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万年筆に憧れて。
万年筆。
あの青いインクの文字に憧れを抱いたことのある人は少なくない。
インクの色じゃなく、あの重さとか素材とか書き心地とか、重視するポイントは様々だと思うけど、万年筆の良さをわかるのは、素敵な大人の証明みたいな、そこへの憧れのみの人も多分、多い。
そしてそれ、私だ。
初心者🔰でもとっつきやすそう、という理由で、パイロットのカクノを買ってみたのが私にとっての万年筆デビューだ。
このカクノ、カートリッジもあるけど、別売のインク吸入器での使用も可能で、本格的な万年筆としても使えるという素晴らしさ。
ただ、どうもポップな感じが私の中の万年筆のイメージと違ってて、程なくあまり使わなくなった。
違うのよ。なんかもっと、シックな大人の、品格みたいなのが要るのよ。と。
自分勝手なイメージがね。困ったもので。
カクノはとってもいいペンなんですよ。
しばし万年筆熱はおさまってたけど、ある時急に再燃。
ただ、私は重い筆記具はダメ。それは物理的にダメなので重厚感のあるタイプは無理。あと、太めのもちょっと苦手。
でも、大人の雰囲気は大事にしたい。
いろいろ探す中でシンプルで軽そうで書き心地も評判の良いのを見つけて、試してみようと買ったのがプラチナ万年筆のデスクペン。
高級感や重厚感は、ちょっとないかも。インク吸入器タイプでもないし。
でも、軽さと削ぎ落とされたシンプルさはなんか意外にいいかも、と惹かれた。
結果。
これめちゃくちゃ書きやすい。ほんとに。
あまりに書き良くてずっと使ったし、追加で買い足した。
これ、いい!
だが。
やはりここでも、大人の品格を追い求める自分は主張をやめない。
ただの勝手な憧れでしかない。
こんなに相性のいい万年筆に出会えたのに。
もっと、こう、自分に合った、自分だけの、運命の万年筆がどこかに…!
台湾に旅行に行った。
そこで出会ってしまった台湾のSKB。
台湾の文具ブランドで、日本統治下時に日本人が創業した文具店を前身としている。
ここで、本体に名前を彫ってくれるオプションもつけて、吟味して選んだ万年筆を購入。
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キャップに名前を繁体字で彫ってもらった。これ、ほんとにいい。見せれないですけど。
抑えめのプラチナピンクの本体と、そこまで重くないけど、ちゃんと重さは感じる、太くなく細すぎないボディ。
理想の、万年筆では…?!
台湾の思い出にもなるし、これこそ私だけの万年筆…!
といいながら、SKBでポップな万年筆を別に購入。
いや大人の品格とか重厚感て!
ポップな感じがなーってカクノを使わなくなったくせに何故?!
いろいろありつつ、これが人生最後の万年筆、のつもりで買った。
それはそれは特別感が違う。
好きな色のインクは日本で日本製を数種類買い、それはそれは大事に大事に使ってました。
いやぁ、これだよ。
これが求めていたものだよ。
あれから、早幾年………。
すっかり使わなくなって放置されていた、理想の万年筆。
久しぶりに手に取った。
いい万年筆だと今も思う。
でも。
インクもまだいっぱい残ってるけど、でも。
やっぱ、使わないかー!
だったらせめて、また使いたくなる日まで、綺麗に整えてしまってあげようと思った。
インク吸入器とペン先を綺麗に洗う。
これ、綺麗にインク抜くの結構大変。
やってもやってもインクが出てくる滲んでくる。
すっかり腰が痛くなり、一旦休んでまた再開。
こんな手間も愛せる人が楽しむ資格を持ってるんだな。
背伸びし続けてきた自分にグッバイ。
いつかそれが背伸びじゃなくなる日まで。
しっかり乾かして、大事ににしまいます。