旅の締めくくりは倉敷「大原美術館」へ
瀬戸内海ひとり旅の記録
(8日目 岡山・倉敷編)
引き続き、旅の思い出を綴ります✍️
とうとう最終日!
前日に高松から倉敷へ。美観地区近くのドーミーインで1泊して、昼過ぎの新幹線に乗って東北の地へ帰りました。というわけで、午前中の限られた時間でしたが、倉敷観光を楽しんだ記録です!
ドーミーインの朝食、最高!
大原美術館へ
日本で初めてできた
私立美術館である大原美術館。
旅のきっかけであった小説「<あの絵>の前で」の「窓辺の小鳥たち」には、大原美術館の<鳥籠>の絵が登場する。
直島の地中美術館のモネの<睡蓮>の前に立つことができたわたしは、旅の最後はピカソの<鳥籠>の前で締めくくろう!と足を運んだ。
今回、「異文化は共鳴するのか」という特別展をやっていて、作品の見せ方が変わっていたらしい。とても見応えがあった。
ここから美術館レポ、といきたいところですが、美術に関する知識は持ち合わせていない新参者なので💦大塚国際美術館レポと同じように、自分なりの感想をスマホにメモしていたものをもとに書きます…!
印象に残った 児島虎次郎作品
児島虎次郎は、日本における印象派の画家の1人で、大原美術館の所蔵されている西洋美術の収集にも尽力した人。
恥ずかしながら、「児島虎次郎」という人物については大原美術館に行くまで、ほぼ認識しておらず。そういえば上半期に行った印象派展でも作品(図録で振り返ってみて発見!)があった。
これまで、黒田清輝、藤田嗣治くらいしか認識していなかったから、日本人の西洋画家の解像度もほんの少し上がった。児島虎次郎は黒田清輝に師事していた関係。
さて、そんな感じで、初めてといっていいほどたくさんの児島虎次郎の絵と対峙してみて、、
率直にとても好みだった!!!
色彩の鮮やかさや、世界各国の風景、日本文化との融合が描かれていて心惹かれる作品がたくさん。もっとじっくり1枚1枚見たかった。
また、虎次郎が、直接、モネやマティスに交渉して作品をコレクションしていったと知り驚き!!
実際にジヴェルニーに行って、モネと会っている日本人がいたのかあと、と。とても不思議な気分になったし、こうやって作品と出会える機会を作ってくれた虎次郎に感謝〜✨って気持ちになった。
西洋美術を日本に紹介した「白樺派」
今回は作品もそうだが、大原美術館を取り巻くストーリーもとても面白くて、初めて知ることが多かった。
武者小路実篤、志賀直哉、柳宗悦、白樺派、バーナード・リーチ、、どれも何となく知ってる名前…くらいの人たちだったが今回少しだけ点と点がつながった。
文芸誌『白樺』の人たちがロダンに魅せられ、生誕70年を祝う「ロダン号」を発行するにあたり交流が生まれた話。お誕生日を問い合わせたところ、ロダン本人から返事来た。頼まれた浮世絵を日本から送ったところ、ロダンの彫刻3つ送られてきたという!その時の興奮がありありと書かれている日記がおもしろかった。
白樺派の人たちが構想した「白樺美術館」は結局のところ実現されなかったけど、そのロダンの彫刻3点は大原美術館に「永久に寄託する」という形で大原美術館に所蔵されているという。そのストーリーに、なんだか感動。
今もこうして作品を見られることは、多くの人が関わって情熱を持って後世に残されてきた結果なのだなあと。
いろいろな点と点が繋がる感覚
いろいろと解説を読んでいて、今回の旅で訪れた大塚国際美術館で見た、焼失してしまったゴッホの「向日葵」は、白樺美術館のために購入されたものだったと知った(!)
ゴッホの贋作?にまつわる話もおもしろい。
画家の棟方志功は、「白樺」誌上に掲載された向日葵の絵を見て、画家を志すほどの衝撃を受けたらしい。そんな棟方志功は、大原美術館の所蔵のゴッホ作品「アルピーユの道」を直接目にすることになる。画家を志すきっかけとなったゴッホの絵を見て、「弱い」と思ったそうだ。そのときのことが墨絵で絵日記のように書いてある記録が残っていた。
その後、実は「アルピーユの道」は、贋作の可能性が高いと言われているそうだ。(ベルリンの画商オットーが大量にばら撒いたゴッホの贋作の1つ)
すごく感銘を受けた「ゴッホ」の絵を前にして、後に贋作だとされる絵を、「イマイチ弱いなあ」と思える、気づける棟方志功の「審美眼」がすごい。ゴッホだからスゴイ!じゃなくて、ちゃんといまいちなことをいまいちって言えるのが、さすがだと思った。去年の秋は青森県立美術館で棟方志功の絵とたくさん出会っていたので、さらに親近感がわいた。原田マハさんの棟方志功にまつわる作品「板上に咲く」も早く読みたい。
大塚国際美術館で知った「幻の向日葵」と今回のストーリーが、あー!これかあ!って繋がって、まさに旅の最後にふさわしい伏線回収だった。大げさだけど(笑)
また、白樺派のメンバーの1人柳宗悦の民藝運動は、岩手を舞台にした小説「雲を紡ぐ」と繋がった。民藝は、手仕事で生み出された日常使いのモノに美を見出そうとする運動のこと。雲を紡ぐでは、岩手のホームスパンにまつわる物語として、民藝運動が紹介されていた。
そういえば、マスキングテープは倉敷が発祥地!!ここでも日常に使うものに「美」を見出す遺伝子が受け継がれているんだなあと。
大原美術館の敷地内の工芸・東洋館もとても見応えがあった。
仏像とか、土器とか、甲骨文字とかめっちゃくちゃおもしろかった。歴史の勉強にもなる。あと、床のタイルが面白かった。歩き心地も。石が敷き詰められている?タイル式?なんだけど。調べてみたら、木のレンガだった!建物も含めてとても素敵な空間でした。
とにかく滞在時間2時間くらいじゃ見切れないくらいとても素敵な美術館!
最後に、大原美術館で1番有名であろう1枚を。
時間がもっとあったらなあと思いつつ、美観地区もお散歩したかったので、再訪を誓い「大原美術館」を後にしました。
倉敷・美観地区を散歩
この日もとてもいい天気で、建物の白壁や屋根の黒、青空と川と柳並木の青や緑のコントラストが美しかった。大学時代に一度だけ訪れたことがあるけれど、その時とは感じ方も楽しみ方も全然違くて(もちろん美術館には行ってない)なんだか大人になったなあなんて思いながら、趣深い街並みを闊歩した。
写真を振り返ると、本当に天気に恵まれた旅だったなあ。
とても暑かったけど、汗をかきかき、水分を飲み飲み、日焼け止めを塗りたくって、晴れパワーをたくさんもらった1週間だった。
旅の終わり 帰路へ
行きは寝台列車だったので、新幹線移動長く感じるかなと思いましたが、旅の思い出を振り返りながら体感ではわりとあっという間に時間が過ぎていきました。
7日ぶりに地元の駅へ降り立つ。
新幹線の時間に合わせて、母が迎えにきてくれた。
基本、旅の終わりって「終わっちゃった〜!」「帰ってきちゃった〜!」という寂しさが大きいが、今回の旅は、達成感というかなんというか、「楽しみ尽くしたぞ〜!」みたいな充足感と、大げさだけど「生まれ変わった」みたいな、「新しい自分」になって帰ってきた感覚が大きかった。
そんなこんなで、わたしの瀬戸内海ひとり旅は幕を閉じたのでした。これにて、7泊8日で訪れた場所などに関する旅の記録はおしまいです!ただ、もう少しだけ旅の余韻に浸りつつ、今回の旅を全体的に振り返ってみたいと思います。
よろしければお付き合いください😌
旅の記録 「岡山・倉敷 編」
おしまい。
瀬戸内海ひとり旅の記録 つづく。
(次回は「総集?編」です!)