見つけにくい、膵がん。
増えている、膵がん。
膵がんは、膵臓にできるがんです。
罹患数、死亡数ともに増加傾向にあり、
2021年のデータによると、
死亡数はすべてのがんの中で4位になります。
膵臓は、胃の後ろに隠れています。
お腹からも背中からも遠い体の深いところにあるので、
がんが発生しても早期は症状が出にくくなっています。
また、胃の後ろに隠れているため、
お腹の超音波検査では
異常が見つからないことが珍しくありません。
症状がわかりづらく、見つけづらいということは、
進行に気付くことができず、予後が悪くなる傾向が高い、
ということでもあります。
では、どのような人が膵がんにかかりやすいのか。
まずは、膵がんにかかったことのある家族をお持ちの方は要注意です。
また、ご自身が膵炎であったり、膵のう胞を持っていれば、
リスクが高いと言えます。
50歳以上に膵がんが増えてくることから、
他のがん同様、
糖尿病やたばこ、飲酒、肥満にも気を付けたいところです。
膵がんは、やっぱり怖い。
膵がんは見つけにくいという特徴に加え、
早い段階で周りに広がっていく、厄介な性質を持っています。
膵がん以外であると、
大きさが2センチ以下は根治できる可能性が非常に高いのですが、
膵がんの場合は2センチほどの大きさになると、
がんが膵臓のまわりの神経や血管に食い込んでいることがあり、
すでに手術できる状態でない場合が多くなります。
だからこそ、
早期発見と早期治療が重要になります。
2021年のデータによると、
膵がんの5年生存率は全体で8.5%とかなり深刻ですが、
手術の可能な早期のステージⅠに限定すれば42.1%にまで上がります。
膵がんを早く見つけるためにできること。
手術の可能な早期に見つけるために、
膵がんのリスク因子をチェックしましょう。
膵がんにかかったことのある家族がいるか、
自身が膵炎にかかったことがあるか、膵のう胞を持っていないか。
それから、
糖尿病を患っていたり、喫煙や飲酒の習慣、肥満など、
リスクのあることを自覚することです。
その上で、
膵臓の検査を定期的に受けることが大切になります。
人間ドックにはお腹の超音波検査がついていたり、
オプションに膵マーカーという血液検査があります。
このような検査で早期発見は難しいものの、
膵炎や膵のう胞といった、
膵がんのリスクとなる異常を発見できる場合があります。
早期発見につなげるには、
やはり膵臓に特化した検査をすることが一番です。
超音波検査や血液検査より費用はかかりますが、
MRIの装置を用いたMRCP検査であれば、
見えづらい膵臓をしっかり確認することができますし、
同じく体の深いところにある
胆管、胆のうも調べることができます。
膵がんは大変予後の悪い病気ですから、
「元気で長生き」のためには、
早期に発見することが本当に大切です。
解説:相澤健康センター 副センター長 髙木健治