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海外FinTechサービス⑥ミレニアル世代向けモバイルバンク「Chime」
大学院の夏季休暇期間に週1で海外のFinTechサービスをリサーチして記事にするシリーズ。
第6回となる今回はミレニアル世代に向けたネオバンク「Chime」を取り上げます。
<お断り>
・情報は記事公開時点のものです
・ChatGPT等を活用して翻訳していますが、翻訳や解釈に誤りがある可能性があります
会社概要
Chimeは2012年に、従来の銀行システムに見られる根本的な問題を解決するために設立されました。コーポレートサイトには「Unlocking financial progress.」と記載されています。
彼らはあくまで金融テクノロジー企業であり、銀行でないことを強調しています。The Bancorp Bank, NAとStride Bank, NAと提携することで金融サービスを提供しています。
サービス内容
Chimeはアメリカで最も愛される銀行アプリであり、最もダウンロードされている銀行アプリの1つです。ではそのアプリで提供されている機能を見ていきます。
<紹介する機能>
・セカンドチャンスバンキング
・クレジットビルダーカード
・200ドルまで手数料無料で当座貸越を利用できる「SpotMe」
・給与を2日前に受け取れる「MyPay」
セカンドチャンスバンキング
過去に当座貸越や支払延滞があると信用情報に記録され、新しく口座を開設することが難しくなる場合があります。ChimeではChexSystems(アメリカの消費者信用調査機関)のレポート内容に関係なく、口座を開設することができます。これは従来の金融機関ではなかなか実現できないのではないでしょうか。
月額手数料無料でオンラインバンクの口座を開設し、利用することができます。利用にあたって最低残高手数料やその他の要件はなく、広く人々が口座を開設することができます。
クレジットビルダーカード
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クレジットビルダーは、その名の通りユーザーが信用(与信)を構築していくクレジットカードです。
サイトにはクレジットスコアを上げていくために必要なアクションが示されており、利用状況は3つの信用機関にすべて報告すると明記されています。ユーザーに対して与信構築のプロセスをオープンにしている点が非常にユニークで、ユーザーの信用度向上をサポートするというスタンスがミレニアル世代とマッチしている印象です。
年会費は無料で利息もなし。申し込み時の信用調査もありません。
商品ラインナップには、クレカとは別でデビットカードもあります。こちらは50,000台以上のATMで現金の引き出しが可能。月額料金や維持費はなし、スマホでバーチャルカードが利用できるのでカードを持ち歩く必要もありません。
Round Ups機能をオンにすると、購入のたびに発生するお釣りが普通預金口座に振り込まれ、貯金ができるとのこと。手間や考える必要なく貯金できるのがスマホファーストの世代にマッチしている印象です。
<クレジットカードビルダーの与信構築の仕組み>
・当座預金口座からクレジットビルダーの担保付き口座に資金を移動、移動した金額がカードで利用可能
・日々の買い物等でクレカを利用し、期日通りに支払うことでクレジットスコアが向上
・Safer Credit Building機能をオンにすることで、毎月残高を期日通りに自動的に支払うようになり、この支払いは信用調査機関に報告されクレジットスコアが向上する可能性がある
クレジットビルダーカードを利用することでクレジットスコアが向上すると明記がされており、また日々の買い物でキャッシュバックが受けられる「Chime Deals」も用意されているとのことで、ユーザーにカードを利用するインセンティブを付与しています。
200ドルまで手数料無料で当座貸越を利用できる「SpotMe」
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通常は、当座預金口座の残高を超える金額の取引を行った場合に当座貸越手数料がかかりますが、「SpotMe」では200ドルまで手数料無料で当座貸越を利用できます。前述のクレジットビルダーカードの利用者が利用できるとのこと。
ユニークな点は手数料が無料なだけでなく、利用資格のある友人からブーストを受けることで、SpotMeでの利用可能金額が増額することです。これもミレニアル世代向けの機能という印象を受けます。
給与を2日前に受け取れる「MyPay」
![](https://assets.st-note.com/img/1726407353-RoHCT6UEX1Mnmex0aAFy8jrg.png?width=1200)
「MyPay」は最大2日前に最大$500まで給与を受け取ることができる機能です。利息、信用調査はないとのこと。手数料は即時払いの場合$2、24時間以内であれば無料だそうです。
与信の作られ方についても記載があります。引き出し可能な金額は、ほとんどのメンバーは$50〜100から開始され、次の給与振込タイミングですぐに増額されることもあり、Chimeを継続して利用すると数ヶ月以内に最大$500ドルまで上がる可能性があるとのことでした。
なお給与の早期受け取りを利用するには、Chimeに当座預金口座を開設し、給与の振込先をその口座に指定する必要があります。
ちなみに給与の振込サイクルが日本とアメリカでは異なるようで、日本では25日や月末の月1回の振込が多いですが、アメリカでは2週間に1回のサイクルで支払われるようです。日本よりも給与振込サイクルが多く、その上でさらに早期引き出しのニーズがあり、文化の違いがサービスに表れています。
マネタイズポイント
様々な手数料が無料になっていますが、Chimeはどこでマネタイズしているのでしょうか。
コーポレートサイトには以下の記載がありました。
Instead of monthly service fees, our revenue comes mainly from transactions, the small amount we earn from Visa® when a member uses their Chime card.
月額利用料の代わりに収益は主に取引から得ている、つまりメンバーがChimeカードを利用した際にVISAから得られる少額の収益である。カードのIRF(インターチェンジフィー)が主な収益源のようです。
前述のようにカードを利用するインセンティブを用意することで決済額を拡大させ、収益を担保しているのかなと思います。
感想
まさに"新しい銀行"というような、今の世代にあった金融サービスを提供しており、非常に勉強になりました。
特に「与信構築のプロセスをオープンにする」「ユーザーと共に与信を作る」という点がめっちゃ良いな〜と思いました!