Startup Weekend苫小牧vol.4
はじめに
先週末の3日間、12/15-17の日程でStartup Weekend(以下、SW)苫小牧vol.4が実施され、ファシリテーターとして務めさせていただきました。
Startup Weekendとは?といったご説明は先だってのSWファシリテーター就任所信表明内で記載しておりますので、そちらをご覧いただければ幸いです。
また、当日の様子など、公式レポートはオーガナイザーにより作成予定ですので、こちらは私目線からのレポート、裏話に書かせていただきます。
このくだり、ぼちぼち恒例になってきた気がします。過去の裏話を観たい方は下記マガジンよりどうぞ。
いずれにせよ、どちらかというと参加者というより、オーガナイザーが想定読者の事柄が多いので、参加者の方にはあまりご満足いただけないかもしれません(;^_^A
SW苫小牧のはじまり
今回のSW苫小牧にファシリテーターとして参画させていただくことについて、個人的にはとても感慨深いものがありました。
私自身が札幌出身で、地元近くの(とはいっても80km位は離れている…北海道はでっかいどう)地域に関わらせていただいた、という事も勿論です。オーガナイザーには出身校の先輩がいたり、ジャッジのお一人は昔実家の近くに住まわれていたり、最終日の見学に同級生が来てくれたり。
ただ、それ以上に、元々SW苫小牧は発起人の方が北九州にスタートアップ関連施策の視察に来られた際に、たまたまコワーキングスペースに当時のSW北九州オーガナイザーが滞在しており、そこでSWについて知っていただいたのがきっかけで開催された、というつながりがあるのです。
とはいえ、最初のきっかけとなったからといって北九州と苫小牧、どちらの方が優れているとかそんな話には全く意味がなくて、それぞれの地域コミュニティを愛する人がいる、という事実こそが最も大事なのだと思います。
SW苫小牧vol.4への参画はイベントページ公開が差し迫った9/24が最初のWebMTG。vol.1~3までのファシリテーターを務められていたタクトさんからのバトンを受け取る形でオーガナイザーの方々と顔を合わせたものの、お互い全く面識がない状態でのお見合いとなり(1名は事前にお会いしたことはあったものの)、場の空気はかなり寒かったのを今でも思い出します(笑)
通常1か月前に実施するプレイベントについてもファシリテーターはタクトさんが務め、オーガナイザー面々とリアルで初顔合わせたのは本番が最初、という事で人見知り的にはドキドキしていたのは内緒です。
SW苫小牧で感じたこと
そんな形で実施されたSW苫小牧を通じて私が感じたいくつかのことを記しておきたいと思います。
①オーガナイザーチームの重要性
SW苫小牧で最も感じたのは、オーガナイザーチームの重要性です。
前述の通り、SW苫小牧は発起人が北九州の活動を参考に立ち上げられたのですが、一番最初は発起人が元々お持ちのネットワークを大いに活用しながら開催したものの、現在まで続いてきたのは、間違いなく第1回の参加でファンとなって、その後もオーガナイザーとして開催側にまわってきたオーガナイザーチームあってこそだと、お話を聞けば聞くほど感じます。
例えば、単に複数回開催を重ねるだけでなく、苫小牧のオーガナイザーチームが釧路の立ち上げを行い、皆で大人の修学旅行の様に仲良く写真を撮っている様子などは、もはや単なるチームというよりは、同志の集まりなのだとも感じました。おそらくこのメンバーの関係性は、仮に何らかの理由でSWが無くなったとしても続いていくのではないかと思います。
逆に、これから立ち上げようとしていつつ、人数はいてもチームとしては機能していない地域では、いくらSWとは言っても、単なるイベント開催のための集まりのような形になってしまうのだろう、とも感じました。これらはオーガナイザー内に源泉となる方がいて、その方を自分の意志で支えたいと感じている人がいるかどうか次第では、と感じました。
もしそのようなチームが形成できていないのであれば、まずは源泉となる方自身が他の方の動きに協力しながら仲間を作り、関係性を構築したうえで自らが進めようとしていることに手伝ってもらえるような流れにするのが肝要なのでは、と感じた次第です。要はGIVE FIRSTですね。
(そもそも源泉となる方が居ない場では何も進まないとも言えます)
②自分の課題ファーストの原則
今回のSW苫小牧では、月形町という日本、いや世界でも有数の豪雪地帯だからこその課題である除雪道具のアップデートを提唱したアトツギの手に渡りました。
2位もリーダーではないもののメンバーである農家アトツギが抱える課題に対し、チーム全員で理解を深めて解決策を講じたものが評価されました。
別に私がアトツギに関連する取り組みも行っているからという贔屓目が働いたわけでもなんでもなく(そもそも私は審査員ではない)、やはり課題の解像度という意味では、常日頃から課題に向き合っているアトツギに一日の長があるのだな、と改めて感じた次第です。
私がファシリテーターを務めるSWでは、毎回「誰のどんな課題を解決するのか、から考えてください」とお伝えしています。
ただし、実は「誰の」という部分は正直なところ「自分の」と決め打ったほうが54時間という短時間で検証するには適しています。要は「自分がお金を払ってでも解決したいこと」ですね。
よく顧客の声を聴きましょう、そのためにインタビュー相手を見つけましょう、とは伝えますが、そもそも自分が最初の顧客であれば、まずは自分の中でなぜ課題なのか、という点から深掘りが出来ます。そして自分一人では主観的になりすぎる部分も、チームで取り組むことで他人に話すなかで整理出来たり、チームメンバーからのフィードバックを得て客観視できたり、様々なメリットがあります。そのうえで解決策を講じて、それがビジネスモデルとして、自分だけでなく同様の課題(痛み)を持っている人がいるのか、ステークホルダーのメリットを生み、双方がWin-Winとなりビジネスモデルが成立するのかを検証するのが一番手っ取り早いです。
これが「社会課題」だったりすると、その課題を対価を払ってでも解決したいと思っている人が本当に居るのか、そしてその課題の解像度を高めて検証出来ているのか、というハードルがまず立ちはだかり、ビジネスモデルの詰めも甘くなってしまう、という結果に陥りがち、というのを感じました。
③他地域を知る事の大切さ
これは元々日本一周して全国のインフラや国民性を感じて「どこでも住める」と認識したこともきっかけで宮城県⇒福岡県に移住した身であり、更には今年ファシリテーターとして全国の開催に携わらせていただくようになったからこそ改めて感じたことです。
出身地の札幌は苫小牧とは近い(とは言っても80km以上ある)のですが、風土は全く違う、というのも改めて感じました。道外の方はあまりご存じないかもしれませんが、一口に北海道とは言っても、豪雪地帯もあればあまり雪が降らない地域もあります。札幌は前者で苫小牧は後者ですね。
私も知識としては知っていましたが、今回初めて訪れることで「雪少なっ」と感じつつ、SW参加者は道内様々な地域から来ており、それこそ優勝チームの課題は豪雪地帯だからこそ。審査員も札幌から来られていたため、雪の課題に対する共感度は高かったものの、これが仮に全員生粋の苫小牧の審査員だけだったらもしかしたら結果は変わっていたかもしれません。
また、参加者の立場でも同じチームとなっても、他地域同士のメンバーで相互の地域の事をあまり知らないと課題感を共有できず一方的になってしまう可能性もあり、そうする中で地域特性が活かされない一般的な社会課題をテーマとして取り組んでしまいがち、とも感じました。一般的な社会課題を選ぶという事は、競合が日本中に拡がることを意味します。もちろんその中でもニッチな分野はあるかもしれませんが、プレイヤーが多いという事はニッチとはいえ既に取り組んでいる人はいるものの、結果的に市場が形成できなかった、すなわちno market needs.であるという事も往々にしてあるでしょう。会の中でもお伝えしていますが、中小企業やスタートアップが取り組むべきは「狭い人数でも深く刺さる課題」であって、その解像度をどれだけ高められるかが重要だったりします。
逆説的になってしまいますが、他地域を知る、という事は、自地域を知る、という事にもつながります。他地域との比較をするからこそ、自地域の良さ(あるいは悪さ)を客観視できるようにもなります。
他地域を知らなければ「井の中の蛙大海を知らず」として他地域に対して傲慢になる、あるいは「隣の芝生は青く見える」として無闇に卑屈になってしまう。これらは日本全国どこでも起きている話です。
大事なのは、他地域を知ることによって得られる客観的な視点を持ちながら、自地域の中での活動にコミットしていくことではないでしょうか。
そのためには他地域をこき下ろす必要もなければ、自地域を卑下する必要もありませんしね。
④SWで起きている新たなムーブメント
これはSW苫小牧で感じたこと、というより、各地域のオーガナイザーや他のファシリテーターと会話している中で感じていることなので少し余談的に。
以前、NPO理事の某All ActionマンがFacebookにも書いていましたが、Startup Weekendはこれまでとは違うフェーズに来ていることを感じています。それは「各地域でSWを拡げようとしている人が出始めている」ということ。
私自身、北九州を基点に九州全域への展開を進めていきたいと考えており、その初弾となるのが2024/3/1-3に初開催されるStartup Weekend久留米です。
近隣では、2/16-18のSW宮崎vol.2も開催されますが、こちらは元々私もオーガナイザーとして関わらせていただきつつ、今回はファシリテーターとして関与させていただくものです。
このような動きは九州だけで起こっているのではなく、東北でも各県での展開が進められていたり、元々東海地方は浜松から広がっていった、という経緯があります。
北海道においても、SW苫小牧のオーガナイザーがSW釧路を立ち上げたり、今後また別地域の立ち上げにも関わるようになっていたりするのが興味深いです。
自分の、あるいは自分たちのことだけを考えているのであれば、自地域だけで開催しておけばよいものを、他地域にも広めたくなる魅力がSWにはあるのだという証左ではないかと思います。
中国地方でも同様の動きは観測されていますし、この動き、ムーブメントは今後さらに広がっていくのではないかと思い、そのような未来が来ることが楽しみでなりません。
最後に
ということで、今回も案の定4,000字を越え、4,500字にせまろうという勢いですのでこの辺で筆をおきたいと思います。
生まれ故郷近くで開催、という事が導いた再開や、他地域との比較的な部分も感じられた今回のSWも関わることが出来て、本当に良かったと思います。
今年のSWファシリテーター任務はこれでおしまいですが、来年もどのようなメンバー、オーガナイザー、そしてドラマに出会えるか楽しみでなりません。
来年は九州内でも複数立ち上げで動くことになるでしょうし、今からワクワクしますね。
これを読んでいただいている皆さまとも、どこかの開場でお会いできればと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました!