメチャでもしょうがないか。プリンターの妖精が念力とか、設定がガバガバだ。あ、私の雑な性格のせいか。

「夢オチか。……電話?」

休日出勤の同僚から、取引先のポストに切手はおろか封筒にすら入っていない剥き出しの書類が入っていた、と聞かされた。

「あー…妖精さんの仕業です」


〚あとがき〛
はいどうも!りんです。

昨晩のゆかによる前編のペアとなる完結編ですね。
作品の全てをハッピーエンドを目指して書くゆかの前半戦を、作品の全てをメリバ(あるいはのバッドエンド)に導きたいわたしが引き継ぐ合作です。

好きなジャンルなのに、全然足りない文字数との戦いでした。
次回もお楽しみに!

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創作処 愛染屋
舞台を創ること以外にも創作がしたい、これまで舞台で表現してきた物語や世界をもっと知っていただきたい、楽しんでいただきたい……そんな思いから始めたnoteです。 細々と更新しておりますが、少しでも楽しいをお届けできていれば幸いです。 もしよろしければ、サポートよろしくお願いします!