『アウトサイドキックの利点とその活用方法』フットボールペアレンツ102
こんにちは。マコトです。
以前、私は次のような先入観を持っていました。
ところがGOTSスクールでの研究を通して、「アウトサイドを使った方がいいのにインサイドキックをしてしまっている場面が多い」ということ気づきました。その気づきが凝縮されている動画がこちらです。
アウトサイドキックで横にパスを出すときの一番の利点としては、「身体をねじらなくて良い」という点が挙げられます。進行方向に、走る形を保ったまま走り抜けることができます。これがインサイドキックだと、身体をねじることで、一瞬ですが身体を止める形、または走りづらい形になってしまいます。
今回の動画内で、ハルキ(白いパーカー)は最初のアウトサイドキック(①)をした次の瞬間に、もう相手の背後を取っています。この滑らかさがアウトサイドキックの魅力です(軸足をほぼ作らずに蹴っている点も速さに寄与しています)。
ハルキのパスを受けた青い選手もアウトサイドで②のパスを出し、ボールを目で追っている相手たちの裏側へとすぐに走り抜けています。
続いて②のアウトサイドパスをハルキが受けた場面(動画内の③のアウトサイドの使い方)。まず、下の写真の位置に1度目のアウトサイドでボールを止めます。
その直後、慣性を利用してそのまま外へ身体を流して空間を作り、右足を遠くについて加速のための傾きを作ったのち、アウトサイドの2度目のタッチ(④)で一気に加速しました。ボールの位置は同じで、身体の位置と傾きが変わっているのが2枚の写真から見て取れます。
この一瞬の動作によって、目の前の黄色いビブスの選手と身体の向きの矢印が完全に逆になり、フェイントなどを入れるまでもなく簡単に抜くことができています。
さらに写真中央の奥の黒いジャージを着ている黄色いビブスの選手も、思いがけず加速してきたハルキに思わず足を出してしまい、スピードで押し切られる形で突破されてしまっています。
このようにアウトサイドでパスやトラップやドリブルの一歩目を始めると加速が容易になり、減速しないでゴールを目指すことができます。その加速感は相手の虚を突くというか、思っているよりもワンテンポ早く仕掛けられてしまい、守備者は準備不足のままの対応を余儀なくされます。
そして写真では見づらいですが、⑤番目のアウトサイドパス。
守備者はハルキが自分の正面に向かってきているため、その場に立っていることしかできず、足が届かない場所へのパスをやすやすと通す結果になってしまいました。
この「相手の正面に向かっていく」という動作をした後のアウトサイドパスは、数的有利な局面を作るという意味でも劇的に有効でハルキの得意技になりつつあります。
味方の最後のシュートは左ポストに当たってしまいましたが、もしシュートが右のポストを狙って打たれていたら、コースが外れたりポストに当たったとしても、ハルキがそれを詰めてゴールができたかも――動画を見返すと最後の場面で守備者の後ろに入り込めているハルキが確認できます。アウトサイドで進行方向へ進んでいると、このように身体を前に進めることができるため、ゴールの可能性を高めることができます。
自陣からアウトサイドを活用して減速せずに一気に攻めあがる。
フットボールを楽しんでいる人の参考になると嬉しいです。
以下、バックナンバーです。
◎01~10
01 『親としてはやめてほしくない』
02 『できない子を笑わない』
03 『サッカー選手になれなかった人がフットサル選手になる』
04 『サッカーに熱心な親だらけ!』
05 『左足で走るのが苦手とかあり得る? 個人的には画期的な大発見』
06 『走る(ドリブル)は誰でもできる』
07 『子どものプレーにイライラしがちなお父さんお母さんへ』
08 『両足で蹴ればシュート力は2倍になるぜ!!!』
09 『セレクションは気にしない!~12打数12安打11ホームランでも、まぁまぁはまぁまぁ』
10 『パパはゲームメーカー! ボールにいかないと世界がまったく変わります!』
◎11~20
11 『思い出しただけでイラつく経験を語っても……』
12 『ボールにいかない派とかじゃなく、目的は何かっていう話なんだけど』
13 『ボールにいかないと1人目のディフェンスはいないも同然。味方はグラウンダーでパスを出さなくてもいいし、利き足じゃなくてもかまわない』
14 『子どもが主役の合宿は、世代を超えて受け継がれていた』
15 『イノシシやゴリラにプレスされても大丈夫! ~今が未来につながっている~』
16 『リフティング(1) ボールを拾って役立てようと 僕は思ったわけでもないが』
17『リフティング(2) 空に向かって蹴るのが楽しい!』
18 『リフティング(3)親と性格が違い過ぎると怒っちゃう問題はこうして解決した』
19 『リフティング(4)私たち親子が回数を目標にしなかった理由
20 『親視点(1)みんなドリブルでいっちゃうツライ日々』
◎21~30
21 『牛若丸ターン! ターン後の着地の姿勢で勝負がついていた』
22 『ドリブルの練習をやめたら劇的にうまくなりました』
23 『質問です。未来を意識していた人は誰でしょう? ゴールの角上とつながる』
24 『原文ママさん 手持ちの動画について意見を交わし合う場を作りました』
25 『世代なので死ぬまでにマラドーナのドリブルを身につけたい――運動神経がダメダメな私でも走れば抜けます』
26 『ゴールへの意識があればレアルマドリードにもたどり着ける』
27 『4ステップはつまずきそうで怖いという質問への回答』
28 『ギュンです! ボールに触れた瞬間に超絶加速する――写真の次のコマの形を当てられたらあなたは名選手に違いないです』
29 『続ギュンです! たいして傾いていなくてももちろん抜けます』
30 『ハルキの自主練なんて一回もみたことないです』
◎31~40
31 『内田史上最強の動き――研究手を基本動作にするプロセス』
32 『7番と9番へ! ディフェンス目線で整理する走る(ドリブル)2022年8月バージョン』
33 『トップ選手との対決で学んだこと――真夏の微妙な大実験』
34 『ボールにいっちゃっている状態とは何かよくわかります』
35 『手を動かしてイラストにしてみるとフォームを覚えられます――中西を描いてみる』
36 『フリーキックの練習を初めてしました』
37 『4ステップがない世界はもう考えられない』
38 『パパさんでも5人ダイレクト成功』
39 『ボールのレイヤーと身体のレイヤーが違うことで、滑らかなスーパープレーが生まれる』
40 『身体はオートマチック、判断はコース取り』
◎41~50
41『プロは目指すものじゃない――どうしても怒っちゃう自分を克服したきっかけ』
42 『ボールなしの練習は最重要!! しゃべるが先で飴玉は後』
43 『走りながらボールに合流する方法』
44 『すべてのプレーはゴールへ続く』
45『景色のプレーと脳内のプレー』
46『試合を動かす選手になる』
47 『ルールは拘束的なものではなく、創造的なもの』
48『ドリブル超得意だけど、、、ドリブルのドの字もみせないぜ!』
49 『親視点(2)止める蹴るを正確に!! なんてまったく考えていません』
50 『そもそもシュート練習をする前に・・・』
◎51~60
51 『なぜ父親が練習しているのか』
52 『 身体を止めずにシュートを打つ』
53 『常識よりも前提。短い距離でもインステップ 』
54 『三手一組の準備ができていれば得点王も夢ではない 』
55『あわや大ケガ……準備も確認も怠らないこと』
56『日本人ってメチャ楽しそうにプレーするね!』
57『忍者?! 一瞬の速さだったら体格差は関係ない』
58『メッシはボールコントロールではなく、身体のコントロールが正確なのでは』
59『ワンステップシュートで文字通り✨超一流✨』
60『このドリブルの最大のコツは、ディフェンスの矢印に意識を払うことだけど』
◎61~70
61『動画編集=宝さがし』
62『ディフェンス時における身体操作(第1歩目)』
63『攻撃の手を緩めない 足を止めたりしない』
64『上手く止めることを目的にしない』
65『次の展開を予想しないでプレーする方がずっと難しくないですか?』
66『親の自分もビビッてしまうけど・・・何ができないかを知りにいく! 』
67『守備の意識が劇変しました』
68『ジンガやフリースタイルのように見えるかもしれないけど』
69『引き込みドリブルのbefore after』
70『自然に思えたプレーがエラーだと気づく』
◎71~80
71『自分も味方も等価で全員を一緒に動かしているイメージ』
72『すべては自分次第。ボールウォッチャーになる? それとも得点者になる?』
73『オレは基本的にダイレクトでプレーするぜ!』
74『決め打ちを見破れれば超一流』
75『スピードが遅い人は 矢印をたよりに!』
76『ハルキの即接地トラップ、イニエスタ選手のトラップ、日本代表のトラップ』
77『毎日プレー動画を編集。研究を続ける』
78 『シュートはすべてギリギリのコース。狙うは角上!』
79『練習後のお楽しみ』
80『練習すると下手になることもある』
◎81~90
81『AIが判定するベストプレイヤーになる』
82『ステップ2回はマジで慌てるんですけど』
83『好プレーのショート動画を編集する』
84『ハードスルーは超便利!』
85『トラップとターンとシュートが一つの挙動になる』
86『大前提を忘れない』
87『引き込みターン~ボールと身体の分離』
88『100%のキャンセルが出来たのは史上初かも』
89『親子リフティングで意識したいくつかのこと』
90『毎日もうやめたい、下手くそすぎると思ってプレーしているけど、たぶん明日もやめない』
◎91~100
91『走りながら蹴る』
92『ジャゴナウのような新しい動きを学ぶときも、決め打ちでトレーニングしてはダメ』
93『100パーセントキャンセルと半歩ズラしシュート』
94『反発ステップで大事なのは1歩1歩の加速。7番9番で大事なのは勇気』
95『ブロックカットインと2段階加速ドリブル』
96『カットインキャンセルとコンビネーション』
97『いろいろ動画を上げてるけど、トッププロ相手に勝てるのか問題への解答』
98『キック&ダッシュではなく、ダッシュ&キック』
99『いつか、この空の美しさを思い出す日がきっと来る』
100『連載を100回続けて見えた景色』
◎101~110
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