在庫ビジネスの話
今日は資本が潤沢じゃない場合は在庫ビジネスはしないでというお話を。
私は今年の6月に次亜塩素酸水の製造販売業で会社を設立した。資本金は600万円で社会的な借入はしなかった。
製造機械は譲り受けたモノであったため、初期費用は主に梱包資材の仕入れ代金にかかった。中国からの輸入関税や送料、箱のオーダー料など諸々を含めて200万円ほどが一瞬にして消えた。
そしてその200万円と引き換えに当然手元には資材在庫が残るのであるが、これが営業力不足もあり、なかなか減ってはくれない。というよりも過剰に仕入れ過ぎたのだ。
どんな商品発注でも共通しているだろうが、ロットが大きくなればなるほど1つ当たりの仕入単価は安くなる。今回の場合、最低ロットが1000個で、1000個以下と以上では単価が80円ほど差額があった。たった80円と思うだろうが、資金が潤沢にあるわけではない弊社にとってこの80円は大きな差額に感じた。そして自分たちの力量を見誤り、何の根拠もなく1000個ぐらいはすぐに売れると過信をしてしまい、1000個の発注をかけてしまったのだ。
ここでのベターな判断は、仕入単価が多少は上がろうとも300個~多くとも500個ほどに抑え、しっかりと売り先を確保した後に大量発注をするべきだった。
これは在庫ビジネスの典型的な失敗だ。私も今まで多くの本を読み、人の話を聞いて、もし在庫ビジネスをするにしてもこんな失敗は絶対にしないと高を括っていたが、実際には同じ過ちをした。人間はやはり身をもって経験しないと覚えないようだ。~らしいという人に聞いた話を自分事のように話す人は多くいるが、そーいった人は薄く、浅く、説得力がない。
資金に余裕があり、当分の間在庫が現金化しなくても困らない企業は別であるが、弊社のような出来立てほやほやの小さな会社は在庫を速やかに現金化しなければ会社が回らない。実際に役員の給料は未払いが続いた。
キャッシュフローに悩む会社は、このような一か八かの仕入れを絶対に行ってはならない。理想は、当初の予算で適切な仕入れを行い、その仕入分を現金化して、その利益を上乗せした予算で新たに仕入れる、というサイクルを回し、徐々に遠心力を付けていくのがいいだろう。現在は私もそれに切り替えた。気づくのが遅かったがこれも経験だ。
兎にも角にも、薄利になろうとも在庫を残さず、まずは売り切ることを第一に考え、仕入れに対して赤字にならなければいい。在庫は資産だが、キャッシュフローが伴わない会社にとっては負債以外の何物でもない。私は身をもってそれを経験した。
在庫ビジネスは極力避けた方がいいし、仮にするなら身の程をわきまえてというお話でした。
まとめると、人間は話すときに72種類の筋肉を使うらしい。