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研究ノート:星加良司『障害とは何か』―ディスアビリティ理論の課題 #1
ディスアビリティ理論の課題
ディスアビリティ理論は、以下の3つの要件を満たす必要がある。
同定可能性要求:障害者の経験する「問題」を他の社会問題と区別し、特徴的なものとして捉えること。
多様性要求:障害の種類や程度を超えて、その多様性を理論に反映すること。
解消可能性要求:障害に関する問題の解消や削減に貢献できる理論であること。
妥当性要求:社会的に受け入れられる解決策であること。
しかし、現状のディスアビリティ理論では、以下の問題がある。
1️⃣障害者雇用政策に関連して (P71)
①「妥当性要求」と「解消可能性要求」はトレードオフの関係にあり、社会的に受け入れられる範囲での障害者雇用政策では、実際の解消が十分に進まない。
②「有資格の障害者」のみが恩恵を受けるため、「より重度な障害者」は排除され、「多様性要求」に応えられない。
③ 障害の特定が非文脈的かつ固定的であり、個々の社会的・制度的背景が十分に考慮されていない。
「障害の特定が非文脈的かつ固定的」
「非文脈的」ということは「社会的背景が考慮されない」ということだが、いわゆる「本質的」「自然的」「自明」といった言葉と置き換え可能なものとして使われているのか注意する必要がある
星加が「ディスアビリティの理論」を作るに当たって想定している「障害者」とは誰(何)なのか?
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