至高の時間は自分で作り上げる

暗がりの中、ゴーというエアコンの音が響く。
今日も外は熱帯夜で、また眠れぬ夜は更けていく。

そうだ、眠れぬのならもういっそこのまま起きていようか。
エアコンの効いた部屋の中でもじんわりと自身の体温で汗をかいている感覚が伝わってくる。

二時を過ぎる。
いつもならば眠れなくなるからと伏せているスマホを取り出し、暗がりでブルーライトを浴びる。

三時をまわる。
外からは早朝から忙しそうに走り回る新聞配達のバイク音とポストのカチャンという音が聞こえてきた。

四時が来た。
窓の外は薄っすらと明るくなりカーテンの隙間から光が見える。

では、動くとしようか。
トタトタと階段を降り一階へ向かう。お目当てはカップラーメンと冷やされた水。
カップラーメンを美味しく食べるためには、前日の冷めきったポットのお湯ではいけない。
チチチ、とガスコンロの火をつける。

さあ、その間にやるべき事がある。
私はその考えを思いついた時、ワクワクと胸が踊った。
足早に風呂場へと向かう。
風呂の温度を入れ前日に使用した残り湯を沸かす。特段気にはならない。どうせ私が使うだけだ。

さて、これから私が何をしようとしているか。
これはある種、背徳的行為かもしれない。普段は出来ない事。だからこそ、そそるのだ。

湯船に浸かり、スマホで動画を流しながらカップラーメンの出来上がりを待つ。
窓は少し開け、空の色が段々と移り変わりゆくのを横目に、私は味噌の匂いが鼻と胃を刺激するカップラーメンへと手を伸ばす。

そう、幸福はここにあったのだ。

冷えきった水をコップ一杯飲み干し、またカップラーメンをすする。
汗をかきながら癒やしの時間を満喫する。
最後の一滴まで飲み干し、急ぐこともなくただゆったりその湯に浸かっていれば良い。

窓からほんの少し見えた朝焼けと味噌の香りは私の脳裏に強く染み付いた。