なぜ人は起業体験イベントにハマるのか、そして地域で行う意義(前編)
はじめに
さる6/19にITコミュニティ「Code for Kitakyushu」にて登壇し、掲題でお話ししてきました。せっかくなので、その際にお話しした内容について記しておきます。
Code for Kitakyushuとは
ITコミュニティ「Code for Kitakyushu」の説明は以下の通り。
2014年(もう10年になるんですね)の発足以降、年1位で対外的にアイデアソン、ハッカソン、ハンズオンセミナーなどを実施しつつ、2019年2月からは第3水曜日を定例会として登壇者を招きつつコミュニティ内外の交流を行っています。
私自身は2014年の立ち上げから関わり、気づけば立ち上げメンバーで今も積極的にかかわっているのは私だけという形ではありますが、今は今で複数の有志メンバーで毎月開催出来ていることがとても嬉しいです。
毎回、登壇者のキャスティングコストもそれなりにかかっているので(労力的な意味で)、いつまで続けられるかは分からないものの、実施するたびにモチベーションが上がる不思議な会です(笑)
今回は、Startup Weekend(以下、SW)北九州の開催前という事もあり、せっかくなのでSWの魅力を改めて語らせていただくことにしました。
起業体験イベント「Startup Weekend(SW)」とは
今回お話しさせていただいたSWについては、私のnoteでもちょくちょく触れている(というより、最近はそのことについてしかほぼ書いてない)ので言わずもがなかもしれませんが、週末3日間(金曜夜から日曜夜まで)の54時間で、起業家の行動様式を実践しながら新しいアイデアをカタチにするプロセスについて学ぶ場です。詳細はファシリテーターとしての所信表明を行った下記記事をご参照くださいませ。
付け加えると、イベント名で誤解されがちですが、SWは起業をゴールとはしていません。SWの目的は自らの頭で考え行動する、いわゆる「アントレプレナー」を増やし、そしてアントレプレナーを応援するコミュニティを形成することを目的としています。
なぜ人は起業体験イベントにハマるのか
このタイトルをつけるにあたり当然の疑問として「そもそもハマるのか?」という問いが挙げられますが、これに関しては「ハマる人にはハマってます」というのが答え。何しろ、過去18回も参加した人がいるので。
では、なぜ人はそんなにハマるのか。その理由を私なりの観点で3つ挙げたいと思います。
その①~単純に面白いから
誰しも何がしかの動機を持ち社会人になったとしても、日々の業務を忙しくその動機自体を思い出すことは稀なのが現実ではないでしょうか。また、学生にしてもこれから自分が何を目指していきたいか定まっている方が稀で、多くは何となく就職を選び、何となく安定性を求めがちではないでしょうか。
仮に「自分はそうではない」という方でも、54時間でビジネス(の原型)を創るほどまで日々自分を追い込みながら過ごしている方は更に稀ですし、そのようなこと自体を求められることは中々ありません。(ガチのスタートアップで日々過ごされている方でもない限り)
「何となく今のままで生きていていいのだろうか」「世の中が変わっていっているのについていけているだろうか」という不安を覚えている方は多いのではないでしょうか。
その様な方々にとってもその場で初めて出会った方々と共に駆け抜ける54時間は自らをモチベートするのに最適です。
「初めて出会った方々と」というのもポイントです。
SWには下は小学生、上は還暦越えの方まで、様々な方々が参加されますし、歓迎されます。立場や所属、年齢を超えて同じチームとなり、対等な立場として共同で創り上げていく場は普段の仕事や学生生活では中々得られないものです。
例えば、先だってのSW宮崎では小学生3人と社会人2人が同じチームとなり、小学生のうち1人が持つ課題についてのビジネスを創っていきました。社会人2人はそれぞれエンジニアと営業マンで、エンジニアが創ったプロトタイプを課題を持つ小学生に見せては忖度なしにダメ出しされ、更に外部の専門家の声は営業マンが収集を進め、ビジネスモデルとして構築していく。その様な形で検証を高速回転させていく事で、最終的には優勝するに至りました。
こんな経験、今の会社で出来ますか?
その②~何回参加しても楽しめるから
SWは関わる人すべてがボランティアで運営しています。主催者であるオーガナイザーはもとより、当日の司会を担当するファシリテーターや、コーチジャッジも全員ボランティアで関わっています。
これは、冒頭にあげた「地域毎のコミュニティを形成すること」に通じるのですが、ボランティアとはいえ、その時期によって割けるリソースにはばらつきがあり、毎回同じオーガナイザーメンバーで運営することは稀です。
となると、オーガナイザーが任命するファシリテーター、コーチジャッジも自然とオーガナイザーの繋がりがある方が担当することになり、毎回変わることがほとんどです。(ファシリテーターは数回連続するケースが多い)
ビジネスの世界においては、数学や物理などのように「正解」はなく、同じ事象に対しても、それを聞く側の経験等によって受け止め方も異なりますし、更にフィードバックも全く変わってきます。コーチに同じ相談をしたにも関わらず、全く異なることを言われる、という事も良くあります。
その事こそが「自らの頭で考え行動する」事に繋がるのです。
SWは全国・全世界で同一フォーマットのプログラムになっているのですが、実はそのプログラムの余白にどの様な”おかず”を入れるかはファシリテーター次第だったりします。これは、ファシリテーター自体が学ぶ場でもあるため(でなければファシリテーター自身もわざわざボランティアで参加しませんし)、自らのファシリテーションの向上のために、毎回伝えることを少しずつ変えつつフィードバックを得ているというのもあります。
そして、当然のことながら参加者自身も毎回変わります。社会人も含め、学生も自らの意思で参加し、そのメンバー同士がそこでピッチしたアイデアを元にチームを作りますので、同じフォーマットで進行したとしても、その過程や結果は全く変わります。
言い換えると、毎回必ず何がしかのドラマが生まれるのです。
これが人がSWにハマる大きな理由の一つです。
その③~コミュニティが出来るから
これはSWの目的そのものでもあるのですが、SWに参加すると、コミュニティが出来ます。
特に54時間を共に過ごした同じチームメンバーとはSWが終わった後でも連絡を取り合うケースも多いです。SWは「共同創業者と出会うイベント」という側面もあり、実際に起業に至ったケースもあるそうです(私自身はSW自体では観測しきれていませんが、同種のイベントで北九州でも共同創業の場に立ち会ったことはあります)。
起業にまで至らずとも、一緒に旅行に行っているチームもありますし、中には、チーム内で出会った方々が別々に創業し、片方が資金調達する際のヒアリングにおいて、当時チームメンバーだった方がその人柄についてコメントを寄せてくれることもありました。
更にはSWを経験し起業された方が、当該地域で今度は別な立場(コーチ・ジャッジ・スポンサー)で関わっていただいているケースは全国で散見されます。
何より、SWを参加者として経験することによって、オーガナイザーとして活動を始める方々も多くいらっしゃいます。
SWのオーガナイザーは3日間の参加経験者のみが担えるものとなっており、一般的には5~6か月間かけてイベントの準備を進めていきます。その中では色々な出来事も発生し、それを共に乗り越えることによってオーガナイザー同士がチームメンバーとしての絆で結ばれていくのを何度も目の当たりにしています。
終わりに
SWにハマる理由について色々書いてきたら長くなってきたので、「地方で行う意義」についてはまた改めて後編として作成したいと思います。
改めて振り返るとハマる理由は3つ(もちろん他にもいろいろありますが)。
①単純に面白いから
②何回参加しても楽しめるから
③コミュニティが出来るから
これらを考えている中で、私の中で同じようにハマってしまうものが思い浮かびました。
それはラーメン二郎です。
ラーメン二郎も、単純に食べるという行為を通して得られる快楽が堪りません。山になっていた野菜や麺がどんどん減り、丼の中が空になっていく様は山を踏破することと似た愉悦があります。
そして、二郎の特徴と言えば「ブレ」です。同じ二郎の名を冠していても、それぞれの店舗では微妙に特徴が異なり、更には同一店舗でもその日の出来によって麺・スープ・豚(チャーシュー)の具合が変わり、自分の中でのベストバランスに出会えた時の喜びは無上なものです。
更に、このような特徴を持つ二郎にはコアなファンが多く、ファン同士のコミュニティはあらゆるSNSで見つけることが出来ます。中には二郎オフと言われる同行して食べるようなイベントも。
つまり、「SW=ラーメン二郎」…とまでは言わないものの、SW好きな人には二郎もお薦めですし、二郎好きな人にはSWもお薦めできるのではないでしょうか。ぜひ一度、ご堪能下さいませ。
ちなみに私のnoteの中で毎月の閲覧数が多いのはこちらの福岡県内の二郎系をほぼ網羅していた(最近はさらに増えたのでアップデートしきれておらず。食べているところも多いので記事を書かねばとは思いつつ)こちらです。
福岡県にお済のSW経験者は参考にしていただければ幸いです。
ちなみに10月には某二郎インスパイア系の店舗内でSWが開催されるという噂ですので、そちらもお楽しみに(笑)
では、後半に続く。