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第433回  < アクティビスト投資戦略の変化 >

中米関係の悪化をきっかけとして、海外投資家も日本への投資を増やしています。特に、金利の低い日本では有利な不動産投資やバイアウトファンドへの投資が金額としては大きく、上場株式投資戦略の中ではアクティビスト戦略が人気のようです。
 
2000年前半は、スティールパートナーズや村上ファンドという名前がメディアに出るときは、アクティビスト戦略に対しては批判的な記事が多かったと思います。株式を買い集められる企業側は「被害者」とみられる風潮もあったのではないかと思われます。一般的にアクティビストファンドは発行済み株式の重要であるけれども少数株主とみなされる5%以上を買取り、場合によっては20%程度まで買い進むことがあります。そのうえで、企業側が無視できない株主として、株主還元に直結する増配や自社株買い等の提案や、株式価値上昇に資するそのほかの提案を行います。投資家の資金を預かったファンドですので、最終的には保有株式を市場もしくは対象企業を含む他者に投資簿価を超える価格で売却することで利益を上げることが目的になります。その投資の過程では、投資対象企業の経営者に対してかなり耳の痛い提案をするファンドもあります。

アクティビスト投資と似たものとしては、バイアウト投資があります。先日は、北欧を本拠地とする大手バイアウトファンドのEQTが日本のベネッセホールディングスを買収したという記事がありましたし、米国大手のカーライルが日本 KFC ホールディングス(ケンタッキー・フライド・チキン)を買収するというニュースも出ていました。毎週のように有名企業に対して行われる大規模なバイアウト案件が報道される中、日本におけるバイアウトファンドの知名度が大きく向上し、また、これらの投資戦略に対する人々の理解も進みました。アクティビスト戦略とバイアウト戦略の大きな相違は、アクティビストが第三者の少数株主として上場企業の経営陣と微妙な距離を保ちながら企業との対話を進めるのに対して、バイアウト戦略では、ファンドが対象企業の株式全体もしくは過半数を取得することで、経営陣と一体となって企業価値向上に努めるという点です。したがって、バイアウト戦略における当初の企業買収アプローチが仮に敵対的であったとしても、買収後には株主と経営陣は一体となります。一方、アクティビストでは、株主と経営の緊張状態が長期にわたる可能性があります。

このような違いはありますが、最近では、非上場化することで企業価値が向上する可能性の高い会社に対して、アクティビスト戦略のアプローチで少数株主として提案しつつ、バイアウト戦略への切り替えを検討する事案もみられるようになりました。東証の市場改革にみられるように、PBR1倍割れ企業に対しては上場市場からの退場を迫る声も徐々に大きくなっています。今後も当面はアクティビスト戦略が様々な投資手法で日本企業に投資を増やしていくものと思われます。




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