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第426回  < 近年の海外からの日本への不動産投資事情について >

昨年10月に不動産ファンドのペイシャンス・キャピタル・グループが数年で2000億円規模の投資を行い、新潟県の妙高高原のリゾート開発を行うとのニュースがありました。妙高高原は、学生の頃、赤倉温泉スキー場で時間を過ごした思い出の場所ですが、行くまでにとても時間がかかった記憶があります。海外からのスキー目的の観光客の多さでは、ニセコをはじめとする北海道のスキーリゾートも有名で、このところ高級外資系ホテルも軒並み進出しています。

良質な雪質を求めるアジア系観光客が日本のスキーリゾートを訪れる流れは15年以上続いており、コロナ前からニセコやトマムに訪れると、日本人よりも海外からの訪問客の方が多い状況だったと記憶しています。先日、ご紹介を受けてお会いした中国でファミリービジネスを営んでいる方は、ニセコの羊蹄山の日本海側に位置する山を購入し、プライベートのスキーリゾートを開発していると話していました。

そのような下地ができていた中、最近では、長野県の白馬にも海外スキー客の流れが押し寄せていました。白馬は1998年の冬季オリンピックの舞台となった場所であり、八方、五竜、栂池などの整備されたスキー場もあり、北海道ほどではないかもしれませんが、良質な雪質を楽しむことができます。日本在住の米国人コミュニティでも白馬の不動産を購入し、別荘を建築する方もいるようです。

日本には世界に誇る豊かな自然、素晴らしい食材、安全で安心して滞在できる人々のホスピタリティがあります。これらを求めて多くの観光客が海外から訪れる中、特に近隣のアジアの方々の中で、日本に不動産を保有したいと考える人々が増えることは自然な流れではないかと思います。その流れは、近年の円安によって加速し、さらに極めて低位で安定している金利の状況によって支えられています。

外資から日本の不動産が買われる状況について、10年ほど前であれば多くの日本人が警戒感を表し、場合によっては批判を行っていたように思います。しかし、外資、海外の富裕層による日本の不動産購入が常態化した現在、それを受け入れ、共存する状況になりつつあると感じています。不動産開発によって発生する雇用などの経済効果も大きく、地元経済にとってもプラス面が多いことも事実であり、開発者側、購入する海外の富裕層も日本の文化や地域に配慮していることも批判を和らげている要因かと思います。

妙高の不動産開発のニュースを目にしたとき、1989年のバブル後期に日本の不動産会社がニューヨークのロックフェラー・センターを買収した後、1995年に強制的に売却を余儀なくされた事例や、1983年に「アルファリゾート・トマム」という名称で第三セクターによって開発されたリゾート施設が、その後の厳しい資金繰りを経て1998年に破綻したケースを思い浮かべました。しかし、一方で、2000年初旬に住んでいたロンドンでの継続的な地価高騰が様々な金融危機を経ても一過性で終わらずに今に至る状況もあります。魅力的なコンテンツは時代を経ても人を惹きつけます。私は不動産についてさほど詳しいわけではありませんが、日本のみならずグローバル経済の大きなピースを握る不動産の状況を、これからも注目していきたいと考えています。



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