かいしゃのPC-98のHDDをSDカード化した話 Part1/x
静かなトレンド、PC-98のSSD化
さいきん会社のレトロPCの内蔵HDDをSDカードに置き換える改造をしました!
はんぶん趣味、はんぶん仕事。
表立って話題が流れてくることは全然ないのに、調べるとあちこちから情報が出てくる98マシンのSSD化。さいきんNEC公式の98エミュレーターの話題が出たときにリプツリーに「会社のPCをCF化して使ってたな~」「おれもおれも」という反応を見かけました。
案外どの会社にも私のような人が居て改造してるのかもしれません。
古くは認識限界を超える容量のHDDをファームで制限して利用する方法。
SATA SSD化、CF化、CFリセット現象の発見とその克服・・というように最近まで様々な流行?出来事があったようです。
もう古い情報や誤った情報、上手くいかずに諦めた人の話もけっこう見ました。
界隈の人たちには常識なんだろうなという事でも私には初めて知る情報で、あらゆる罠を踏み抜いて知見を得たので私なりに書き留めておこうと思いました。
今回の標的になったのはPC9801BX2とPC9821Xa2。
OSはMS-DOSとWindows95。HDD容量は120MBと2GB。
1994年とかそのくらいの機械ですがお仕事で現役バリバリなんです。
2024年12月現在、フロッピー使ってます!
USB端子なし。SATAポートなし。PCIeスロットどころか9801に至ってはPCIスロットすらないと言ったら最近の人にもレトロ具合が伝わるでしょうか。
内蔵HDDのSDカード化の目的、メリット
・寿命が近付いていていつ壊れてもおかしくない内蔵HDDを置き換えられる
(実際に今年に入ってからも大事な作業中の突然死が相次いでいるー)
・すでに入手困難なIDE接続のHDDや今後生産が減少すると思われるCFカードと比べてSDカードは今後の継続入手性に期待できる
・あらかじめ複製を作成しておけばトラブルの際にSDカードを挿しかえるだけですぐに復旧できる
・PC-98のHDDは現代のDOS/Vマシンに繋いでもデータは取り出せないが、今回副産物的に両対応化ができたため作成したSDカードを現行のWindowsマシンのカードリーダーに挿せばデータを取り出すことができるようになった。OSが起動できなくなった場合にも編集中だったプロジェクトファイル等を救出するのに有用と思われる。
※PC-98の内蔵固定ディスクポートは厳密にはIDEに準拠していないらしいのですが便宜上ここではIDEポートと呼びます
PC-98にはIDEポートがある
私は内蔵HDDもSCSI(スカジー)接続なんだとずっと思い込んでいたので当初はSCSI-SDカード変換の方法を調べていました。
開けてびっくり9801にも9821にもマザーボードにIDE(パラレルATA)ポートがあるじゃないですか。
IDE-CF変換やIDE-SDカード変換アダプタならAmazonやAliExでよく見かけるのでIDEが使えるのなら簡単にHDDを置き換えられるぞと思ったのが深い深い沼の入口でした。
まずはじめに9801BX2は基本的に544"MB"までのストレージしか認識できません。それを超える容量を繋いで通電してみてもメモリカウントの後でフリーズしてしまい何もできません。
544MB未満のPATAの新品HDDなんて手に入らないので壊れた場合や壊れる前に交換したいとなると他の選択肢を考えていくことになります。
DOMドライブという選択肢
・DOMドライブ
DOMドライブというのはIDE(PATA)ポート直結型の小容量SSDで、ずばりこういう産業用のレトロPCの故障HDDを置き換えるために用意されたデバイスらしいです。今はいいのですが今後先細りするだけの需要がなくなったら作られなくなり、まだあっても高騰しているでしょう。
私が会社を去ったあとに壊れた時に果たしてまだ売っているのか、その先のつぶしが効かないので選択肢から外しました。
SATA変換してSATA SSDの容量を制限して使う選択肢
これがけっこう沼でした。
・IDE-SATA変換→SATA HDD
・IDE-SATA変換→SATA SSD
これは比較的簡単にできるのですがSATA 変換したところで544MB未満のストレージなんて売ってないのでひと工夫が必要になります。
具体的には別のPC(PC-98ではなくDOS/Vマシン)でストレージのファームウェアで実際より小さな容量へ制限をかけてから98へ持って行くのですが、これにはでHDAT2やMHDDなどのWindowsを介さないツールをCDブートして使うことになり(※Linuxを使う方法もあるらしい)、この際にSATAポートがAHCIモードではこのツールが接続されたストレージを認識できないんですね・・。
会社にあるDELLの現行PCにはまだSATAポートがあるもののAHCI固定になっていて、レガシーモードへの切り替えはBIOSで機能制限されていて不可でした。
PCIEスロットにSATA(RAID)カードを指してレガシーモードで認識させたらどうだろう?とも考えたのですがこれもDOSで使えるそのRAIDチップのドライバを用意してCDに組み込まないとストレージを認識できません。
ASUSの汎用マザーの入ったSocket478のBTO-PCが社内に1台だけあってこれなら使えそうだったのですが、マザー上のコンデンサというコンデンサが液漏れしており動いているのが不思議な状態でPC-98よりも先にだめになるのが明白なのでこれを手順に組み込むのはやめました。
(また最近はOS上でResizableBARなどの最新機能を使うにはCSMブートを無効にする必要があり、CSM無効ではSATAポートはレガシーモードがサポートされないなどの事情が芋づる式に連鎖していまして・・今後を考えるとSATAポートがあってもHDAT2やMHDDを使う(人に使わせる)のはハードルが高くなっていきそうです。)
(それにSSDもM.2が天下を取りSATAのSSDもいつまで手に入るかわからないとも思います。SATA HDDは当面のあいだ作られそうですが6TBとかのHDDを512MBに制限して98に載せますかっていうとちょっと選択肢に入らないですよね・・。)
さらにさらにですよ、そこまで環境を用意しても最近のSATA SSDは容量制限のコマンドに対応していないことがあるそうで、実際HDDでは出てきた容量制限の項目が家に余っていたSAMSUNGの830では一切出てきませんでした。
とほほ
CFカードを使う選択肢
・IDE-CF変換→CFカード
SDカードなどと違ってメモリコントローラーがメディアに内蔵されているので相性問題が起きにくいとか言われていたフラッシュメディアです。
CF変換アダプタにもチップなどが乗っておらずほとんど形状を変更するだけでIDEにつながるような感じです。
98マシンの置き換えストレージとしては比較的主流の選択肢で情報もよく出てきます。
8MBくらいの低容量から手に入り、容量制限の可否に頭を悩ませなくても98で認識できる容量ものを選んで挿すだけです。
ですがこれもすでにレガシーになりつつあり今後の入手性が怪しいこと、マイノリティなのでSDカードと比較してひどく割高なことを考えるとどうかなといった感じで私は選択肢から外しました。
また前述の通りコントローラーが内蔵されているのですが、このチップの種類によって98で使えるものと使えないもの、使えるけれど(CFリセットとかの)不具合の起きやすいものなどがあるそうで、故障の際に代替品を探すときのガチャ感が強いなと思いました・・。
SDカードの選択肢!
・IDE-SD変換→SDカード
・IDE-CF変換→CF-SD変換→SDカード
そんなこんなの思考と試行の旅を経て私が選んだのはSDカードでした。
一番普及しているので当面のあいだは手に入ると思います。
なによりも一番売れているものは量産効果と競争によって安い!
ちなみに低容量のSDカードですが磁気研究所という会社さんが今でも作ってくれていてHIDISCというブランドで256MB、512MB、2GB、4GB、8GBなど各種出ています。
この会社さん調べてみると所在は秋葉原で、昔から光学メディアやカセットテープなどの生産設備を撤退する会社さんから引き継いで作り続けてくださっているそうでとても助かる存在。
最初は聞いたことないあやしいメーカーだなーって思ってましたが実際酷使してみてSDカードの品質全く問題ないです。
後編へつづく
次回、うまく行った手順とかさまざまな罠とか