1. 複雑な有利関数の極限の計算
1.1. 分母 → 0 or ∞ な有利関数の極限
さて、前回の記事で簡単な極限の計算ができるようになったところで、
もっと複雑な関数が計算できるようになっていこう。
まずは$${\displaystyle\frac{(定数)}0}$$、そして$${\displaystyle\frac{(定数)}\infty}$$のケースだ。
単刀直入に言おう。
さて、ね。まぁグラフを見てもわかると思う。
最初のグラフが$${\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\,1\,}{x^2}}$$と$${\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\,1\,}{-\,x^2}}$$で、
次のグラフが$${\displaystyle\lim_{x\to\pm\infty}\frac{\,1\,}{x}}$$。
グラフィングソフトに頼りながら確かめてみてほしい。
前回の記事でも記載した通り、$${\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{1}{x^{2n-1}}\;\;(n\in\mathbb{N})}$$は定義されない。左右が違うからね。
1.2. 分子&分母 → 0 な有利関数の極限
さて、こちらは少し特殊な場合で、有理関数の極限で直接代入法を使おうとしたら$${\displaystyle\frac{\,0\,}0}$$になっちゃった場合だ。
このような場合は次のような手順で解決していく。
例題として$${\displaystyle\lim_{x\to2}\frac{x^3+7x^2-4x-28}{x^2-x-6}}$$を計算してみよう。
ここでもし約分ができない場合、「微分」を学んだあとに使えるテクニックで解くことができる[ロピタルの定理(L'Hospital’s Rule)]。つまり、今はあんまり解けない。そんな問題はまだ範囲外なので、置いとこう。
次は$${0}$$とはまた違うケースだ。
1.3. 分子&分母 → ±∞ な有利関数の極限
さて、$${0}$$でないなら$${\infty}$$だ。$${\displaystyle\frac{\pm\,\infty}{\pm\,\infty}}$$(複号任意)を計算しよう。
こちらは$${0}$$のときよりは頭を使わなくても解ける。
例として$${\displaystyle\lim_{x\to\infty}\frac{-4x^3+x-11}{2x^3+5x^2-7x+3}}$$を計算してみよう。
こちらは分子&分母が多項式であればどんな次数の式であろうが関係ないが、
どちらの次数が大きいかで結果が変わったりする。
2. 関数の連続性(Continuity of f.)
「連続」という単語は、まぁ日常生活でも出てこないわけではない単語なので、これを読んでいるみんなも馴染みはあるのじゃないだろうか。
「途切れることなく連ねて続いている」、という意味、と私は解釈している。
これは数学でも一緒。「関数が連続」ってどーゆーことなんやろね。
まぁ、それの前に、一個前々回の記事(Ⅴ)でちょろっと出てきた概念について見てみよう。
2.1. 関数の連続性
さて、今度こそ「関数の連続性」とはなんぞや、について見てみよう。
……あれ、すんごい短い。日本語にしてみたら
($${a}$$であるときの極限値)=($${a}$$であるときの関数値)
ということになる。
つまり
・$${a}$$での極限値が存在して
・$${a}$$での関数値も存在して
・極限値が関数値と一緒
という3拍子が揃うと$${a}$$で連続、ということになる。
なので、とある関数が連続ならその関数の極限値は直接代入法で求めてOK。
……しかし、「とある点で連続」って、なんかちょっとおかしくないか?
ということで、連続の範囲をちょいと広げてみ――……る前に、
範囲を広げるための概念をちょいと習得しておこう。
つまり、片側極限で定義された連続を「片側連続」というんだな、って。
ということで、これを使った「区間での連続」の定義を見てみよう。
これでようやく我々の知っている「連続」になった。
(普通実数全体で)連続する関数を連続関数と言うのだが、
連続関数はグラフで表しても連続、つまり途切れることなく続く。
2.2. 関数の不連続
不連続はまぁ言葉の通り連続じゃない、というやつ。
前述した「連続の3拍子」の中で一つも満たしていなかったら不連続。
前回の記事で片側極限の説明をするときに例として挙げた$${y=\lfloor x\rfloor}$$も、
全ての$${x\in\mathbb{Z}}$$で不連続である。グラフ途切れてるし。
グラフが無限に突っ切っているとか($${\displaystyle\frac1{x^n}}$$とか)、
グラフに穴が開いているとか($${\displaystyle\frac{x^2-1}{x-1}}$$とか)、
そういう関数が不連続関数と言えるだろう。
2.3. 定義域で連続である関数
次は、定義域で連続である関数を見ていこう。
これらは定義域でなら全部連続。△&△⁻¹は全部定義域が違うので入れなかった。
まぁ私らがよく計算に用いてる関数なら連続なんだな~って思ってもらえたら。