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#170 「4一銀」 と AI

 先日の藤井二冠の将棋(竜王戦二組)の対局、Ameba中継を見ながらドキドキしてました。藤井くん(8段)が、人工知能Artificial Ingeligence; AI)が候補手として挙げた”人間離れした手”を指して勝利しました。中継のプロ棋士の方の解説を聞いていると、頭の中だけで互いに将棋を指したり、棋譜も書かずに逆に指した手順で元に戻すことができるのを見て、素人の私は感動していました。

 「4列一行目の銀」を「4一銀」というのですが、横に4つ?一つ?といつも頭の中で一度考えないと、私の頭の中の盤上に銀はすぐには置けません(笑)。

「人間では打てない手」

 盤上で一見すると”無駄な手”と見える「4一銀」に藤井二冠が指すのは、「普通のプロ棋士」でも指さない手と解説していました。長考の末、”人間では打てない手”人間の藤井二冠が打って、ネット上で話題になったようです。AIの評価値がないと、我々素人にはどのくらい凄いかがわかりません。 

”99%”敗色濃厚からの逆転

 藤井二冠、漫画のような劇的な勝利をみると、こちらまで嬉しくなります。朝日杯の準決勝と決勝では、二局続けて敗戦濃厚なところから勝利しました。対局者にはAI評価値は見えないのでしょうが、おそらく「ほぼ勝ち」と思っていた相手は大逆転負けに驚いたことと思います。

AI解説がない解説

 AIの評価値があることの賛否がネット上で話題になっているようですが、個人的には解説者の方の力量がとても高ければAIはなくても良いと思います。

 その例としては、昨年のNHK杯での藤井二冠と木村九段の対局を,羽生九段が解説した中継があります。羽生さん,王将リーグ戦で豊島名人に勝ったあとの収録だったのか、とてもお元気に解説していました(笑)。さすが,明快で素人にもわかりやすく急所と難しい点を解説してくれ,当たり前でしょうが,結構予想通りに局面が進んでいきます。木村さんもやはり、解説がとてもわかりやすい方だと思います。

AIではできない解説

 私の理解では、AIは基本的には、何も”考えて”いません。自分の専門分野ではないので、以下は私の知る限りを元にした推測ですが、、、単に膨大なデータを取り込み、統計処理を基本とした内部モデルを構築して、それに次のデータを入力して判定などをしているだけだと思います。あたかもその振る舞いが、人間が考えているように見えるので、「人工知能」と呼んでいるのだと思います。なぜそう考えるのか?どうして他を選ばないのか?他を選んだら、その時にはどんな手をするといいのか? などについては、今のAIではまだ多くの場合には出力されないと思います。近いうちにこれらも順番に、人間に提示してくれるかもしれませんが、、、。

「AI」があれば要らない?

 蒸気機関車が品川で走り出した頃、草鞋(わらじ)を売っていた人たちが草鞋が売れなくなると言って反対運動をしたという読み物を以前読みました。汽車が自動車に飛行機にと技術が進むにつれて、廃業した職業もあると思います。しかし、新たに生まれた職業があると思います。しかし、「歩く楽しみ」が消えることはないので、人間は乗り物の技術革新が進んでも、旅先などで乗り物を降りたら自分の足で歩いています。

 既に将棋が強いAIソフトができましたが、「人間が将棋を打つ楽しさ」は消えないので、やはり人間が今でも将棋を指しています。その時にAIの解説を頼むかどうかは、それは人間が選べれば良いかなと思います。AIの解説人間の解説を同時に見て、そこで「人間の知能」と「人工知能(AI)」の比較をこうして楽しめればいいかなと思います。

 それにしても、「4一銀」の本当の凄さ、AIの解説がないと私にはわかりません。ちなみに私もAI(Akira Ito)ですが、、、、お後がよろしいようで。