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【ライターの本棚】ライター入門、校正入門、ずっと入門。THE BOOK
ライターとして生きていけるか。この冬はそんなことばっかり考えて過ごしていた。
わたしには子供達がいるし、今働いている会社の仕事があって(その中にも書くことはたくさんあるのだけれど)、それを全部投げ打ってまでライター1本で生きていくという選択肢は今のところない。でもこの日々の中で「書くこと」にもう少し向き合う時間が欲しいと思っていた。
とはいえ、そう思ってただけで、これまで何か大きなアクションを起こしたわけでもなく…。ただただ時間が過ぎていく中で、この本との出会いが私を奮い立たせてくれた。
始まりは、久々に古賀及子さんのnoteを読んだこと。古賀及子さんは、デイリーポータルZ(以下:デイリー)の編集、ライターとしてずっと第一線で活躍されている。
6年くらい前にとあるイベントでお会いしたことがあり、デイリーの記事のとおり、ご本人はとてもユニークだけど、その中に知性を感じる女性だと思ったことを覚えている。
それ以来お会いすることはないけど、熱すぎず、冷めすぎていない古賀さんの文章が好きでTwitterやnoteを時々拝見していた。
そして古賀さんの書いた本を探そうと思って検索していたら、この本に出会った。
2021年に本のタイトルと同じ『ライター入門、校正入門、ずっと入門。』というタイトルで行われていたトークイベントの内容を1冊にまとめたもの。
著者は校閲を専門としている聚珍社の中嶋 泰 さん、ライターの張江浩司 さん、アイドルグループ『XOXO EXTREME1』に在籍し、ライターや校正のご経験がある一色萌さん。このお三方が司会となり、毎回「書く仕事」にまつわる様々な職種の方をゲストに呼んで、お話された内容が綴られている。
最初は第一回のゲストが古賀及子さんだったことからこの本に出会った。でも第二回以降も書くことに関わる様々な分野の方がゲストが来られて、とにかく最後まで面白い!
幅広い内容のトークが繰り広げられ、新しい世界を覗いているよう。
会話形式のまま掲載されているので、読みやすくてあっという間に読み終わってしまった。不思議なことにあっという間に読んだはずなのに、印象に残ってる言葉はとても多い。
第一回のゲストは古賀及子さんと音楽ナタリー編集部の岸田恵加さん。デイリーと音楽ナタリーの全然方向性が違う感じがよくわかったし、自分が今後書いていくならどういう媒体でどういうことをやりたいか、もう少し明確に持ちたいなと思った。
印象的だったのは、主観は書かず、あくまで事実を書くナタリーと、主観を何よりも大切にしているデイリーの違い。デイリーの記事なら「〇〇が好きだ」から始まることになんんら違和感もないけれど、ナタリーだとそれは絶対にできないそう。そして積極的に揺らしていくというデイリー。
それを読んだ時に、これだ!と私は思った。
私に足りないのはここだ、と。
媒体ごとに目的や文体、カラーなどがある。
そこを意識して様々な媒体の文章を読むことで、自分の好きな文章や内容や雰囲気はこういうのだ!という自分の好みや得意な方向性を今より明確に持てるかもしれない。そう思った。
古賀さんの文章が好きなように、自分にしっくり来る文章にもっと出会いたい。
他にも、校閲の方や編集の方、
書くことにまつわる様々な方がゲストとして登場する。
ーー書くことを仕事にして生きていたい。
漠然とそう思っていた。でも書く仕事について、わたしはまだまだ知らないことばかり!と実感したと同時になんて面白い世界だ!!とワクワクした。
今は書く時間を作るだけでも大変。あまりに本業の会社の仕事で疲弊して何も考えられなくなってしまう。そんな私だけど、やっぱり書くことが好きって気持ちは簡単に捨てられない。
そう改めて気づかせてくれたし、「書く仕事」をもっと広い視野で見させてくれたのが本書だった。
古賀及子さんのおかげでそんな気持ちにさせてもらったので、感謝の気持ちでいっぱいだ。
古賀さんの新書もおすすめ。
『ちょっと踊ったりすぐにかけだす』古賀及子