国土強靱化地域計画/27交付金、補助金で重点支援/予算の配分、優先採択/国交省など7府省庁

2020.01.23 建設通信新聞 (全1,310字) 
 国土強靱化に関係する9府省庁のうち国土交通省など7府省庁は、2020年度に27の交付金・補助金で、国土強靱化地域計画の事業に対し、予算の重点配分や優先採択など支援の重点化を実施する。防災・安全交付金や、社会資本整備総合交付金などが対象となる。重点化は19年度に始めた支援の新たな取り組みで、198団体にとどまる地域計画の策定と計画的な取り組みの実施を市区町村に促すことが狙い。19年度は、9府省庁が34の交付金・補助金で、地域計画に基づいて実施される取り組みかどうかを交付を判断する際に一定程度配慮するとしていた。
 2年目の20年度は、支援を実施する交付金・補助金の数を46に増やすとともに、支援の重点化に踏み込む。重点化をする補助金・交付金の所管府省庁は、内閣府、警察庁、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国交省。重点化をしない19の交付金・補助金は、一定程度配慮から変更しない。
 交付金・補助金の配分方針と配分結果の見える化も20年度に開始し、配分方針は府省庁ごとにおおむね3-4月に公表する予定だ。
 内閣官房のまとめによると、地方公共団体1788団体のうち、1日現在で地域計画を策定済みは198団体(47都道府県と151市区町村)にとどまる。策定中は375団体、策定予定は599団体、検討中は500団体で、116団体は策定の予定なしとなっている。
 地域計画の策定は国土強靱化基本法で努力義務とされているが、市区町村が計画的に強靱化の取り組みを進めるためには地域計画が必要として、関係省庁が連携して策定を呼び掛けている。
 21年度には、地域計画に基づいて実施される取り組みか計画に明記された事業であることを交付金・補助金の交付要件とする要件化を検討することを関係府省庁は申し合わせている。
 支援を重点化する補助金・交付金は次のとおり。
 〈内閣府〉
 ▽地方創生整備推進交付金。
 〈警察庁〉
 ▽都道府県警察施設整備費補助金(警察施設整備関係)▽特定交通安全施設等整備事業に係る補助金。
 〈総務省〉
 ▽放送ネットワーク整備支援事業費補助金▽無線システム普及支援事業費等補助金(地上基幹放送等に関する耐災害性強化支援事業)▽無線システム普及支援事業費等補助金(民放ラジオ難聴解消支援事業)▽無線システム普及支援事業費等補助金(公衆無線LAN環境整備支援事業)▽ケーブルテレビ事業者の光ケーブル化に関する緊急対策事業▽消防防災施設整備費補助金▽緊急消防援助隊設備整備費補助金。
 〈文科省〉
 ▽学校施設環境改善交付金。
 〈厚労省〉
 ▽社会福祉施設等施設整備費補助金▽次世代育成支援対策施設整備交付金▽保育所等整備交付金。
 〈農水省〉
 ▽農村地域防災減災事業▽農業水路等長寿命化・防災減災事業▽農山漁村振興交付金のうち農山漁村活性化整備対策▽強い農業・担い手づくり総合支援交付金▽鳥獣被害防止総合対策交付金▽治山事業▽林業・木材産業成長産業化促進対策▽水産基盤整備事業▽浜の活力再生・成長促進交付金▽農山漁村地域整備交付金▽海岸事業(漁港海岸)。
 〈国交省〉
 ▽防災・安全交付金▽社会資本整備総合交付金のうち道路事業。
日刊建設通信新聞社

近畿管内の既存ダム機能強化の協議開始

2020.01.23 大阪版 1頁 行政・建設経済 (全867字) 
 近年の水害の激甚化を踏まえ、ダムによる洪水調節機能を早期に強化するため、国土交通省近畿地方整備局管内の1級全10水系の河川管理者、ダム管理者、ダム参画利水者による協議の場が設置された。2019年12月に政府の検討会議でまとまった「既存ダムの洪水調節機能強化に向けた基本方針」を受けてのもので、全国の地方整備局管内で初めての開催。昨年の台風19号による被害があった中でも「既存ダムによる洪水調節」が下流域の浸水被害を減らすのに効果を発揮したため、有効な治水対策の一つとして水系ごとにハード・ソフト一体的な対策に取り組む。近畿管内では今後、次の出水期前の5月を目標に、各水系ごとのハード・ソフト対策の工程表作成、治水協定の締結、大規模洪水時における操作要領の策定などを目指す。 対象は新宮川、紀の川、大和川、淀川、加古川、揖保川、円山川、由良川、九頭竜川、北川の10水系。近畿地整の直轄ダムから府県、市町、電力会社、土地改良区などが管理するダムまで全91ダムがある。 検討会議で国交省が示した説明によると、ハード対策は「ダム整備などにより新たな洪水調節容量を確保する」と位置付け、(1)建設中のダムの着実な整備(2)嵩上げなどのダム再生(3)ダムによる機能増強が難しい河川では調節池整備や河川堤防の強化など―に取り組む。 近畿地整管内では次期出水期までの当面の取り組みとして(1)情報連絡体制の整備(緊急時の連絡体制構築、事前放流実施演習など)(2)水系ごとの治水協定の締結(3)工程表の作成(4)利水ダムの操作規定変更(5)大規模洪水時における操作要領の変更(6)国交省所管ダムの事前放流実施要領の策定―を進める。 1月21日に設置された水系ごとの協議の場で会長に選出された近畿地方整備局河川部の豊口佳之部長は「近畿地整では全国の水系の先陣を切って協議をスタートする。次の出水期まで時間は限られているが、当面の取り組みやスケジュールについての認識を共有したい」と、協議に参加する河川管理者、ダム管理者、ダム利水者らに協力を呼び掛けた。建通新聞社



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