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採用PMは「プロジェクトマネージャー」である以上に、「プロダクトマネージャー」であるべき


この記事は、「スクラム採用カレンダー2019」の3日目の記事です。

はじめまして。
BASE株式会社 採用マネージャーの米田(@AiYoneda)です。

自社の採用活動の成功、より良いチーム作りを実現するための手法として、2019年は各チームが採用活動を行える体制の構築に尽力してきました。目標達成に必要な自分の役割として、私自身は採用PMとして採用活動に従事してきました。

その中で見つけた、私なりの採用PMのあり方とこれまで実践してきたことを書きます。

採用PMは「プロジェクトマネージャー」である以上に、「プロダクトマネージャー」であるべき

HERP社代表の庄田さんは、スクラム採用の条件のうち「採用担当のPM化」をあげられており、下記のように定義されています。

<採用担当のPM化>
採用担当が、採用活動における施策のオーナーではなく、全体のプロジェクトマネジメントやドメインプロフェッショナルとして機能。採用に関する知識を現場の社員へインプットする役割を担っている。

2019年私なりに採用PMとしてスクラム採用を推し進めてきて感じたのは、採用PMは「プロジェクトマネージャー」である以上に、「プロダクトマネージャー」であるべきだということです。

採用活動に哲学を持ち、採用活動の体験に責任を持つ。それが採用プロダクトマネージャー

プロジェクトマネージャー(以下PjM)とプロダクトマネージャー(以下PdM)は何が違うのか。

AmazonのディレクターであるIan McAllister氏は、Quoraにて下記のように回答しています。

Product managers own "What" and "Why".
Project managers own "How" and "When".
(a simplification, but generally holds true)
(PdMは、「何をするか」「なぜするか」に責任を持つ
 PjMは、「どうやって実現するか」「いつまでに実現するか」に責任をもつ)

PdMの役割を採用活動に当てはめると、「採用プロダクトマネージャー」とは、採用活動それ自体を”プロダクト”と捉えて、プロダクトに対する哲学を持ってあるべき姿を示して(何をするか/なぜするか)浸透させることだと考えています。加えて、採用活動(=プロダクト)のユーザー体験に責任も持つべきだと考えています。

上記を実践し、理想の採用活動を実現すること、これが採用PMの役割だと考えます。そして採用PMの役割をPdM的要素とPjM的要素に分けると、下記があると考えます。

<PdM的要素>
社内のメンバーに採用活動における哲学やあるべき姿を定め、浸透させる

実際のプロダクト作りでもそうだと思いますが、プロダクトのビジョンや哲学を持ち、あるべき姿を示すことで、みんなが同じ目標に向かって進むことができます。またあらゆる意思決定の軸になります。

スクラム採用においては各社員が採用活動の主体となるため、メンバーへも採用活動における哲学やあるべき姿を示し、浸透させていく必要があります。

それまで採用チームがやっていた業務を各チームに移譲するので、「なぜスクラム採用をすべきか」といった考えや、「なぜ採用チームではなく各チームでスカウトやカジュアル面談をやってほしいか」等の必要性を相手に理解してもらい、共感してもらう責任を負います。

採用活動におけるユーザーの体験を向上させる

広義の意味で、採用活動におけるユーザーは下記の方々だと捉えています。

・候補者
・社内のメンバー
・(派遣社員や業務委託の方も含めた)採用チームのメンバー
・人材紹介エージェント
・各種ツールやサービスのベンダー

もちろん採用活動のメインユーザーは候補者です。候補者体験(Candidate Experience)については昨今様々な方が発信されていますので、そちらをご参考にされてください。

そして採用活動をプロダクトと捉えたときに、社内のメンバーの体験向上についても候補者体験と同様に非常に重要だと考えています。社内のメンバーの体験を高めていくことで候補者体験の向上につながると考えています。

さらに採用活動にはエージェントやベンダーも関わってくるため、そういった方々も広義ではユーザーとして捉えるべきだと考えています。こちらもエージェントやベンダーの体験を向上することは候補者の体験向上につながると考えています。(ここは正直まだまだ取り組めていないです)

つまり、採用PMは候補者のみならず、社内のメンバーやエージェントやベンダーの採用活動体験にも責任を持つ役割だと考えています。

<PjM的要素>
社内のメンバーが採用活動を行う際の障壁を取り除く

採用活動を含めたチーム作りは、各チームにとって本来的には楽しく、前向きな活動だと思います。

しかし日々の業務に追われていて余裕がなくなってくると「面接がたくさん入っていて他の業務の時間が取れないな」「なかなかマッチする人が見つからないな」とネガティブになってしまったり、選考に関して他のメンバーと意見が合わないことがあるとモヤモヤしてしまうこともあると思います。

また、初めて採用活動に初めて携わる人に対しては、いわゆるオンボーディングをしっかりしないとその後の体験の質に影響してきます。

このように日々採用活動していると、採用活動に対して後ろ向きになってしまったり、主体的に動くモチベーションを保つのが難しい瞬間が起こりえます。

採用PMは、各チームが採用活動がしやすいように障壁を取り除いたり、交通整理をする役割を担う必要があると考えています。

採用PMは何人で担うべきか

記載した採用PMの役割を採用チームの1人が担うのか、複数人で分担するのか、各チームで1人ずつ担うのか等の役割分担については、チームの状況や組織の大きさや特性によって最適解が変わってくると思います。現在BASEでは私がほぼ1人で担っている状態ですが、そこは私自身もいろいろと取り組みながらベストな方法を模索しています。(みなさんのご意見やご経験もぜひお聞きしてみたいです。)

採用PMとして何をしたか

今回は、社内のメンバーというユーザーに対しての施策にフォーカスしてお話しします。

2019年は大きく下記の2つに取り組みました。

・採用活動のあるべき姿(テーマ)を決める
・やるべきことを示す

採用活動のあるべき姿(テーマ)を決める

PdM的要素: 社内のメンバーに採用活動における哲学やあるべき姿を定め、浸透させる

これはまさに上記に当てはまる取り組みです。

私がBASEの採用業務に深く関わり始めたのは2019年の年明け頃です。最初に採用活動における課題の整理から始めたところ、私が強く感じたのは、採用活動におけるあるべき姿(テーマ)がないことでした。

そこで、まず採用活動におけるあるべき姿(テーマ)を決めることにしました。

課題整理をする中で、BASEの採用は中途/経験者採用が中心であること、私含め採用チームのメンバーがBASEで事業部の経験がないことから、各チームを巻き込んで適切に役割分担をする採用活動を行う必要があると考えました。

と、考えているときにちょうど”スクラム採用”という言葉と出会い、「これだ!」と思ったのです。テーマはキャッチーで覚えやすいものが良いと思ったので、”スクラム採用”をそのままBASEの採用テーマとして掲げることにしました。

当時はPdMとは意識してなかったのですが、振り返ると「あるべき姿を定める」というPdMとしての役割を果たそうとしていたんだなと思います。

テーマを決めたら、きちんと浸透させるアクションに移します。前述のとおりスクラム採用ではメンバーへのあるべき姿(テーマ)の浸透が重要です。

まずは”スクラム採用”という言葉を知ってもらうことから始めました。例えば全社定例で「BASEはスクラム採用をやっていきます」と宣言したり、社内向けのドキュメントに頻繁に”スクラム採用”という言葉を使ったり。そうすると社内でもメンバーから”スクラム採用”というワードを聞くようになりました。

やるべきことを示す

PdM的要素:採用活動におけるユーザーの体験を向上させる
PjM的要素:社内のメンバーが採用活動を行う際の障壁を取り除く

これは上記2つの要素を含んでいる取り組みです。

スクラム採用を始めて採用活動の主体を採用チームから各チーム(主にマネージャー)に移譲していく過程で、下記のような課題が浮かび上がりました。

・採用活動の全体像を把握できず、自分の役割ややるべきことが分かりづらい
・スカウト、カジュアル面談などの具体的なやり方が分からない

上記に対して行ったアプローチとして「やるべきことを示す」必要があると感じ、以下を行いました。やったこととしては難しいのもではなく、非常にシンプルで、比較的地味に見える施策だと思います。

・情報を整理してドキュメント化・公開し、誰でもアクセス可能にする
・マニュアルを作成し、口頭で使い方のレクチャーを行う

情報を整理してドキュメント化・公開し、誰でもアクセス可能にする

主に採用に初めて関わるマネージャー向けに、採用計画の策定から選考、オファーまでの一連の流れや各経路による特性やコストのかかり方などをまとめたドキュメント、採用計画の策定フロー、選考フロー、各種制度などについて、ドキュメントやシート作成して全社公開しました。

例えば採用計画の策定については、それまで定期的な合意形成の場が設けられていなかったり、チームマネージャーが「〇〇という職種の人を採用したいです」という要望をあげた際に、その人の上長から「それ事前に聞いてないです」という返答が返ってくるなど、意思決定フローが明示的に示されていないことが課題として浮かび上がりました。

「〇〇がしたい!」と思った時にそのやり方が分からなかったり、分からないなりにやってみて指摘を受けることは、良いユーザー体験とは言えません。

そこで、Qごとに一定の組織単位で採用計画策定のMTGの場を設けるようにしたり、新たに募集を開始する際の承認フローなどをまとめたドキュメントを作成・公開しました。

これらにより、採用活動の最初のステップである採用計画策定について、各チームマネージャーがフローに沿って行えるようになりました。またマネージャーや選考メンバーの間で、どういう人をいつまでに採用すべきかという認識を揃えることができ、認識の齟齬によって起きるマイナスなコミュニケーションの解消に繋げられました。

マニュアルを作成し、口頭で使い方のレクチャーを行う

オンボーディングがしっかりできていないと負のユーザー体験を生んでしまいます。

スカウトに関しての印象的なエピソードをご紹介します。

スカウトを送れるサービスをチームマネージャーに紹介して使ってみてくださいと伝えても、スカウトを送った形跡が見られないことがありました。時間がなくて送れていないのかなと思い、直接「最近スカウト送れてますか?」と声をかけたところ、「それが、実はここの使い方が分からなくて…」と反応が返ってきて、そこで初めて課題は時間がないことではなくてツールの使い方が分からないことだと判明することがありました。オンボーディングが不十分だったことによる負のユーザー体験の典型的な例です。

きちんと使い方をドキュメントにまとめて、口頭でレクチャーの時間を設けることで、その後スムーズにサービスを使ってスカウトを送ってもらえるようになったり、サービスの使い方について分からないことがあればその場で質問をもらえるようになりました。

カジュアル面談やオファー面談のオンボーディングについては、すり合わせの資料を作って口頭ですり合わせの時間を作ったり、同席とフィードバックを行うなどしました。詳細は先日登壇させていただいた際の資料をご覧いただけると嬉しいです。

マネージャーをリクルーターにするための採用PMの取り組み

採用PMは地味

前述の通り、やったことを並べてみると正直地味ですが、一定程度の負の解消は実現できたのかなと感じています。採用PMはこういった障壁を取り除いて、各チームが思いっきり採用活動ができる環境を整備することが非常に重要だと考えています。

おわりに

以上、私なりの採用PMのあり方とこれまで行ってきたことを書かせていただきました。

私個人の意識としては、私自身は会社の採用担当というより、問題解決者でありその領域がいまは採用なんだと思って日々の業務に取り組んでいます。採用や人事にとどまらず他に会社として解決すべき問題があれば、その問題に取り組んでいこうと意識を常に持っています。2019年は採用中心に活動を行ってきましたが、2020年は会社としてこれまで注力できていなかった組織開発にも関わろうと思っています。

そして最後に宣伝ですが、私と一緒にBASEの採用を盛り上げてくださる方を大募集しています!私自身まだまだ考え切れていないこと、やり切れていないことが山のようにあり、一緒に考えて取り組んでくださる方を探しています。

この記事を読んで少しでもご興味を持っていただければ、私にDMしていただいたり、下記募集要項をぜひご覧ください。

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(こういうのもいま全部私が片手間でやっちゃってるので、より良い感じにやってくださる方大募集です)


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