見出し画像

プロジェクト ザ・ガーデン-開拓編①- 

農地買っちゃった

水田を6反(約6000㎡)購入した。
普通の人にはその広さを想像し難いが、大体サッカー場と同じくらいの広さである。そんな広い農地をド素人がいきなり購入するのは、やはり結構勇気がいるものである。

正直少しビビっていた。こんなに広い農地、一人で管理していけるのか?いやそもそも俺、こんな広い場所で果樹ビジネスなんてやっていけるのか?
しかし、もう買ってしまったのである。
後戻りはできない。
やるしかない。

買った当時の水田の一部。(2023年3月)

開拓開始

全くの白紙からのスタート。果樹栽培に関して言えば、土壌改良をしないと栽培できないので、むしろマイナスからのスタート。
広い土地を目の前にして、茫然自失。
これから何をどうすれば良いのか、よくわからない。
が、とにかく自分で進めていかない限り、まったく何ひとつ進まない。

まず最初に思いつくのは、平らな畑を作って効率よく作業ができる環境を作らなければならないことだ。現在の水田間には仕切りがあって、棚田のようになっている。この段差の“のり面”をくずして、平らな畑を作らなければならない。

こんなふうに段差(のり面)がある

だが、重機を借りてきてこの段差を崩す作業をしていると、知り合いのおじさまが、
「市の条例でのり面を勝手に崩してはいけない。崩すには市役所内にある農業委員会の許可が必要」
とのお言葉を頂いた。
しらねーよ、そんなこと。
出鼻をくじかれるとはまさにこのこと。
作業は全く途中だったが、重機は一度返却し、そこからのり面崩しの申請を農業委員会にするまでに約1か月くらいかかってしまった。
(私が忙しかったため。)

まだのり面工事は再開していない。。。許可とったから、早くやらなきゃ。。。今に至る(8月現在)。

草刈開始

それは1本の電話から始まった。

「あのー、隣の畑のもんだが、草刈してくれない?お宅のとこ、もうだいぶ伸びてるよ」

土地を3月に買ったのはいいが、忙しさにかまけてほったらかしにしていて気が付いたらいつの間にか5月のGWも終わり、雑草が勢いよく伸び始める時期がやってきていたのだった。


こんな草が生え始めていた。背丈ほど伸びている奴もいる。


恐るべし、雑草の繁殖力

どうすんだこれ。あまりの雑草の繁殖力に絶望するが、俺の武器はこれしかない。(しかも借り物)

サッカーコート1面分をこの武器で戦うしかない。

絶望と永遠を感じながら、足元の悪い農場で草刈り機を振り回しながら雑草をとにかく刈っていく。
気温30度以上の中、直射日光が容赦なく全身に降り注ぎ、背中に草刈り機のエンジンの発熱をダイレクトに感じながら作業が続く。
 
汗が滝のごとく流れ落ちる。
熱中症で気分が悪くなってくる。
だが、ほとんど作業は進まない。
この作業は3時間で限界がやってくる。
 
そんな雑草との闘いの最中、なぜか、元現人神であらせられた昭和天皇のお言葉が、熱中症で朦朧とした頭の中を駆け巡る。
「雑草という草はない。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。」
 
高尚なお言葉も、実際の生産の現場では「吐き気がするほどロマンチック」な言葉でしかない。雑草は雑草。当たり前だが、俺にとっては自分が育てたい植物以外は全てが雑草なのだ。

1人でこれ全部は無理だろーと、何度も心が折れかけていた。
そんな中、草を刈っていると、沼地のようなところに入り込んだ。
あれ?ここに水が溜まるわけないんだけどなと、ふと自分の畑の北側を見渡すと、水田があった。

左が水田、右の俺の畑が沼になってる!

おいおい、水田からの排水が全部俺の畑に流れ込んでるじゃねーか。
水たまりで沼のようになっちゃって、もうすでに何匹もカエルが住み着いてるよ。
 
隣のおっさんよ、ちゃんと自分の水田整備してくれよな、っまったく。水田の排水だからあとはどうなったっていいってわけじゃねーんだぞ。
 
はっきり言って「ふざけんな」と文句いいたいが、近隣づきあいは大事なので、後で自分で工事することとする。相手を責める前に自分でできることは先にしておくことが、近隣付き合いでは大事なのだ。
 

草刈だって楽しい

このように書いていると、草刈がただただ辛い仕事のように思われるが、意外にそうでもない。実は、草刈には人間の労働に対する本質的な喜びが内包されていると思う。

  • 刈った草はそのまま堆肥となって土を肥沃にする。残した根っ子は土中の微生物の住処になる。

  • 自分の農場の雑草を刈ると、その結果がはっきりとわかり、清々しい気分になる。自然と闘い、勝利した気分になる。

  • 草刈が終わった後に近所の温泉に行って疲労を癒し、その後のビール(コカ・コーラでも可)が最高にうまい。ついでに飯もうまい。

 この農地を良くしたい・良いものを作りたいという思いがあれば、草刈なんて大した仕事ではない。しかし、バイトや手伝いなどで思い入れもなく、その仕事の意味もわからず、やらされ仕事として他人の土地の草刈をするのは、正直しんどい。果樹栽培のどの作業一つとっても、自分の仕事がどういうふうに良いものを作ることに貢献できているのかを理解し、実感できないと何も面白くないのだ。 

とはいえ、同じ仕事をするなら、自分も皆も、もっと楽しく仕事できるように文明の利器はどんどん投入すべきだと思う。

今後は乗用草刈り機の投入をし、もっと楽に楽しく草刈できるようにする予定です!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?